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拡大するマンション業界の「住宅設備保証サービス」

公開日:2016-01-27 00:00:00.0

中古マンションの商品的弱点の1つがアフターサービスの低さだといわれてきました。ところが、中古マンション人気が高まってきたのを機に、消費者にもっと安心して中古マンションを選んでもらおうと不動産仲介大手が国の施策とは別に、独自のアフターサービス「住宅設備保証サービス」を次々と開始。民間ならではの工夫もあってかその利用が拡大しています。

中古マンションの人気が高まってきたが……
このところ、中古マンションをはじめとする中古住宅の人気が高まっていますが、その市場流通を欧米と比較すると、ある意味でその差にがくぜんとします。
国土交通省『国土交通白書2015』の「既存住宅流通シェアの国際比較」によれば、2013年現在におけるわが国の既存住宅(中古住宅)取引戸数は16.9万戸、新築住宅着工数は98.0万戸で、住宅取引全体における既存住宅取引割合は14.7%でした。
対して、米国の既存住宅取引戸数は490.8万戸、新築住宅着工数は58.7万戸で住宅取引全体における既存住宅取引割合は89.3%、英国の既存住宅取引戸数は93.2万戸、新築住宅着工数は12.7万戸で住宅取引全体における既存住宅取引割合は88.0%、フランスの既存住宅取引戸数は71.9万戸、新築住宅着工数は33.2万戸で住宅取引全体における既存住宅取引割合は68.4%でした(米英仏はいずれも2010年現在)。
これを見ると、わが国の中古住宅取引率がいかに低いかが分かり、中古住宅流通市場の整備がいかに遅れているかも推察できます。
では、わが国の中古住宅流通は欧米に比べて、なぜこれほどまでに遅れているのでしょうか。先に述べた中古住宅流通市場整備の問題に加え、中古住宅に対する消費者の不安・不信感がどうやら背景にあるようです。
例えば、2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」を踏まえ、国土交通省が中古住宅流通促進政策を打ち出すための検討材料として、同省が日経BPコンサルティングに委託した『中古住宅購入における消費者サイドの調査結果』(2012年3月)の「中古住宅を購入しない理由」(複数回答)を見ると、回答最多の「新築の方が気持ちいい」59.7%は当然予想できるとして、「新築物件よりも問題が多そうだ」32.8%、「後から欠陥が見つかると困る」29.6%、「性能がよく分からない」12.0%、「価値が下がりそう」7.4%などの結果が目を引きます。
中古住宅に対する消費者のこうした不安、不信感を解消しようと、国も中古住宅流通市場の整備を急速に進めています。
国土交通省が2013年6月に「既存住宅インスペクション(中古住宅安全診断)・ガイドライン」を策定、2014年2月からは「長期優良住宅化リフォーム推進事業」も開始されました。
話は前後しますが、国土交通省は2010年4月から「既存住宅売買瑕疵保険」制度も創設しています。
これは国土交通大臣指定の住宅検査機関が中古住宅の安全性を診断し、所定の条件を満たしていれば、国土交通大臣指定の「住宅専門保険会社」(住宅瑕疵担保責任保険法人)が瑕疵担保責任(欠陥住宅に対する損害賠償)期間を5年間、保険金支払い額を最大1,000万円まで保証する仕組みです。
購入した中古住宅の欠陥が判明した場合、売主に補償力がなくても住宅専門保険会社が損害賠償してくれるので、買主の安心感が高まります。
ところが、この保険は売主の加入が任意であるのに加え、保険に加入すると売主が住宅検査料と保険料とを合わせて10万円前後の負担をしなければならないため、「制度はできたが……」と、あまり普及していないのが実情です。
この制度的な不便さを国とは別の視点から補正しようと、2012年後半から不動産仲介大手が相次いで自主的に開始したサービスが「住宅設備保証サービス」といえます。

「クレーム産業」から「信頼産業」へ
住宅設備保証サービスは業界の統一名称ではありません。サービスの名称は「設備保証サービス」(大京穴吹不動産)、「住宅補修サービス」(三井のリハウス)など様々です。しかし、既存住宅売買瑕疵保険の瑕疵担保責任に準ずる仕組みを導入し、瑕疵担保責任期間を1年から2年の範囲で設定しているサービスの枠組みは各社共通しています。
基本的な仕組みは次の通りです。
売主が中古マンション売却時に不動産仲介会社が指定する第三者検査機関に物件の検査を受け、物件売却後は売主の法定瑕疵担保責任期間(構造部は3カ月以内、住宅設備は7日以内)中はサービス提供各社が売主へサービスを保証し、その後は買主へサービスを保証します。
これで売主は以前より中古マンションを売却しやすくなり、売却後のトラブルも回避できるようになりますが、それが同サービスの魅力だともいえます。買主もこれで安心して中古マンションを購入できるメリットがあるようです。実際、サービス利用者も年を追うごとに増えているようです。
時あたかも、杭打ちデータ改ざんによる施工不良問題がマンション業界を揺るがせています。しかし、この住宅設備保証サービスが市場に浸透すれば、こうした問題の再発抑止の一助になるものと思われます。そのためにも、サービスのさらなる拡充が不動産仲介会社に求められているといえます。
「クレーム産業から信頼産業への転換」。これこそが欧米並みの中古マンション流通への基礎工事といえるでしょう。


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