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国交省、中古住宅流通・リフォーム市場を20兆円へ拡大

目次

今後10年間の住宅政策のマスタープランとして国土交通省が策定した「新住生活基本計画」が3月18日に閣議決定されました。同計画は2025年に中古住宅流通市場規模を8兆円へ、リフォーム市場を12兆円へ、合わせて20兆円規模へ拡大する目標を掲げています。同省はこれにより住宅基本政策を「住宅ストック活用型市場」へ転換する模様です。
 

「住宅ストックビジネス」活性化策を明示

 
国土交通省は「国民の住生活の安定確保及び向上の促進」における「今後10年間の課題」として、少子高齢化・人口減少の急速な進展、大都市圏における後期高齢者の急増、世帯数減少による空き家の増加など6項目を挙げています。
これらの課題解決に向け、同省は新住生活基本計画において「子育て世帯や高齢者が安心して暮らせる住生活の実現」、「住宅ストック活用型市場への転換加速」、「住生活産業活性化」と、3つの新政策を掲げています。
 
このうち、住宅ストック活用型市場への転換加速においては、具体的な数値を掲げた次の2つの政策目標を設定しています。
●老朽化が進むマンションの建て替えの件数を1975年から2025年までの累計で約500件(約2万戸)とする(1975年から2014年までの累計は約250件。これを過去実績の4倍のペースに加速)
●空き家の利活用促進により「その他空き家」(賃貸・売却用以外の空き家)増加数を約400万戸に抑制する(新政策を実施しない場合は約500万戸の増加が予測されている)
 
また住生活産業活性化においては、具体的な数値を掲げた次の政策目標を設定しています。
●住宅ストック活用型市場への転換加速による「住宅ストックビジネス」の活性化を図るため、既存住宅流通市場の規模を2013年の4兆円から8兆円へ、リフォーム市場の規模を2013年の7兆円から12兆円へ、合わせて20兆円の市場規模へ拡大する
 
このように今回の新住宅基本計画におけるポイントは、従来の「量から質への転換」を加速するため、「住宅ストックビジネス活性化の方策を国が明確に示したこと」といわれています。
 

中古マンション購入やマンションリフォームがやりやすい時代へ

 
ここで、住宅政策の流れについて確認しておきましょう。
高度経済成長期の大都市への人口集中による住宅不足を解消するため、1966年に制定された「住宅建設計画法」が廃止され、代わりに「住生活基本法」が制定されたのは2006年6月のことでした。新法制定により我が国の住宅政策の基本は「量の充足」から「質の充足」へと百八十度転換しました。
そして新法に基づき、「良質な居住環境の形成」、「国民の多様な居住ニーズが実現される住宅市場の環境整備」など4つの施策を展開するための10カ年計画「住生活基本計画」が2006年9月に閣議決定されました。
 
以降、同計画の政策目標を達成するため、中古住宅の性能向上を目的とした耐震改修促進税制創設(2006年)、バリアフリー改修促進税制創設(2007年)、省エネ改修促進税制創設(2008年)、既存住宅売買瑕疵保険制度導入(2010年)などが実施されました。
また、2011年10月から7回にわたり有識者による「不動産流通市場活性化フォーラム」が開催され、中古住宅の取引市場拡大を目指した提言が2012年6月にまとめられました。
さらに、2013年6月には国土交通省が「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を策定したほか、2014年2月からは「長期優良住宅化リフォーム推進事業」も開始。
このような住宅基本政策の転換により、ようやく消費者が安心して中古住宅を購入できる環境整備が始まったといえます。
そして新住宅基本計画への移行により、今度は約6060万戸に上る既存住宅の積極的な利活用を図ることで中古住宅市場の取引拡大を目指す環境整備が進められることでしょう。
 
今後10年間、国土交通省は中古住宅市場とリフォーム市場の拡大を図るため、様々な支援政策や新制度を打ち出してくると見られています。
したがって中古マンションもますます買いやすく、マンションリフォームもますますやりやすくなる時代に向かうと考えられます。住宅購入の際には押さえておくべき傾向のひとつといえるでしょう。


編集監修者情報
編集監修者
株式会社大京穴吹不動産
所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-18 オリックス千駄ヶ谷ビル
設立年月
1988年12月
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