2024/8/27
地場景況感、賃貸業況DIは首都圏・近畿圏とも低下
不動産情報サービスのアットホーム(株)は27日、42回目となる「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2024年4〜6月期)の結果を発表した。北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアで前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出(「50」が前年並み)。同社加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち、5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層が対象。調査期間は24年6月13〜25日。有効回答数は1,880店。分析はアットホームラボ(株)。
当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏が52.1(前期比2.9ポイント低下)と低下したが、2期連続で前年並みを示す50を超えた。前年同期比では2.1ポイント上昇。近畿圏は45.3(同1.4ポイント低下)、前年同期比でも1.7ポイント低下と、前期比・前年同期比ともに低下した。
全国14エリアのうち11エリアで前期比低下。首都圏は埼玉県以外、近畿圏は京都府以外で低下した。その他の6エリアでは北海道が3期連続で上昇し、50.6(同3.7ポイント上昇)と50を上回った。首都圏では法人契約や外国人の需要の活発さを示す声が見られた一方、近畿圏では「高い家賃からリーズナブルな家賃への住み替えが多い」(大阪府大阪市)など、安めの物件を探すケースが増えているという声が複数寄せられた。
売買仲介の業況DIは、首都圏が45.2(同0.4ポイント低下)、近畿圏が43.7(同1.6ポイント低下)と、ともに前期を下回る結果に。エリア別では、14エリア中9エリアでDIが前期から低下。特に広島県では36.8(同12.4ポイント低下)と大きく低下した。不動産店からは、「建築費用が上がり過ぎて、戸建てやマンションなどの価格が高騰し購入できない人が圧倒的に多い」(広島県呉市)、「子育て世帯は価格高騰により購入を控えつつある」(福岡県糸島市)など、物件価格高騰による買い控えを指摘するコメントが寄せられた。
24年7〜9月期の見通しDIは、賃貸仲介が首都圏46.1(今期比6.0ポイント低下)、近畿圏43.9(同1.4ポイント低下)。売買仲介では、首都圏42.9(同2.3ポイント低下)、近畿圏40.1(同3.6ポイント低下)と、ともに低下を見込む。
今回の調査結果について、アットホームラボ(株)執行役員データマーケティング部部長の磐前淳子氏は、「賃貸では、首都圏は堅調だが近畿圏では予算に厳しいとの指摘があり、それが業況に表れている。売買では全体的に物件価格の高騰と金利上昇への懸念があり、実需層の購入判断が慎重になっている」と分析している。