How to
 
その他

不動産投資の心得 ~不動産投資の一生を俯瞰してチャンスをつかもう~

Writer
元祖サラリーマン投資家 沢 孝史 氏

最近 の社会・経済の情勢が大きく変化する中では、安定した収入源として不動産投資に注目が集まっているようです。不動産は「動かない資産」であり、生み出す家賃収入も安定する「傾向」がありますが、その安定が約束されているわけではありませんし、安定したとしても必ず収益に結び付くというわけでもありません。また、投資の世界は基本的にはマネーの増減で判定されますが、不動産投資はマネーの動きだけ見ていても真のリターンを知ることはできません。

不動産投資は期間を区切って考えよう!


不動産投資は収益物件に投資するもので、ずっと持ち続ける、一定期間保有後に売却する、短期で転売するなどさまざまなやり方があります。投資を始める際、家賃が将来にわたって一定ではないこと、将来賃貸需要が無くなるリスクがあることも想定し、不動産投資の一生を俯瞰し、どういった期間で収益をあげるか(期間損益)を考えることが重要です。


期間損益を考えるうえで重要な要素の一つにキャッシュフロー(家賃収入から必要経費やローン返済額を差し引いた金額)を予測することがありますが、それには正確な家賃収入と必要経費を把握することが大切です。


でも、期間損益を予測するためには家賃収入を予測するだけでは足りません。

期間損益を予測するポイントは「家賃収入」と「売却価格」


なぜ足りないのでしょう?たとえば年間100万円の家賃収入があって、そのうち70万円を返済して30万円手元に残ったら、30万円儲かった!と言っていいのでしょうか。この物件が1年で100万円値下がりしていたら何も儲かっていませんね。そこで家賃収入だけでなく将来の売却価格の見きわめが必要になってくるのです。


と、言っても「将来の家賃収入や売却価格なんてわかるわけない」という声が聞こえる気がします。


はい。そのとおり、わかりません。不動産に限らず将来の価格を言い当てることはできないでしょう。


しかし、私の経験則では家賃収入は需要と供給を分析することによって、10年程度であれば相応の確率で予測範囲に収まってくると思っています。


また、そうやって将来の家賃収入を予測することができれば、その収入が見込める不動産の価格はいくらになるか(収益還元法)を計算することも可能になります。


そして、この「家賃収入」と「売却価格」の二つの要素を予測し、その下限値でも期間損益がプラスであることがわかれば、その投資は「負けない」投資になりますし、もし予測が上振れすれば利益も大きくなってきます。


つまり、この期間損益の予測こそが不動産投資の肝であり、それは「不動産投資の一生を俯瞰して考える」ことから導き出されるのです。


話が抽象的になりましたので、かみ砕いてお話ししましょう。

金のなる木を買うのにいったいいくら払えるか?

ここに金のなる木が一本だけあるとします。オークションにかけられたら皆さんはいくらまで競い合いますか?


たとえば去年500万円のお金が実りました。おそらく今年もなってくれそうです。またその木の所有者はこれから毎年500万円を20年間生んでくれるだろうと言います。そのとおりなら20年間で1億円が手に入る計算です。


さて、このオークションの参加者は3人いました。


Aさん 20年間は間違いなく続くと考えました。でも1億円で買ったら払ったお金を20年間分割で返してもらうだけだから利益は出ません。ですから5000万だったら儲かると計算しました。


Bさん 10年したら枯れてしまうかもしれないと予想し、3000万円だったら買いたいと考えました。


Cさん この木は20年どころではない、30年、40年とずっとなり続けるはず、だから1億円はお買い得と豪語しています。


あれ、これって不動産投資そのものではないですか?


不動産を買うのにいったいいくら払えるか?

そうなのです。不動産投資の一生は金のなる木と似ています。金のなる木を不動産に変えてみると


Aさん うーん。この物件、20年間は現状を維持できそうだけれど、古くなってくるし、この地域の需要も細くなるから、あとは無価値になるだろう。高く買っては損をする可能性があるから10年で投資額は回収して、残り10年間持ち続けるか売却する作戦でいこう。


Bさん この場所はダメでしょう。今は家賃が入ってくるけど10年もすれば空室だらけで固定資産税だって払えなくなるよ。安く買って早めに資金を回収しないといけないから3,000万円以上は出せないな。


Cさん そんなことないでしょう。ここは需要が強くて30年40年たっても変わらない立地です。投資額は20年間で回収できて、その後も収益を生み続けてくれるから1億円でも買いでしょう。


同じ物件でも三者三様の受け止め方があるものですね。でも、この3人、実は同じ方法で入札価格を決めていました。


不動産投資の一生を俯瞰して購入金額(買っても良い価格)を決める


Aさん 「10年で投資額は回収して」

Bさん 「安く買って早めに資金を回収しないと」

Cさん 「投資額は20年間で回収できて」


皆、最初に回収のことを考えていますね。


このコラムは私が不動産投資に向き合うときの思考手順、優先順位を基に書いているので一般的な考え方とは違っているかもしれませんが、この3人(つまり私)に共通する購入価格の決定方法をご説明します。


1.将来にわたって需要、供給環境その不動産の一生を予測して全体像をつかむ。

(長短の期間を区切り、収支を計算してみる)

2.その一生が経過する中で購入価格を回収する期間を決める

3.回収完了後、最低限どのくらいの収益を期待したいのか考える。

4.2と3のバランスを考え最終的な購入金額を決定する。

平たく言いますと「いつまでなら間違いなく運営できるのかを予測して、その間に間違いなく回収できる金額だったら買う」のです。

不動産投資で失敗しないために


このように自分で買っても良い価格を決めるのですが、価格決定権は売主側にありますので買えないことも多くなります。でも、ここで焦ってはいけません。


失敗しないために一番大切なポイント、それは「物件は相場で買うものではない」です。


目の前に取引事例から見れば妥当な相場価格の物件が出てきたとします。でも、相場だからとそのまま買ってはいけません。これからを予測し、これなら十分収益が上げられると確信できれば買いますが、高ければ見送ることも必要です。


不動産投資は買うことが目的ではなく、収益を上げることが目的です。


そして、収益が上がると確信するためにはその不動産の一生を見通すことが大切になるのです。

Writer
元祖サラリーマン投資家 沢 孝史 氏


1,959年生まれ。法政大学卒業後、損害保険会社のサラリーマンとして10年間勤務。独立を夢見てコンビニ経営に乗り出すが4カ月で廃業、1998年に副業として不動産投資を始め20年間の投資総額は20億円を上回る。利益確定、資産入れ替えのための売却も行い、現在は総額13 億円の不動産を所有、家賃収入年間1億3千万円の安定した賃貸事業を運営している。

筑摩書房での処女作「お宝不動産で金持ちになる!」の上梓をきっかけとしてお宝不動産セミナー(2004年から2010年まで全28回)を主宰、現在最前線で活躍中のカリスマ不動産投資家を多く輩出している。

編集監修者情報
編集監修者
オリックス銀行
ホームページ
https://www.orixbank.co.jp/