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投資

2022-05-26 00:00:00.0

オフィスの期待利回り、多くの地域で低下傾向

 (一財)日本不動産研究所は25日、46回目の「不動産投資家調査」(2022年4月現在)の調査結果を公表した。
 アセットマネージャーやアレンジャー、ディベロッパーなど186社を調査対象とし、141社より回答を得た。
 オフィスビル(Aクラスオフィスビル)の期待利回りは、東京都では「丸の内、大手町」(3.3%)、「日本橋」(3.6%)、「虎ノ門」(3.6%)、「赤坂」(3.7%)、「六本木」(3.7%)、「港南」(3.8%)、「西新宿」(3.8%)、「渋谷」(3.7%)、「池袋」(4.0%)だった。「東京・丸の内、大手町」の期待利回りが前回調査に続き0.1ポイント低下し、1999年の調査開始以来最も低い水準を更新した。その他の東京のオフィスエリアや地方都市でも期待利回りが低下する調査地区が多かった。国際情勢に係る不確実性が高まったものの、日銀の緩和的な金融政策の下、国内優良物件に対する不動産投資家の投資姿勢は積極的なままであり、こうしたことが期待利回りの低下に影響したとみている。
 住宅(賃貸住宅1棟)は、ワンルームタイプでは前回比横ばいの調査地区が多くみられたが、ファミリータイプについては「東京・城南」を含む多くの調査地区で期待利回りが低下した。商業店舗は、コロナ禍で人流抑制の影響が大きい都心型高級専門店では多くの調査地区で期待利回りが前回比横ばいとなったが、郊外型ショッピングセンターでは多くの調査地区で低下している。物流施設・倉庫(マルチテナント型)は、コロナ禍でeコマースの進展に拍車がかかり、多くの調査地区で期待利回りは低下。ホテル(宿泊特化型)は、新型コロナの変異種等で様子見姿勢が強まり、すべての調査地区で利回りに変化はなかった。
 今後1年間の不動産投資スタンスについては、「新規投資を積極的に行なう」という回答が94%(前回比1ポイント低下)、「当面、新規投資を控える」は5%(同横ばい)だった。日銀の緩和的な金融政策の下、全体としては不動産投資家の積極的な投資姿勢が維持された。
 併せて、特別アンケートとして、「2022年の不動産投資市場〜国内外の情勢変化を踏まえて〜」(回答者数130社)および「不動産のESG投資について」(同126社)を公表した。
 2022年の不動産投資市場については、昨秋以降の国内外の情勢変化を踏まえた回答各社の不動産投資姿勢については、「特段の変化はない」とする回答が92.9%で最多。その理由として「エクイティ投資家の投資姿勢や要求リターンに、変化はないから」がトップであった。 22年の不動産投融資を行なうに際し注視している事柄については、「日銀の金融政策」が最も多く、次いで「新型コロナウイルスの感染状況」。不動産投資市場の今後の成長ファクターについては、「市場参加者の多様化」が最多で、「投資アセットの多様化」がそれに続いた。一方、今後のリスク要因については、「金利の上昇」が最も多く、次いで「賃料の伸び悩み」であった。
 不動産投資家が、ESG投資に適した不動産に投融資をする場合、そうでない不動産への投融資に比べてどんなことを期待するか? については、「不動産価値への影響」とする回答が最も多く、将来的な収益性の向上を期待する声が多かった。 ESGに配慮した不動産とそうでない不動産の賃料収入について、現在は「特に違いはない」(82.4%)とする回答が最も多かったが、10年後については「1〜5%程度高い」が60.2%を占め最多となった。ESG投資に適した不動産とそうでない不動産の期待利回りについて、現在は「変わらない」(77.1%)とする回答が最も多いが、10年後については「−10bp(価値が高い方向)」(39.7%)が最多に。