賃貸物件退去時の原状回復で請求できる範囲はどこまで?

2017-08-27 12:02:51.0

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賃貸物件のオーナーをしていると、入居者が退去する際の原状回復において、多少なりともトラブルになった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。これはオーナーと入居者において、原状回復に対するイメージが異なることに起因しているケースがほとんどです。今回はそんな退去時の原状回復にあたって、入居者に請求できる範囲についてご紹介します。

 
原状回復の定義について

不動産における「原状回復」とは、賃貸借契約終了時に、借主が貸主に対して、物件の明け渡しの義務とともに、借りた状態に復帰させる義務を負うことをいいます。この「借りた状態に復帰させる」ことを、「借りた当時と全く同じ状態に戻す」とイコールで認識しているオーナーが少なくないことから、トラブルになりやすいという側面もあるようです。

 
《経年劣化や通常の生活による傷は貸主の負担》

これまで、原状回復においては裁判で争われたケースも多く、数多くの判例が出ています。
その中で各地の簡易裁判所や地方裁判所は、原状回復について以下のように示してきました。
 
1.建物の通常消耗分をもとの状態に回復することではなく
2.賃借人の故意・過失等による劣化の回復を意味する
 
つまり、「畳が日に焼けた」とか「テレビ台の後ろの壁紙がテレビの熱で変色した」等の経年劣化や、通常の生活において生じる汚れや傷みについては原状回復の義務はなく、この損耗の修繕費用は毎月の家賃に含まれているとされています。
生活する上で、通常の清掃(ゴミの撤去、掃き掃除、拭き掃除、水回りの手入れ、レンジやコンロまわりについた油汚れの除去など)を、汚れに気付いたら定期的に行っていれば、「劣化の回復」、つまり「原状回復したもの」とみなすことができます。

 
《故意や過失でついた汚れや傷は借主の負担》

一方で、借主の故意や過失によってついた汚れや傷は、借主の負担として原状回復の請求をすることができます。例えば標準で床にカーペットを敷いている部屋において、家具を置いた場所にできたへこみや設置跡は貸主負担となり、請求することはできませんが、カーペットに飲み物をこぼし、その後に清掃や手入れをしなかったために生じたシミやカビの除去は借主負担となります。つまり、飲み物をこぼすまでは通常の生活使用の範囲内ですが、その後の清掃や手入れを怠ることは、故意や過失でシミやカビの原因となったとみなされ、退去時に原状回復で請求することが可能です。

 
民法改正による、敷金返還義務について

ここまで原状回復の判断についてご紹介してきましたが、従来は入居時に預かっている敷金から、原状回復に必要な金額を差し引くという対応をしていたかと思います。これがそもそものトラブルの大きな原因となっていたのですが、2017年5月に民法改正が可決され、今まで曖昧だった敷金の返還義務と原状回復の負担割合が、法律に明文化されることとなりました。
具体的には、

・「敷金」という項目を作る
・定義、返還の時期、範囲などを規定
・敷金は原則として賃貸借契約終了時に返金しなければならない
・経年劣化による補修費用を負担する必要がないことを明記

となり、敷金は基本的に返還する義務があること、また経年劣化や通常の生活においてできる傷や汚れ等については、借主に請求できないということが明文化されたことになります。
 
このことから、従来までやや曖昧だった基準が明確となり、原状回復として借主に請求できるのは「部屋を借りた後に生じた損傷の部分(ただし、生活で生じた傷や汚れを除く)」となったため、より貸主・借主間にて入居時の状態の共有と退去時の状態の共有を丁寧に行うことが大切です。

 
おわりに

一見すると、今回の民法改正は貸主に不利な改正のように見えますが、例えば契約時に特約を設け、退去時にルームクリーニング代を負担するという契約になっていた場合は、法改正後もこの金額は敷金から差し引くことが可能です。あくまで貸主と借主のトラブルを防ぐためにガイドラインを明確にしたものであり、その範囲を超えたものは法的にも請求が可能だといえます。賃貸用物件を所有されている方は、ぜひこの法改正の内容をご自身でも確認してみてください。
 

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