2012-10-05 00:00:00.0
「ヘルスケアリート」組成へ課題抽出、ルール作りへ/国交省の検討委が初会合
国土交通省は、高齢者向け住宅や有料老人ホーム、病院などを投資対象とした「ヘルスケアリート」組成に向け、問題点の抽出やその解決策、それらを踏まえたルール作りによる環境整備などを検討する「ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会(座長:川北英隆京都大学大学院経営管理研究部教授)を設置。5日、第1回会合を開いた。
同会は、介護・医療関係者、年金、生命保険、金融機関、高齢者住宅事業者、業界団体事務局などの代表14名と、オブザーバーとして国交省、厚生労働省、金融庁が参加した。第1回会合では、不動産証券化事業者であるケネディクス(株)、野村不動産投資顧問(株)と、実際にヘルスケア施設に投資しているエイ・アイ・ピー・ジャパン合同会社から、ヘルスケア施設の証券化の有望性や組成に係る問題点などをヒアリングした。
その後、各委員からの意見を求めた。委員からは「投資家の求める賃料収入を、現在の高齢者住宅で実現するのは難しい」「介護保険法など、法律や税制の改正に利回りが左右されるのでは」「規模の小さい高齢者住宅や施設を取りまとめてリートを作ることが、投資家のメリットになるのか」といった厳しい指摘も多かったが、「高齢者が長年にわたり生活する高齢者住宅や施設は、永続性のあるリートが保有するメリットは大きい」「ヘルスケア施設はキャッシュフローが重い。これらを証券化により事業者の負担を軽くすれば、よりよい運営が期待でき、結果的に高齢者の利益となる」といった意見もあった。
また、会の冒頭あいさつした国土交通省土地・建設産業局長の佐々木 基氏は「国の成長戦略では、現在8兆7,000億円の証券化市場を20年度までに倍増させる計画であり、また住宅ストックに占める高齢者住宅の割合も欧米並みにする方針。そのためには、60万戸の高齢者住宅供給が必要となる。投資家に高齢者住宅へ積極的に投資してもらい、日本の抱える課題解決に応えて欲しい」などと語った。
同会は今後、関連事業者や投資家などへのアンケート、個別ヒアリングなどを通じて、ヘルスケアリート組成に向けた課題を抽出していく。なお第2回会合は12月7日、第3回会合は来年2月8日に開催する予定。