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2015年首都圏の中古マンション、成約件数・平米単価共に前年比上昇

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東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した『首都圏不動産流通市場の動向(2015年)』によると、中古マンションの売買成約件数は前年を上回り、成約平米単価は3年連続で上昇しました。2016年の中古マンション購入環境はどうなるでしょうか。
 

中古マンション市場の三大指標がすべて上昇

 
『首都圏不動産流通市場の動向(2015年)』による昨年1年間の首都圏の中古マンション市場の概況は次の通りです。
●中古マンションの成約件数は前年比2.9%増の3万4776件
●成約物件の平米当たり平均単価は前年比6.5%増の45.25万円で3年連続の上昇。すべての都県・地域別でも平均単価が上昇
●成約物件平均価格も前年比6.1%増の2892万円。平米単価同様3年連続の上昇で、すべての都県・地域でも上昇。価格帯別では5000万円超の各価格帯が成約件数、比率とも拡大
●成約物件の平均専有面積は63.92平米で、わずかながら縮小(前年比0.4%縮小)。平均築年数は20.13年(前年19.63年)で、1990年の東日本レインズ設立以来、初めて20年を超えた
●新規登録件数は前年比10.0%増の17万7296件で、3年ぶりに前年を上回った。都県・地域別では埼玉県を除く各都県・地域で前年を上回った
●新規登録物件の平米当たり平均単価は前年比11.9%増の50.16万円、平均価格は前年比8.3%増の2886万円で、単価、価格共に2年連続の上昇
●新規登録物件の平均専有面積は57.54平米で前年比3.2%の縮小。平均築年数は22.05年(前年21.77年)で経年化が進んでいる
 
2015年を振り返ると、中古マンション市場の三大指標といわれる成約件数、価格、新規登録件数のすべてが上昇する一方で、より築年数が高い中古物件まで成約する市況になってきた1年だったといえるようです。
 

中古マンションの価格上昇にブレーキ

 
2015年の首都圏中古マンション市場は「外国人のインバウンド投資」と「富裕層の高価格帯マンション購入」が目立ったといわれます。その影響で右肩上がりの成約件数・平均価格上昇を招いたようです。
そんな中で、特に東京では平均価格が地域ごとに違う動きを示した点が注目されます。
東京の中古マンション市場は「都心部」(都心3区または都心5区)、「ミドルエリア」(城南・城西・城東・城北地区)、「多摩地区」の3エリアに大別できます。
このエリア別に東日本レインズの資料を見ると、都心3区は2013年1月から2015年10月まで3年弱の間に40%近く平均価格が上昇し、ミドルエリアは同20%強上昇しましたが、多摩地区の価格上昇率は10%以下でした。
都心3区では、この大幅な価格上昇に誘われる形で2015年後半から新規登録件数と在庫が大幅に増加し、新規登録・在庫件数が前年比約1.7倍に膨れ上がりました。
成約件数も増加しましたが新規登録・在庫件数が急増したため、成約件数の上昇率は弱まりました。
 
こうした状況から2015年秋以降は価格上昇に過熱感が生まれ、それまでの価格上昇傾向に需給力学が働き、ブレーキがかかり始めたと見られています。
また、中国経済の減速、原油・資源価格の下落など世界経済の不透明感が深まった影響からかインバウンド投資にも陰りが見られ、2016年は都心部のタワーマンションを中心に「都心バブル」を警戒した価格調整が始まる可能性が高まっているようです。
 

中古マンション購入は消費者に有利な環境へ

 
中古マンションの価格相場は新築マンションの影響を受けやすいといわれています。
不動産経済研究所の資料によれば、首都圏の新築マンションは2013年から2015年まで3年連続で年間供給戸数が減少しています。
その理由は、
●分譲価格の上昇で売れ行きが鈍化。このため一定の成約率を確保するためデベロッパーが供給量を絞っている
●都心での大規模マンション開発用地が不足。都心の市街地再開発地域ではオフィス、商業施設、ホテルなどの複合オフィスビル開発が優先されるため、大規模マンション開発用地取得が制約される
――などといわれています。
 
また新築マンションの開発は、供給戸数のみならず専有面積にも変化が見られます。
都心部では分譲価格の上昇を抑えるため専有面積を圧縮し、内装のグレードも落とす傾向が見られます。その結果、専有面積50~60平米のコンパクトマンションが増加し、魅力の乏しい新築物件が目立つようになってきたといわれています。これが中古マンション人気を高める一因にもなっているようです。
すなわち、都心の高級マンションに住んでいた人が、家族構成の変化などで住み替え先を探すときに、「専有面積が狭く、内装グレードも低い都心の新築マンションは希望条件に合わない」と購入を断念し、中古マンション購入に切り替える傾向が強まっているといわれます。
 
東京のミドルエリア、神奈川県、埼玉県、千葉県などの近県では新しい購入傾向も生まれています。
従来の分譲マンションは「駅近・築浅」が売れ筋物件の条件でしたが、昨年は築20年以上の中古マンションでも成約率が高まっています。
「駅近」は必須でも、専有面積、共用設備などマンショングレードが自分の希望条件と合致すれば「築年数は問わない」とする消費者が増えたといわれています。近年の新築マンションでは得られない「中古マンションならではの魅力」に気づく消費者が増えているのかもしれません。
 
冒頭の東日本レインズの調査が示すように、2016年の中古マンション市場は選択肢が豊富になっています。さらに日銀のマイナス金利政策の導入で、住宅ローンの金利も「これ以上は無理」といわれるところまで低下しています。
このように2016年の中古マンションは、購入者にとっては有利な状況にあるといえそうです。
編集監修者情報
編集監修者
株式会社大京穴吹不動産
所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-18 オリックス千駄ヶ谷ビル
設立年月
1988年12月
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