住まい
その他
マンションの風通しを良くするリフォームのコツ
公開日:2015-11-06 00:00:00.0
目次
自然の風が心地よく吹き抜けるマンションは寒すぎず暑すぎず、体に優しい居住空間をもたらしてくれます。そんなマンションは建物が傷みにくく、長持ちする恩恵も与えてくれます。しかし、風通しのよくないマンションは少なくありません。そんなマンションの入居者でも「仕方がない」と諦めるのは早計です。ちょっとしたリフォーム工事で「風の道」を作れば、マンションの風通しをよくできるのです。
マンションの風通しを妨げているのは?
マンションの風通しを良くするためには、風の入り口と出口が必要です。
日本列島は通常の気象では「夏は南風、冬は北風」が吹いています。したがって、南側と北側に窓などの風の出入り口があるマンションは、風通しの良いマンションだという理屈になります。「部屋は南向きが良い」とされているのもそのためです。
ところが、マンションはその規模や形態により、必ずしも風通しに適した設計になっていないのが実情です。特に人気の高いタワーマンションや高級マンションでは、共用廊下を建物の内部に設けた「内廊下型マンション」になっているものが多く、こうしたマンションでは風の出口がありません。
また、マンションの汎用スタイルといわれ、最も供給量が多い「外廊下型マンション」も、風通しに関してはネックを抱えています。
外廊下型マンションとは、住戸が横一列に並び、片側がベランダ、片側が戸外に面した外廊下のあるマンションのことです。
ベランダ側と外廊下側の窓を開ければ風の出入り口ができるので、一見風通しが良さそうです。しかし、外廊下は誰が通るのか分からないので、プライバシーや防犯上の問題からこちら側の窓はあまり開けられないのが普通です。なので、ベランダ側から入ってきた風の出口が実質的にはありません。
間取りもマンションの風通しを妨げる要因の一つです。
マンションの間取りで最もポピュラーなのが3LDKの「田の字型間取り」です。「マンションの間取りの基本スタイル」といわれています。
このスタイルの特徴は、共用の外廊下に面して玄関を設置し、玄関から延びる住戸内廊下を挟んで外廊下側に個室2室、ベランダ側に個室1室とリビング・ダイニングを配し、住戸の中央にキッチン、浴室、トイレ、洗濯機パンなどの水回り設備を集中させていることです。
また、隣接する住戸も上下階の住戸も間取りが同じなので、水回りの騒音による問題が基本的に近隣間で起きない設計になっているのも特徴です。
この優れた特徴が、実は風通しを妨げる役割を果たしてしまうのです。なぜなら、ベランダから入ってきた風が住戸中央部のドアや間仕切壁で遮られ、出口を失ってしまうからです。
マンションの風通しを良くするには
外廊下型マンションや田の字型間取りの風通しを良くするためには、どうすれば良いのでしょうか。
答えは簡単です。住戸のベランダ側と外廊下側に風の出入り口を設け、「風の道」を作ればよいのです。
例えば、住戸内の室内ドアや間仕切壁、外廊下側個室の窓、玄関ドアなどのそれぞれの上部に小窓を設けましょう(但し玄関ドアは共用部なので管理組合の承認が必要)。室内ドアや間仕切壁の場合はわが国古来の通風技術である欄間にするのもよいでしょう。
そうすればベランダから入ってきた風が外廊下側個室や玄関ドアの小窓から出てゆき、逆に外廊下側個室や玄関ドアの小窓から入ってきた風はベランダへ吹き抜けてゆく「風の道」ができます。プライバシーや防犯上の問題も防げます。リフォーム工事も簡単なもので済みます。
最近は通風用の小窓を設えた多彩な玄関ドアや窓ガラスが住宅設備メーカーなどから発売されています。既存の窓ガラスや玄関ドアをこれらの製品と取り替えてみてもよいでしょう。
さらに、天井に天井扇を取り付け、室内の空気をかくはんする方法も風通しをよくする効果があります。これは古くから用いられている風通し法ですが、冷暖房効果を向上させる効果もあるので光熱費削減や省エネにも有効です。
編集監修者情報