平成27年1月以後に発生した相続より、基礎控除額がこれまでの約6割に縮小されます。
これに伴い、いままで「うちは相続税の心配なんていらない」と思っていた人も、課税されるケースが出てきます。どのように変わるのかを知り、相続に備えて、親子で話し合っておきましょう。

改正点のポイント

基礎控除の40%減 (増税)

一番影響が大きい改正点は「基礎控除の減額」です。
基礎控除額の定額部分が5000万円から3000万円に、法定相続人の数によってプラスされる基礎控除額が1人あたり1000万円から600万円にと、4割も減額されるからです。これによって、課税の対象になる人は全国平均で1.5倍に(首都圏に限れば2倍以上に)増えるという試算がされています。特に大都市圏に土地付きの住宅を持っている⼈は、課税対象になる可能性があります。マンションを複数持っている⼈も、ボーダーラインかもしれません。

2014年末まで
定額部分 5000万円

1000万円 × 法定相続人の数
2015年1月より
定額部分 3000万円

600万円 × 法定相続人の数

(例) 遺産総額8000万円を妻と子ども2人が相続する場合

2014年末まで
5000+1000×3=基礎控除額8000(万円)なので非課税
2015年1月より
3000+600×3=基礎控除額4800(万円)なので残り3200万円が課税遺産総額となります。

未成年者と障害者の税額控除の増額 (減税)

⼀⽅、相続⼈が未成年の場合と障害者の場合の控除額は、2015年1⽉より次の表の通り引き上げとなります。

未成年者控除

2014年末まで
20歳までの1年につき6万円
(20歳-相続時の年齢)×6万円
2015年1月より
20歳までの1年につき10万円
(20歳-相続時の年齢)×10万円

障害者控除

2014年末まで
85歳までの1年につき6万円
※特別障害者は12万円
(85歳-相続時の年齢)×6万円
2015年1月より
85歳までの1年につき10万円
※特別障害者は20万円
(85歳-相続時の年齢)×10万円

「⼩規模宅地等の特例」の限度⾯積拡大 (減税)

相続税の⽀払いのために居住中の⾃宅や営業中の店舗を⼿放さなくてよいように、宅地の評価額を⼤幅に軽減する措置である、「⼩規模宅地等の特例」の限度⾯積・適⽤⾯積が拡⼤されます。同居親族などが相続する場合の居住⽤宅地の⾯積の限度が、これまでの240㎡から330㎡と拡⼤されます。
また⾃営業者など、居住⽤宅地と貸付事業以外の事業⽤宅地の両⽅について特例を受ける場合、これまでは限度⾯積の調整があり、それぞれ限度⾯積いっぱいまで特例を適⽤出来なかったのですが、改正後は両⽅とも限度⾯積いっぱい(最⼤730㎡)まで適⽤可能となりました。(合わせて貸付事業⽤宅地について特例を受ける場合は引き続き限度⾯積の調整があります)
ただし、適⽤を受けるためには、特例適⽤を受ける旨を記載した相続税の申告書を提出しなければなりませんし、宅地の状況や取得者について細かい要件が規定されています。特例の優遇効果が⼤きいため、適⽤にあたっては事前に専門家に相談したほうがいいでしょう。

居住用宅地

2014年末まで
土地の相続税評価80%減
上限面積 240㎡
2015年1月より
土地の相続税評価80%減
上限面積 330㎡

※相続する人の要件
配偶者(要件なし)。同居親族(申告期限まで保有、居住)。持ち家なしの別居親族(上記の人がいないこと、申告期限まで保有)

貸付事業用宅地(アパート、駐車場等)

2014年末まで
土地の相続税評価80%減
上限面積 200㎡
2015年1月より
土地の相続税評価80%減
上限面積 200㎡

※相続する人の要件
親族(申告期限まで保有、事業ひきつぎ)

その他の事業用宅地(自営業の店舗用地等)

2014年末まで
土地の相続税評価80%減
上限面積 400㎡
2015年1月より
土地の相続税評価80%減
上限面積 400㎡

※相続する人の要件
親族(申告期限まで保有、事業ひきつぎ)

居住用宅地 + その他の事業用宅地(自営業の店舗用地等)

2014年末まで
土地の相続税評価80%減
限度面積の調整が必要
2015年1月より
土地の相続税評価80%減
上限面積 730㎡

※貸付事業用宅地の併用には調整が必要

税率区分が8段階に変更され、最⾼税率は55%に (増税)

課税遺産総額のうち法定相続分に応ずる取得⾦額が2億円以下の場合は改正後も税率は変わりませんが、2億円を越えると税率が上がり増税になります。

法定相続分に応ずる取得金額 2014年末より 2015年1月より
1000万円以下 税率10%(控除額0円)
3000万円以下 税率15%(控除額50万円)
5000万円以下 税率20%(控除額200万円)
1億円以下 税率30%(控除額700万円)
2億円以下 税率40%(控除額1700万円) 税率40%(控除額1700万円)
3億円以下 税率45%(控除額2700万円)
6億円以下 税率50%(控除額4700万円) 税率50%(控除額4200万円)
6億円超 税率55%(控除額7200万円)

相続税額の目安

遺産総額8,000万円を、妻と子2人が、法定相続分で相続した場合、平成26年12月31日までの旧税制では課税遺産総額が0円となり、相続税は発生しませんでしたが、平成27年1⽉1日の新税制からは税遺産総額が3,200万円となり、納付税額は175万円となります。

課税遺産総額 = 遺産総額 - 基礎控除

旧税制(平成26年12月31日まで)
8,000万円 - 8,000万円=0円
新税制(平成27年1月1日から)
8,000万円 - 4,800万円=3,200万円

新税制の相続税
相続税 = 課税遺産総額 × 法定相続分 × 相続税率 - 控除額

3,200万円 × 1/2 × 15% - 50万円=190万円
子(2人)
子1人あたり
3,200万円 × 1/4 × 10%=80万円

子合計
80万円 × 2人 = 160万円
相続税の総額
190万円 + 160万円 = 350万円

納付税額 = 相続税 - (配偶者の税額軽減額)

納付税額合計
350万円 - (350万円 × 1/2) = 175万円

※上記税額は参考例です。諸条件により金額が異なります。

問題が大きくなる「二次相続」に備える

実は相続には2種類、「一次相続(配偶者がいる場合)」と「二次相続(子だけの相続の場合)」があるということをご存じですか?
配偶者が存命ならば、大きな配偶者非課税枠(配偶者が取得した財産のうち、1億6000万円と相続財産の法定相続分相当額※とのいずれか多い額まで非課税)があるため、配偶者が多く財産を取得すれば一次相続は相続額がゼロだったり、あったとしても税額が小さくてすみます。
配偶者がいなかったり、配偶者が亡くなった後に発生する「二次相続」になると、相続税の納付額が大きくなりがちです。その時になって慌てないように、税額を概算で知っておくことが⼤切です。

※法定相続分相当額とは…⺠法で決められた取り分のこと。相続⼈の構成によって変わり、たとえば相続人が配偶者だけの場合は全部、配偶者と子どもの場合は1/2となります。

相続税評価額 法定相続人の構成による相続税の目安
1次相続=配偶者がいる場合(配偶者は1/2の財産を取得) 2次相続=配偶者がいない場合
配偶者・
子ども1人
配偶者・
子ども2人
子ども1人 子ども2人
5000万円 40万円 10万円 160万円 80万円
7,500万円 197万円 143万円 580万円 395万円
1億円 385万円 315万円 1,220万円 770万円
5億円 7,605万円 6,555万円 19,000万円 15,210万円

そのうえでできる「二次相続」対策としては

(1)一次相続と二次相続の総額をまえもって計算しておき、最も相続税が安くなる配分になるよう、一次相続のときから子が多めに相続しておく。

(2)⼀次相続時に「⼩規模宅地等の特例」が利⽤できるものは⼦が相続する。

(3)⼀次相続時に価値上昇が⾒込まれる財産や収益を⽣み出す財産は⼦が相続する。

(4)⼆次相続の際に居住⽤宅地の「⼩規模宅地等の特例」が利⽤できるよう、準備しておくこと。

(5)残された配偶者が、⾃宅の改修や贈与などで現⾦資産を徐々に減らしておくこと。  たとえば「暦年贈与」として年110万円の贈与の非課税枠を活⽤したり、「教育資⾦の⼀括贈与の非課税 制度※」などを活用するのも有効です。 具体的には、ご家庭ごとに資産のかたちも相続の事情もさまざま ですので、ぜひ早めに専門家に相談することをおすすめします。

※2013年4⽉から始まった、祖⽗⺟から30歳未満までの孫の教育資⾦を1500万円まで非課税で贈与できる制度

具体的な対策

相続は早めの対策が不要な争いを避け、課税額を減らすことにも!
相続対策は、身内で揉めないこと・課税負担を減らすことが重要です。相続対策には⼤きく分けて、納税資⾦の準備、節税対策、争族対策の3つがあります。早く始めるほど選択肢が広がり、効果が期待でき、残すべき資産を次世代に無理なく継承することが可能となります。

(1)税額試算
対策前に、所有する財産を把握し、税⾦はどの程度かかるのか試算する必要があります。
これらを把握することによって、将来の問題点や現在の対策が⾒つかります。

(2)財産評価
相続税の計算を⾏うためには、相続した財産の価格を⾒積もる必要があり、これを「財産の評価」と言います。相続税法では、地上権や定期⾦など、特定の財産については具体的な評価⽅法が決まっていますが、土地・家屋・有価証券など、大部分の財産については、相続や遺贈を受けた時点での時価によると決まっています。国税庁が財産評価基本通達や個別通達でその目安を公表しています。

(3)贈与税
個⼈から財産(⼟地・建物・現⾦・宝⽯など)を贈与された場合に課税される国税で、贈与を受けた年の1月1日から12月31日までの1年間に譲り受けた財産に対して課税されます。
しかし、年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかかりません。

(4)納税資⾦対策
相続税の納付は、例外もありますが、原則現⾦での⼀時納付となっています。納税資⾦が準備できず何の対策も⾏っていないと、最悪財産を差し押さえられてしまう事態にもなりかねません。

納税資⾦の準備と節税対策について、具体的な⽅法と相談すべき専門家を示したものです。

税を納める準備

具体的な対策 相談先
税額試算 相続税試算サービス 税理士
納税資金の準備 生命保険 保険代理店
証券会社
不動産売却 不動産会社
不動産の収益物件化 不動産会社

税額を抑える準備

具体的な対策 相談先
評価額の低減 負債の増加 銀行
不動産の賃貸物件化 不動産会社
生命保険の非課税枠 保険代理店
証券会社
贈与を使った早期対策 信託銀行
控除額を引き上げる 事業継承特例等の採用 税理士
養子縁組による相続人増加 弁護士
税理士

※「相続税増税への対策」(バームスコーポレーション代表杉山明氏)より

遺言作成

遺⾔とは、⾃分が⽣涯をかけて築き、かつ守ってきた⼤切な財産を次の世代に残す最後の「意思表示」です。⾃分がいなくなったあと残された家族はどうするのだろうか?お葬式は?誰に知らせる?
遺言書がないために、相続を巡って親族が争うことも少なくありません。こういった争族を無くすためにも、遺⾔書は家族へ残せる⼤切な意思表⽰なのです。

遺言書を作成するにあたり大事なことは、誰がどの財産を相続するのかによって、相続税が大きく変わってしまう場合があるということです。あらかじめ税理⼠に相談するなどして、税法上で定められた制度や特例の適⽤条件を正しく理解しておきましょう。

節税事例

現⾦に⽐べて、相続税の評価額を下げることができる「賃貸⽤不動産」

2,000万円の現⾦と⼀⼾2,000万円の賃貸マンションを⽐べた場合、賃貸⽤不動産では評価額が実勢価格(公示価格)よりも低く計算され、最大で3分の1程度に減額できる可能性があります。
現⾦はそのままの評価額であるのに⽐べ、賃貸⽤不動産は借地⼈や借家⼈がいる分、所有者の権利が制限されること、また分割や換⾦がしにくいといった点で相続税評価額が低くなるため相続税の負担を⼩さくすることができます。また、⻑期的には賃貸収⼊を得ることにより納税資⾦を準備することができるのも利点です。

・賃貸の場合、土地は2/3程度に圧縮できる

路線価 × ( 1 - 借地権割合 × 借家権割合 )
路線価 × ( 1 - 0.6 × 0.3 ) = 路線価の80%程度

路線価は実勢価格(公示価格)の70~80%のため、実勢価格の2/3程度に評価減。

・賃貸の場合、建物は1/3程度に圧縮できる

固定資産税評価額 × ( 1 - 借家権割合 )
固定資産税評価額 × ( 1 - 0.3 ) = 固定資産税評価額の70%程度

固定資産税評価額は建築工事費(購入費)の30~70%のため、固定資産税評価額の1/3程度に評価減。

路線価
実勢価格(公示価格)の70~80%
固定資産税評価額
建築工事費(購入費)の30~70%
借地権割合
不動産を貸していることで、所有者の権利が制限される分、評価額を減額する。
場所により異なる。
借家権割合
不動産を貸していることで、所有者の権利が制限される分、評価額を減額する。
借家権割合は3割。

2000万円の賃貸マンションと現金の評価額を比較してみよう

2,000万円の現⾦と⼀⼾2,000万円の賃貸マンションを⽐べた場合、賃貸⽤不動産では評価額が実勢価格(公示価格)よりも低く計算され、最大で3分の1程度に減額できる可能性があります。
現⾦はそのままの評価額であるのに⽐べ、賃貸⽤不動産は借地⼈や借家⼈がいる分、所有者の権利が制限されること、また分割や換⾦がしにくいといった点で相続税評価額が低くなるため相続税の負担を⼩さくすることができます。また、⻑期的には賃貸収⼊を得ることにより納税資⾦を準備することができるのも利点です。

マンションの⼟地と建物の按分⽐率は2×8と仮定した場合、建築工事費 1600万円、土地実勢価格 400万円となります。

建物 (1600万円 × 0.5) × ( 1 - 0.3 ) = 560万円

※固定資産税評価額が50%と想定

土地 (400万円 × 0.8) × ( 1 - 0.6 × 0.3 ) = 262.4万円

※相続税路線価を公⽰価格の80%と想定

262.4万円 × ( 1 - 0.5 ) = 131.2万円

※⼩規模宅地等の評価減(50%)を受けられた場合。ただし諸条件により適用されない場合もあります。

相続税評価額 560万円 + 131.2万円 = 691.2万円
現金の相続税評価額の2,000万円と比較して最大1/3程度に評価額を圧縮できる。

※試算はあくまでも一例です。

遺産総額8,000万円を、妻と子2人が、法定相続分での節税比較

遺産総額8,000万円を、妻と子2人が、法定相続分で相続した場合何もしていない場合の納付税額175万円に対して、2,000万円の賃貸マンションを、2人の子にそれぞれ1⼾ずつ相続することを前提に購入した場合には、遺産の総額が5382.4万円となり、納付税額は29.12万円となります。

節税なし 節税あり
課税遺産総額 8,000万円-4,800万円=3,200万円 5,382.4万円-4,800万円=582.4万円
3,200万円×1/2×15%-50万円=190万円 582.4万円×1/2×10%=29.12万円
子(2人) 3,200万円×1/4×10%=80万円×2 582.4万円×1/4×10%=14.56万円×2
納付税額合計 350万円-(350万円×1/2)=175万円 58.24万円-(58.24万円×1/2)=29.12万円

※上記税額は参考例です。諸条件により金額が異なります。

受付時間 平日9:00~17:00
定休日 土日祝日・年末年始・GW・夏季休暇等

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