同居するのか、近くに住むのか―。親子の住まいかたは多くの人が考えるテーマでしょう。独立した子どもが近くに住んでいると、困ったときに頼りになって何かと安心ですよね。子どもとしては、年老いた親を遠くに置いておくのも心配です。一戸建ての二世帯住宅は、長らく親子同居の主流として存在してきましたが、最近では一戸建てではなくマンションの購入を検討される人が出てきました。親世帯と子ども世帯が同じマンションに暮らすとはどういうことでしょうか？　今回は二世帯住居の新しいライフスタイルを紹介します。

二世帯別々の同一マンション居住に注目

二世帯マンションといっても居住の方法はさまざまです。隣同士の二戸を購入したり、二世帯が異なる階の二戸をそのまま独立した形で居住することもできるでしょう。今回は一戸建てではなくマンションならではのメリットを生かせる、独立した形での二世帯マンションのケースに注目します。

ライフステージに合わせて部屋の交換が可能

例えば、最初は資金が多い親世帯が間取りの広い住戸を選び、子ども世帯は夫婦二人が住むのに十分な程度の広さで購入したとしましょう。その後、子ども世帯に新しい家族ができた時点で、親世帯と子ども世帯で住戸をまるごと交換してしまうという方法があります。親世帯は老いるにつれて広い部屋を持て余し、子ども世帯は子どもが成長するにつれて手狭になる。ライフステージの変化で生じるこの問題を解消できますよね。さらに、マンション内での引っ越しですので子どもの転校もなく、いろいろな手続きも少なく済むでしょう。

二世帯に適度な距離感が保たれる

二世帯別々のメリットは他にもあります。親子世帯で居住階を別にすることで、同居や二世帯住宅にはない、適度な距離感が保たれます。「毎日顔を合わすことはないけれど、会いたいときにはすぐ行くことができる」という距離感・安心感が、二世帯の良好な関係づくりを助けるでしょう。また、子ども世帯の真下の部屋に親夫婦が居住すれば、子ども世帯は足音などに必要以上に気をつけることもなく、快適なマンションライフを送ることも期待できます。「スープの冷めない距離」という言葉があるように、適度な距離は互いの関係を良好に保つには適切なのかもしれません。

将来的に売却しやすい

子どもの独立や結婚、親の他界など、月日が経つにつれて家族は増えたり減ったりするものです。居住者が減った時に、二戸別々であれば一戸だけを賃貸や売却に回すことが可能です。将来的な売却のしやすさの点からも、二戸別々を選択肢の一つとする人がいるようです。

二世帯マンションは新しいライフスタイルにマッチ

現代社会では核家族化が進み、「若い世帯は十分な子育てのサポートが受けられない」「親世帯は介護の問題を抱えている」などのさまざまな問題が生じています。これまでの二世帯住居だと問題の解消はできますが、同居と引き換えに両世帯のプライベートが保ちにくいデメリットがありました。二世帯で同じマンションに暮らすスタイルは、両方の問題を解決できる新しいライフスタイルかもしれません。自分たちの時間を大切にしながらも、親や独立した子どもが近くにいて安心感もが得られる。このようなライフスタイルが増えていくかもしれませんね。