2014-11-06 00:00:00.0
質の高い高齢者向け住宅の供給促進に向けた方策等を議論/国交省
国土交通省は5日、「安心居住政策研究会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の第2回会合を開いた。
本格的な人口減少・少子高齢化社会を迎える中、さまざまな世帯の安心な居住の確保に向けた目指すべき方向性と対策を検討するのが目的。大学教授7名の委員で構成され、今回の会合からは、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会、(公社)全国賃貸住宅経営者協会連合会等7つの関係団体が参加。外部有識者として、日本社会事業大学専門職大学院の井上 由起子氏と、社会福祉法人佛子園の雄谷良成氏からヒアリングを行なった。
座長の中川氏は、高齢者住宅政策と地域包括ケア体制についての課題を整理。高齢者向け住宅の消費が過小になっていることの原因が、中古住宅市場、賃貸住宅市場の不完全性にあるということであれば、同市場の環境整備を行なうことがまずは必要であると指摘。医療、福祉等とのより広範囲なサービス供給を意識した、より高度な集積を図ることを目指した政策が考案される必要もあると述べた。
また井上氏は、高齢期の住まいとサービスについて、プライバシーのある共同生活や気配のある1人暮らしの重要性を提案。高齢者住宅の費用負担に係る問題点なども指摘した。
雄谷氏は、人々が歳を重ねても生活の質が向上するよう、健康・参加・安全の機会を最適化するプロセスである「アクティブ・エイジング」について言及。社会参加、地域支援と保健サービスなどを取り入れた、高齢者にやさしい都市の実現の可能性について語った。
事務局からは、高齢者の入居に係る課題と居住支援協議会の活動の目指すべき方向性について課題を整理。高齢者の安心した住まいを確保するためには、入居から退去までの包括的なサポートが必要であり、居住支援協議会のモデル的な取り組みを後押し、普及拡大を図ることが必要と述べた。また、ヘルスケアリートを活用した資金調達は、早期に取得費等を回収でき、新規投資が可能となるなど、所有者にとって大きなメリットがあるとした。
同会では今後、2回の有識者ヒアリングおよび意見交換を行ない、2015年2〜3月頃に中間とりまとめを実施する予定。