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投資

2021-10-05 00:00:00.0

21年上期の不動産取引規模、約2兆5,000億円に

 (一財)日本不動産研究所は9月30日、「不動産取引市場調査」(2021年上期)の結果を公表した。JREITや東京証券取引所等の公表事例を独自に集計し、01年上期以降、約3万500件の取引事例を収集してデータベース化している。
 21年上期の不動産取引市場の規模は、約2兆5,000億円が顕在化しており、コロナ禍以降も活発な状態が続いている。なお、市場規模は07年上期に約3兆円でピークを迎え、その後リーマン・ショックにより08年下期には約1兆円にまで縮小。1兆円前後での推移が続いたものの政権交代後の13年上期から大幅拡大しておおむね2兆円超を維持している。
 アセットの構成については20年と異なる特徴もみられた。20年はコロナ禍の影響を受けやすいホテル・商業の取引金額が減少する反面、賃料の安定性が高いレジデンスや物流取引が大幅に増加した。一方で、21年に入ると事業法人を中心にオフィス流動化の動きが強まり、オフィス売買が増加。また、ホテルについては将来の市況回復を見越して取引再開の動きがみられるようになっている。
 取引主体は、コロナ禍以降もJREITは一貫して買い越しを維持しており、JREITへの物件集約が進んでいる。ただし、JREITが一度不動産を取得すると、売却するケースは限定されることから「モノ不足感」が生じる要因ともなっている。この市場構造自体はコロナ禍前から大きな変化はみられない。加えて、20年以降は、外資系ファンドや、機関投資家が出資する私募ファンドの取引増加を背景に、SPC・AM が買い越しに転じており、コロナ禍における有力な買い手として存在感を増している。
 外資系プレーヤーの取得金額については、21年上期は約4,100億円となり、20年下期に続き2期連続で買い越しとなった。なお、2期連続の買い越しは、13年以降でも初めての現象であり、コロナ禍においても外資系プレーヤーが日本の不動産市場に強い関心を寄せていることを示す結果となっている。