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不動産投資で見落としがちなマンションの建物構造による減価償却費の違い
目次
サラリーマン投資家にとって賃貸マンションは人気の投資物件ですが、見落としがちなのが「建物の構造」といわれています。構造と減価償却費の関係をよく知らないために十分な収益を上げられず、投資に失敗するケースも少なくないといわれています。
集合住宅の構造は4タイプ
集合住宅の構造は「RC造(鉄筋コンクリート造)」、「SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造」、「S造(鉄骨造)」、「木造」の4タイプに大別されます。それぞれの主な特徴は次の通りです。
●RC造(鉄筋コンクリート造)
何本もの鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流しこんで固めた構造です。引張力に強い鉄と、圧縮力に強いコンクリートを配合させることにより強度を確保しています。中高層マンションで広く用いられている構造です。●SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造
鉄筋で組んだ型枠の芯の部分に鉄骨を通し、鉄筋と鉄骨の間をコンクリートで固めた構造です。RC造の中心部分に鉄骨が入っていると考えるとわかりやすいかと思います。鉄筋コンクリート造と鉄骨造それぞれの長所を持ちあわせています。建築コストはRC造より高くなりますが、比較的柱や梁のサイズが小さくできるので、高層マンションやタワーマンションで広く用いられている構造です。最近では高強度コンクリートの技術が進歩し、採用をされる事が減ってきています。●S造(鉄骨造)
柱と梁に鉄骨を用いた構造です。RC造やSRC造のようにコンクリートで固めないので、住戸空間を広く、また、建物自体を軽くでき、工期を短くできるなどのメリットがあります。低層マンションやアパートで広く用いられている構造です。なお、材料の種類や鉄骨の厚みの違いにより「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」に分かれます。
●木造
柱と梁に木材を用いた構造です。他の構造に比べて強度は劣りますが、増改築や補修を行いやすく、建築コストも安くなります。主にアパートや戸建てなどで用いられている構造で、マンションで使われることはほぼありません。マンションの耐用年数で変わる減価償却費
固定資産税、銀行借入の利息、減価償却費が「賃貸マンション経営の三大経費」といわれます。この中で減価償却費は、マンションの耐用年数により大きく異なるので、「減価償却費のコントロールは税金のコントロールに繋がる」といわれるほど、節税面で大きな比重を占めています。
不動産投資における減価償却費とは、簡単にいえば「建物の劣化代」です。建物は経年に伴い劣化します。仮に5000万円で購入した新築マンションが10年後に売却額が3500万円と査定された場合、そのマンションの価値は1500万円分劣化していることになります。
そこで、賃貸マンションなどの事業用建物については、その劣化分を必要経費として一定期間認めましょうという会計処理が減価償却費になります。なお、資産価値が経年劣化しない土地は減価償却費の対象にはなりません。
そこで、賃貸マンションなどの事業用建物については、その劣化分を必要経費として一定期間認めましょうという会計処理が減価償却費になります。なお、資産価値が経年劣化しない土地は減価償却費の対象にはなりません。
では減価償却費の仕組みはどうなっているのでしょうか。
賃貸マンションなどの建物は、構造ごとに耐用年数と償却率が税法で次のように定められています。
賃貸マンションなどの建物は、構造ごとに耐用年数と償却率が税法で次のように定められています。
●RC・SRC造…………耐用年数ː47年、償却率ː0.022
●重量鉄骨造……………耐用年数ː34年、償却率ː0.030
●軽量鉄骨造……………耐用年数ː27年、償却率ː0.038 ※
●木造…………………耐用年数ː22年、償却率ː0.046
このようにRC・SRC造は構造が頑丈なため、それだけ長く使用できるとして耐用年数が他の構造よりかなり長めに設定されています。
※2007年(平成19年)4月以降に取得した場合は償却率が0.038となります。
●重量鉄骨造……………耐用年数ː34年、償却率ː0.030
●軽量鉄骨造……………耐用年数ː27年、償却率ː0.038 ※
●木造…………………耐用年数ː22年、償却率ː0.046
このようにRC・SRC造は構造が頑丈なため、それだけ長く使用できるとして耐用年数が他の構造よりかなり長めに設定されています。
※2007年(平成19年)4月以降に取得した場合は償却率が0.038となります。
次に減価償却費は「物件取得価格×償却率」で算出します。ここで耐用年数が問題になってきます。
仮に新築の賃貸マンションを1億円で購入した場合、構造別の減価償却費は次のようになります。
●RC・SRC造……1億円×0.022(償却率/耐用年数47年)=減価償却費220万円/年
●重量鉄骨造………1億円×0.030(償却率/耐用年数34年)=減価償却費300万円/年
●軽量鉄骨造………1億円×0.038(償却率/耐用年数27年)=減価償却費380万円/年
●木造…………………1億円×0.046(償却率/耐用年数22年)=減価償却費460万円/年
仮に新築の賃貸マンションを1億円で購入した場合、構造別の減価償却費は次のようになります。
●RC・SRC造……1億円×0.022(償却率/耐用年数47年)=減価償却費220万円/年
●重量鉄骨造………1億円×0.030(償却率/耐用年数34年)=減価償却費300万円/年
●軽量鉄骨造………1億円×0.038(償却率/耐用年数27年)=減価償却費380万円/年
●木造…………………1億円×0.046(償却率/耐用年数22年)=減価償却費460万円/年
減価償却費の多い構造が投資に有利とは限らず
上記のように、木造の場合はRC・SRC造の倍以上の減価償却費を経費として計上できます。数字だけを見ると木造の方が一見投資に有利と思えますが、落とし穴は減価償却費を計上できる期間、すなわち耐用年数です。
例えば築10年のRC・SRC造と木造を比べると、前者は残り37年分の減価償却費を計上できますが、後者は残り12年分しか計上できません。
そこで減価償却費計上総額を比較すると「8140万円(220万円×37年)-5520万円(460万円×12年)」で、RC・SRC造と木造の間には2620万円もの開きが生まれます。
つまり年間計上できる減価償却費が多いほど良い=投資に有利とは限らないのです。
例えば築10年のRC・SRC造と木造を比べると、前者は残り37年分の減価償却費を計上できますが、後者は残り12年分しか計上できません。
そこで減価償却費計上総額を比較すると「8140万円(220万円×37年)-5520万円(460万円×12年)」で、RC・SRC造と木造の間には2620万円もの開きが生まれます。
つまり年間計上できる減価償却費が多いほど良い=投資に有利とは限らないのです。
投資の資金調達面でも減価償却費の年間計上額が多い木造や軽量鉄骨造が有利とは限りません。
例えば築10年の物件の場合、RC・SRC造なら35年の長期ローンが組めますが、軽量鉄骨なら17年、木造なら12年の中期ローンしか組めません。当然、後者の場合は月々のローン返済負担が重くなり、収益悪化を招く可能性も出てきます。
例えば築10年の物件の場合、RC・SRC造なら35年の長期ローンが組めますが、軽量鉄骨なら17年、木造なら12年の中期ローンしか組めません。当然、後者の場合は月々のローン返済負担が重くなり、収益悪化を招く可能性も出てきます。
賃貸マンションの投資においては、その物件がどの構造か、物件運用期間は短期か長期か、ローン返済期間は短期か長期かなどにより、投資戦略と収益性が変わってきます。
したがって特に投資初心者の場合は、まず投資を対象にしたマンションの構造と耐用年数を把握し、信頼すべき不動産会社に収益シミュレーションを依頼して、その結果に基づいて投資戦略を検討する姿勢が重要といえるでしょう。
したがって特に投資初心者の場合は、まず投資を対象にしたマンションの構造と耐用年数を把握し、信頼すべき不動産会社に収益シミュレーションを依頼して、その結果に基づいて投資戦略を検討する姿勢が重要といえるでしょう。
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