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2014-03-31 00:00:00.0

中古戸建て住宅の建物評価見直しへ指針/国交省

 国土交通省は31日、「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定した。

 中古戸建住宅の流通時の評価については原価法が主として用いられているが、その運用については築年数のみを基準としているものが一般的で、築後20〜25年で建物価値がゼロとみなされるなど、建物本来の使用価値を考慮した建物評価となっていなかった。

 また、リフォームやリノベーションによる住宅の使用価値向上についても客観的な指標がないことから、これらが取引価格や金融機関の担保価値に反映されない問題点もあった。

 こうした現状を踏まえ、内外装や設備の補修等による使用価値の向上など住宅の実際の使用価値を適正に反映する評価を目指し、原価法の運用改善や精緻化のあり方を検討すべく、2013年8月「中古住宅に係る建物評価手法の改善のあり方検討委員会」(座長:吉田倬郎工学院大学教授)を設置。5回にわたり検討を進めてきたもの。

 指針では、原価法について「人が居住するという住宅本来の機能に着目した価値(使用価値)」を対象とし、「個別の住宅の状況に応じて使用価値を把握し、減価修正を行なう」ことを基本的方針とした。

 その上で、住宅を一体として減価修正するのではなく、耐用年数が異なる部位ごとに減価を把握し、数宅全体の価値を導き出すことが合理的とした。具体的には、住宅を基礎・躯体と、内外装・設備とに分け、前者については性能に応じて20年より長い年数を設定する。長期優良住宅であれば100年超の耐用年数も許容する。
 また、内外装や設備についても、経年でほぼ一律に減価していくものの、補修等が適切に行なわれることでその使用価値は回復・向上するものと位置付ける。これらにより、個別事案ごとに評価者による柔軟な個別判断を許容する必要があるとした。

 評価の改善に向けては、宅建業者が査定の際用いる「既存住宅価格査定マニュアル」の指針に基づいた改訂、指針に基づいた評価額(参考価格)や「実質的経過年数」についての消費者への示し方、根拠資料のあり方について検討が必要とした。

 同省は今後、同指針に示した評価方法を不動産市場・金融市場に定着させるため、宅建業者や不動産鑑定士が使用する評価ツールや実務指針の検討や、消費者にとって分かりやすい評価結果の見せ方の検討を進める。また、不動産取引実務・金融実務の関係者が一堂に会する「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」において議論を継続する予定。