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2021-08-24 00:00:00.0

日本の都市特性評価、大阪市が京都市を抜きトップに

 (一財)森記念財団・都市戦略研究所は24日、「日本の都市特性評価2021」の結果を発表。同日、同財団理事で明治大学名誉教授の市川宏雄氏が概要を説明した。
 政令指定都市・県庁所在地および人口17万人以上の国内138都市と東京23区を対象に、「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野86指標をスコア化し、各都市が持つ特性を数値化した。なお、今回の調査では、対象都市の選定基準を広げ、川口市、所沢市、調布市など東京郊外を中心に29都市を新たに追加。DX推進、CO2排出量、自転車の利用促進といった社会環境の変化に合わせて一部指標の定義を見直し、「完全失業率」「特許取得数」「電子自治体推進度」など新たな指標を取り入れた。
 総合1位は、2018年の調査開始以来トップだった京都市を抜き、大阪市となった。「経済活動」や文化交流の「受入環境」が高評価だったことに加え、「自転車の利用のしやすさ」「電子自治体推進度」(各自治体における行政手続きのオンライン化の推進度合)など新たな指標でも高スコアを獲得している。続く2位は京都市、3位は福岡市、4位は横浜市、5位は名古屋市となった。 新たに追加した都市では、三鷹市が財政力指数や研究者の多さ、バス停密度などで高評価を得て、総合26位にランクインした。
 分野別に加え、「人」の視点で評価する「アクター」(シングル・ファミリー・シニア・観光客・経営者・従業者)別スコアでは、シングルとファミリー、シニアで1位となった福岡市と、ファミリーとシニアで2位になった松本市が注目都市として挙げられた。また、東京23区における合計スコアは、千代田区、港区、中央区の順と例年通りの結果となっている。
 一方、昨今の社会情勢を反映した指標で見てみると、リモートワークが推奨される中、「居住環境の満足度」では、三鷹市、福岡市、西宮市が、東京23 区では、文京区、千代田区、港区が高評価を得ている。「住宅の広さ」では⾧岡市、出雲市、上越市の順となり、東京23 区では葛飾区、世田谷区、練馬区の順でとなった。災害時の安全性の高さについては、三鷹市、厚木市、相模原市、東京23 区では千代田区、文京区、目黒区が上位となった。環境問題への意識が高まりを反映したリサイクル率では、鎌倉市、倉敷市、調布市が高い評価を得ている。
 またコロナ禍でのリモートワーク状況を明らかにするために、21年3月に対象都市に居住する300人を調査対象としたアンケート調査も実施。その結果、リモートワークの割合は、首都圏、特に東京23 区で大幅に増加し、関西圏や地方大都市ではやや増加傾向。地方の中核都市ではわずかに増加している程度で、その他の都市では、コロナ禍によって就業・就学の形態は大きく変わってはいないことが明らかになった。
 市川氏は、「この調査は、都市間の競争力を測るものではなく、各都市の強み・弱みを明確にするもの。今後、どの特性を伸ばすのか、どの部分を見出していくのかといった都市づくりの指標となれば」などと述べた。
 同調査の概要版は同財団ホームページよりダウンロード可能。