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都心8 区の中古住宅マーケットウォッチVol.5

公開日:2023/12/25

目次

前回の報告に引き続き、直近1年間の都心8区中古マンションの四半期平均販売価格などを見ていきます。



都心8区の㎡あたり販売単価などの推移は?(図1)






都心8区㎡単価(図1)を見ると2023年第3四半期は港区(172.70万円/㎡)が千代田区(171.95万円/㎡)を逆転する結果となりました。また2023年第3四半期における平均販売価格(表2)でみても港区(9,883万円)、次いで千代田区(8,339万円)の順で、この2区の差は1,544万円となっています。さらには都心8区の専有面積(表2)をもとに比較すると、㎡あたり販売単価は千代田区(171.95万円/㎡)よりも港区(172.70万円/㎡)が高い結果でした。


また都心8区の平均専有面積(表2)でも港区が57.23㎡でトップの広さとなりました。逆に千代田区は48.50㎡と都心8区の中では一番狭い面積となっており、単価だけでなく専有面積でも港区を下回る結果となりました。


築年(年)平均は、古い順では目黒区33.06年、渋谷区30.91年と30年を超えているのに対し、新しい順では、中央区20.07年、港区25.21年、千代田区25.68年と20~25年の築年数となっており、築年(年)平均の差は最大で10年以上の開きがあります。中央区、港区、千代田区は都心の再開発などで築年数が浅い物件が多いと推測され、それぞれ販売される中古マンションにも特徴が出てきているといえます。


対前年の同時期から1年間の変動率を示す「対前年四半期㎡単価変動率(表1)」でみても直近の2023年第3四半期では、新宿区の7.68%が大きく、逆に目黒区(1.05%)と品川区(1.62%)は変動率が低く、価格は落ち着いていると考えられます。年間を通じた変動率の1年間平均では、千代田区の6.54%、新宿区の5.70%、渋谷区の5.60%の順で伸び率が大きく、港区は2.99%、文京区は3.27%と落ち着いています。1年間平均の結果では、都心8区全体で約3~7%の間で引き続き上昇を続けています。




都心3区(中央区・港区・千代田区)の成約件数-平均成約単価の推移は?(図2)




都心3区においては、これまでアップしたVo1.4までのマーケットウォッチと同様、今回も半年前の件数と成約単価の間に2四半期前(6カ月)の時間差(ラグ)で正の相関係が見られました。件数が増えていくと半年後には、成約単価も影響を受けて大きくなるということです。特に直近の2023年第3四半期は、成約件数、成約単価、ともに対前期比では下がる結果となりました。



都心3区(中央区・港区・千代田区)の物件ストック数と成約比率は?(図3)




都心3区のストック数と成約比率との関係は時間差(ラグ)なしで負の相関関係があり、直近の2023年第3四半期のストック件数は2023年第2四半期よりやや下落、成約比率はやや上昇しています。



【TOPICS】都心8区のトピックス(広域渋谷圏の再開発の状況)




2023年11月渋谷駅南側に『ShibuyaSakuraStage(渋谷サクラステージ)』がオープンし、さらに渋谷駅周辺は2030年までに継続した再開発があることから、渋谷・代官山・恵比寿といった「広域渋谷圏」の物件には、投資家も将来性に期待を持って注目しています。


2021年頃までは港区に人気が集中していましたが、2023年に入りこれらの再開発などの影響で港区だけでなく渋谷区も人気が出てきました。例えば2023年10月に代官山駅近くの高級賃貸マンションがグランドオープンしましたが、価格高騰の影響を受け高額家賃になっているにもかかわらず、多数の入居募集があったようです。


渋谷区エリアは、再開発の影響で投資対象として、あるいはセカンドハウスといった資産価値を求めるニーズが増え、取引は活発な動きになると思われます。



まとめ


今回も都心における中古住宅のマーケットは、需要、供給共に好調で、引き続き上昇局面であることを確認しました。


日銀が発表しました10月の短観(企業短期経済観測調査)によりますと、大企業の製造業の景気判断を示す指数は、プラス9ポイントと前回を4ポイント上回り2期連続で改善しました。また、大企業の非製造業の指数は1991年以来、およそ32年ぶりの高い水準となりました。また日銀は、2023年10月31日まで開いた金融政策決定会合で長期金利が1%を一定程度超えても容認することを決めましたが、この会合では政策委員から「副作用を抑えながら金融緩和を効果的に継続するため、政策の運用のさらなる柔軟化が望ましい」という意見や、将来の金融政策の正常化を見据えた発言もありました。このように現在は景気、金融政策の転換期であるので、今後も政策面での動きを注視し、最新情報を得て、しっかり不動産マーケットを見ていく必要があります。そのためにはエリアに精通した不動産のプロフェッショナルに相談するのが良いでしょう。今後も定期的にマーケットレポートを更新していきます。次回も今回のまとめと比較し最新の市況動向を読み解いていきます。



Writer

村木 信爾 氏

不動産鑑定士、不動産カウンセラー、FRICS、京都大学法学部卒、ワシントン大学MBA。

信託銀行にて、不動産鑑定、仲介等の業務に携わった後、現在、大和不動産鑑定㈱シニアアドバイザー、明治大学ビジネススクール兼任講師(元特任教授)、PROSIL代表。近著に『不動産プロフェッショナル・サービスの理論と実践』(清文社)2022.6刊、がある。

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