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2015-11-27 00:00:00.0

「民泊サービス」検討会初会合。旅館業の無許可営業把握、14年度は131件に

 厚生労働省や観光庁などの共管による「民泊サービス」のあり方に関する検討会(座長:東京大学大学院工学系研究科教授・浅見泰司氏)が27日、初会合を開いた。

 急増する訪日外国人観光客の宿泊需要への対応や、遊休資産の有効活用の点から、自宅の一部や別荘、共同住宅の空き室などを活用した「民泊サービス」へのニーズが高まっていることを受け、実態を把握した上で、旅館・ホテルとの競争条件を含めた検討を行なう。

 委員は弁護士・大学教授(国際火災科学・観光学・社会科学)、シンクタンクや関連業界(旅館・ホテル業界、不動産・賃貸住宅業界)、消費者向け相談機関の団体、地方自治体にて構成する。

 初回となる今回は、旅館業法や建築基準法、消防法など関連する現行制度について関係省庁が説明。現行法では、自宅の一部貸し出す「民泊」については、旅館業法に基づく許可を取得することが基本であること、旅館業法に基づく宿泊施設を仲介するには、旅行業法に基づく登録が必要であることを確認。また建築基準法においては、旅館やホテルは防火避難の関係の設備を備える必要があることのほか、建物の用途制限の面で住居専用地域ではホテル・旅館は建築ができないことなどを説明した。

 また、2014年7月に厚生労働省健康局生活衛生課長名で「旅館業法の遵守の徹底について」として自治体に通知。旅館業法の周知徹底と事業者への指導の徹底を自治体に求めており、その約1年後に実施したフォローアップ調査結果も発表した。

 調査対象となった142都道府県区市のうち、無許可営業事案は13年度62件、14年度131件に上った。また一般住宅等を使用した営業許可にあたり、営業の許可ができなかった事例があったのは、46自治体にのぼった。営業許可が出せなかった事例215件のうち、旅館業法関係がクリアできなかったものが92件(43%)、建築基準法関係がクリアできなかったものが84件(39%)であった。

 検討会では、衛生管理面、テロ等悪用防止の観点から安全性を確保し、地域住民および宿泊者とのトラブルを防止しながら、宿泊需要、遊休資産の有効活用の要請に応えるために、民泊の必要性や位置づけ、諸法令との関係、民泊仲介事業者の位置づけ・役割などについて、議論を進めていく。

 年内に2回、検討会を開催し、関係者ヒアリングや討議を行なう。16年3月に中間的な論点整理をまとめ、16年夏から秋にかけて、報告書をとりまとめる予定。