2014-06-26 00:00:00.0
重説のIT化、遠隔地・法人間取引から検討/国交省が中間とりまとめ案
国土交通省は26日、「ITを活用した重要事項説明書等のあり方に係る検討会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の第3回会合を開き、中間とりまとめ(案)を公表。今後の議論の方向性を示した。
最初に、米国における不動産取引へのIT活用に関する調査結果を発表。2013年の全米リアルター協会(NAR)調査では、56%のエージェントが電子サインを利用していることが分かった。また、電子サインに起因するトラブルはこれまでに発生していないことを述べ、記録に残る電子メールでのやり取りが重宝されているなど、非対面取引のメリットを挙げた。
中間とりまとめ(案)では、「ITの活用により、消費者・事業者双方について時間・金銭コストの縮減が期待できる」「重説を録画保存することが可能となるため、説明内容の誤りや理解不足を原因としたトラブル防止に寄与できるのでは」「取引の効率化・低コスト化による市場拡大効果がもたらされる」など、IT活用により期待されるメリットを整理。
宅建業者がITを活用して重説を行なうか否かについては、消費者および事業者の任意の選択に基づくものであること、重説の具体的なやり方については消費者のニーズに応じた十分な理解が確保できる方法を検討するなど、IT活用を進める場合に検討が必要となる点を示した。
また、売買と賃貸では重説の内容も異なり、取引に要する費用も大きく差があることから、ITの活用にあたっては取引類型にも留意する必要があると言及。個人と法人、特に宅地建物取引のプロである宅建業者では、その知識や理解力にも差があるため、重説等におけるIT活用を検討する際には、消費者の属性(個人・法人の別)にも留意する必要があることも述べた。
以上を踏まえ、まずは需要が高い遠隔地の賃貸物件や法人間の取引の場面において、IT化を活用することを想定し、今後は各種論点について具体的な検討を深めていくことが妥当であるとの方向性を示した。
同省は、各委員からの意見を踏まえ中間とりまとめを公表。7月、同省ホームページで消費者からの意見も募集する。8〜12月には検討会を複数回開催する予定で、今年中に最終とりまとめを示す予定。