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秘かに流行する「2.5世帯住宅」 ニーズはマンションにも

公開日:2015-07-02 00:00:00.0

目次

かつて「二世代同居住宅」と「2世帯住宅」は同義語のようなものでした。ところが近年、新たな住居形態として「2.5世帯住宅」が生まれ、秘かなブームになっています。2.5世帯住宅とは、従来の父母と既婚の子供家族の2世帯に未婚の子供が0.5世帯として加わり、大家族で暮らしている住宅のことです。イメージ的には「父母、長男夫婦とその子供2人、独身の長女と二男の8人家族が暮らしている家」といったところです。



「2世帯」から「2.5世帯」へ進化する二世代同居住宅


2.5世帯住宅が秘かなブームになっている背景は、非婚・晩婚化進行、離婚増などに伴う家族構成の変化といわれています。
総務省の「国勢調査」によると、例えば35-39歳男性の未婚率は1990年が19.1%でしたが、20年後の2010年には35.6%と16.5ポイントも跳ね上がっています。同年代女性の未婚率も1990年の7.5%から23.1%へ15.6ポイント跳ね上がっています。離婚率も同様で、1990年の離婚率は約22%でしたが、2010年は約36%に上昇しています(厚生労働省「人口動態調査」より)。近年は結婚した夫婦の3組に1組が離婚している状況です。
2.5世帯住宅ブームの背景には、こうした未婚成人や離婚成人の受け皿機能もあるといわれています。



2.5世帯住宅のメリットとは


2.5世帯住宅の購入は、親が頭金を負担、既婚の子供が残金の住宅ローンを組み、未婚の子供が3万円程度の生活費を家賃代わりに納めるパターンが多いといわれています。これには以下のような資金分担メリットがあるようです。

●親は頭金の負担だけで子や孫と一緒に暮らせる
●未婚の子供は通常より少ない家賃で安心して暮らせる家を確保できるので、浮いたお金を自分の趣味などに費やせる
●既婚の子供は未婚の子供が納めた家賃をローン支払いに充当できるので、その分ローン負担が軽くなる。また、親と同居することで子育てを親や兄弟姉妹に手伝ってもらえるので、子供の養育費なども軽減できる

また、2.5世帯住宅ニーズの裏には、大家族で暮らすことへの価値観の変化もあるようです。

かつての2世帯住宅ニーズは資金的な動機が主因でした。地価高騰で住宅購入が無理だった子供夫婦がやむなく親の敷地に2世帯住宅を建てるケース、老後不安を感じた親が2世帯住宅を建てて子供夫婦に住まわせるケースが大半で、こうした2世代同居には嫁姑問題もつきまとっていました。

このため、玄関を分離するなど親の住戸と子供夫婦の住戸は完全独立状態にして、極力、親子世帯が関わらず生活ができる住宅設計が普通でした。したがって、親は子供夫婦と同じ家に住んでいながら、孫との交流機会も限られていました。

ところが、2011年3月の東日本大震災をきっかけに家族との絆が見直され、今では「結婚しても親や兄弟と一緒に暮らしたい」と、大家族生活を求める30~40代が増加中といわれています。

では実際、住宅購入予定者は2.5世帯住宅にどんなイメージを抱いているのでしょうか。

PRサービス会社のアイシェアが2012年10月に発表した興味深い調査結果があります。同社は夫の親族と同居すると辛い立場に立つと思われる「妻」に着目し、住宅購入予定世帯の妻に2.5世帯住宅購入に関するアンケート調査を行いました。

その結果をみると、「夫の父母および夫の兄弟姉妹との同居をどう思うか」の質問について86.1%が「条件によっては検討してもいいと思う」と回答しており、肯定派が否定派の「条件によらず検討したくない(13.9%)」を大きく上回りました。ここから夫の親族と同居することへの拒絶感が少ない妻が増えていることが読み取れます。

また、肯定派に対して「2.5世帯住宅の購入についてメリットと感じるのは何か」を複数回答で聞いた調査では、「新築購入の費用を夫の親に協力してもらえるかも知れない(46.1%)」「夫の親に育児(送り迎えや留守番、しつけ)などの協力をしてもらえる(41.5%)」「みんなで住むことによって光熱費、食事、通信費などを節約できる:(41%)」など、経済的負担の軽減と子育て支援を期待する回答が上位を占めました。2.5世帯住宅に住んでもよい、と思う背景には、妻ならではの現実的で合理的な判断があるようです。

一方、夫の親族との同居に対する考えを知るための「夫の父母および夫の兄弟姉妹と集まって住むことはいいことだと思うか」の質問に対しては肯定派の回答が80.6%を占め、こちらも否定派を大きく上回っています。

「夫の父母および夫の兄弟姉妹との同居は子供にとっていいことだと思うか」の質問に対しても肯定派が84.3%、「同上の同居生活は楽しいこともあると思うか」の質問に対しても肯定派が83.6%を占めるなど、大家族生活のメリットや楽しさも妻に評価されているようです。
 
さらに、「世間でよくある嫁姑問題はあまり自分には関係ないと思うか」の質問に対しても肯定派が73.6%を占めています。昔に比べ周囲が思うほど当人たちは問題視していないようです。



2.5世帯住宅が紡ぐ家族の絆


妻たちが好感を抱く2.5世帯住宅の魅力は、設計にも現れています。設計はもちろん建て主により千差万別ですが、概ね以下のような共通性がみられます。

●3階建てで、1階は親世帯の住戸、2階は未婚の子供の住戸と家族全員の共用スペース、3階は既婚の子供家族の住戸
●未婚の子供の住戸は、単身者が快適で簡便に暮らせるようワンルームマンション仕様で、食事・入浴以外は自立して生活できるように工夫されている
●2階の共用スペースはどの住戸からも出入り自由。共用スペースは家族全員が集まった食事会、孫が祖父母やおじさん、おばさんと遊ぶ場に使うなど、家族が気楽に交流し、絆を深める場になっている

このように、親世帯、既婚の子供世帯、未婚の子供世帯それぞれの生活リズムやプライバシーを守りながら、家族の交流が常に図れる設計になっているのが2.5世帯住宅の特徴といえます。また、2.5世帯住宅では未婚の子供が緩衝(かんしょう)役になるためか、嫁姑問題が発生してもあまり深刻な問題に発展することはないようです。

東日本大震災を契機に、日本では古きよき時代の大家族のよさを見直す気運が高まっています。そのため、2.5世帯住宅のニーズがマンションにも波及してきたといわれており、同じマンション内に広さの異なる住戸を購入するなど各世帯の独立性を守りつつ大家族同居のメリットが満喫できる「大家族向けマンション」の人気が高まるかもしれません。

編集監修者情報
編集監修者
株式会社大京穴吹不動産
所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-18 オリックス千駄ヶ谷ビル
設立年月
1988年12月
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