分譲マンションに入居して数年が経つと、どうしても不具合な部分が目立つようになってリフォームしたくなるといわれています。しかし、リフォームは計画を練れば練るほど費用が複雑になります。一方で、予算内に収めようとするとリフォームの肝心な部分がおろそかになってしまいます。その結果、「リフォームしなければよかった」と後悔するケースも少なくありません。どうすれば失敗を防げるのでしょうか。

「生活を快適にする目的」がいつの間にか「リフォームが目的」に

マンションのリフォームニーズの「トップ3」は「キッチン」「トイレ」「浴室」といわれています。使用頻度が高いためどうしても汚れやすく、傷みやすい住宅設備だからです。

そこで「最新設備に更新したい」とリフォームの計画を練ると、当然のごとく予算が絡んできます。すると今度は「予算内で収めよう」とあれこれ検討していくうちに、結局は既存設備と大差のない設備のリフォームをしてしまい、「リフォームしたのにちっとも快適にならない。こんなはずではなかった」と悔やむことになります。

失敗しないリフォームをするには、「お金をかけるところはしっかりとかけ、妥協できる範囲では可能な限り削るメリハリが重要」といわれています。

これは、傷んだ設備を更新して「生活を快適にする目的」が、いつの間にか「リフォームが目的」になってはいけないということです。

予算削減の対象はオプション

リフォーム計画で、予算を削る際に注意したいのが設備本体ではなく設備のオプションです。

特にニーズの高いキッチン、トイレ、浴室には消費者の多種多様なニーズに対応しようと、消費者の利便性や快適さに配慮したオプションが豊富に用意されています。これらに気を取られてしまうとリフォーム後の快適な暮らしの夢が膨らむ心理作用もあり、「せっかくリフォームするのだからあれもこれも」とニーズを超えた高機能なオプションや、使わないようなオプションまで追加してしまうケースが少なくありません。

オプションの多くはリフォーム後には取り外せず、返品もできません。したがってオプションは本体設備のさまざまな使用場面を想定して慎重に選び、必要最低限のオプションに抑えることで予算削減を図るのが賢明といえます。それが結局、費用対効果を高め、満足度の高いリフォームにつながります。

リフォーム費削減のコツ

リフォーム費の削減はそれほど難しいことではありません。

意外に思われるかも知れませんが、この会社なら信頼できると自分自身が判断したリフォーム会社に、率直に相談するのが確実なのです。

リフォーム工事は一見別々の工事のように見えても互いが複雑に絡み合っています。リフォームの定番といわれるキッチン、トイレ、浴室の場合でも、職人が1人で済む配管工事もあれば、複数の職人が必要なリフォーム箇所の解体、本体設備の据付けなどの工事があります。また、工事費は床暖房にするのかしないのか、照明はどうするのか、どんな壁材を使うのかによっても変わってきます。

一方、予算オーバーになると、真っ先にリフォーム工事見積書の内訳で金額が高い本体設備に目が行ってしまい、そのグレードを下げれば予算オーバー分を圧縮できると考えがちです。

そうして「これを削ってあれを増やし」と電卓を片手に予算調整しているうちに、削ってはいけない部分を削ったり、逆にムダな部分を見落としたりと、頭と時間を使って調整した割には思い通りに予算圧縮ができなかったという話が絶えません。

複雑なリフォーム工事の適正費用を見極め、調整するためには専門知識が必要です。

専門知識が乏しい消費者が単独で考えていても、効率的な費用削減ができないのは当然です。そこで、リフォーム計画の予算がオーバーしそうだと分かったら、工事依頼予定のリフォーム会社に予算の上限と下限を示し、リフォーム会社側から工事費削減の提案をしてもらうのが上策です。

提案内容を見れば、専門知識が乏しくても提案の良しあしは判断できるし、リフォーム会社の技術力や真剣度もある程度は分かるでしょう。

リフォーム会社に率直に相談するということは、名実共に信頼できるリフォーム会社かそうでないかの見極めにもつながるのです。