2012-10-18 00:00:00.0
東京のオフィスビル空室率、前期比改善でピークアウト/CBRE
シービーアールイー(株)(CBRE)は17日、2012年第3四半期の全国13都市の賃貸オフィスビルの市場動向を発表した。
東京では前期の大量供給が呼び水となって堅調な需要が継続。約5万4,000坪の新規需要が創出され、グレードA空室率は9.3%(前期比1ポイント改善)、23区全体の空室率も7.5%(同0.4ポイント改善)となった。新築・築浅大型ビルでまとまった面積消化が進んでいることや、既存ビルにおける大型維持空室の後継テナントも相次いで決まっていることから、需給バランスの改善が伺え、グレードAビルの想定成約賃料は2万9,900円/坪と、対前期比横ばいで推移。賃料反転の兆しが見られた。
大阪市の空室率は9.9%(同0.1ポイント改善)、3年ぶりに10%を切る水準に。また、グレードAビルの想定成約賃料は1万8,700円/坪と微増し、すでに底を打った様子がみられた。名古屋市の空室率は11.4%(同0.4ポイント改善)と、9期連続で改善。また、想定成約賃料も2万2,150円/坪とほぼ横ばいとなり、希少性を反映し、安定した状況を示した。
同社は、「東京の空室率はピークアウトしており、全国については移転マインドが順調なことから需給バランスが改善。空室率は低下傾向である」とコメントしている。
また同社は同日、同社CBREコンサルティング本部コンサルティング部シニアディレクター・チーフアナリストの前澤威夫氏が「東京オフィスマーケットの現状と今後の見通し」について解説するプレスセミナーを開催した。
セミナーで同氏は、震災後のテナントの意識変化として、耐震性能を最重要と位置付け、さらに非常時電力対応を求める意識が高まったことをデータを用いて解説。また、東京グレードA空室率は12年の大規模ビルの大量供給に伴い著しく上昇したものの、12年第3四半期には9.3%に改善。同年に約30万坪の新規供給が予定されることから、近時の空室率は上昇するとしたものの、12年のグレードAの推定賃水準は前期比でわずかに上昇する見込みであり、「反転モードに入りつつある」(同氏)とした。
今後の市況については「空室率は、東京23区では順調に低下基調となり、主要大型ビルについても緩やかに低下していくだろう。賃料水準については、主要大型ビルは13年頃、東京23区については14年頃に反転する」(同氏)と指摘した。