国土交通省の「住宅市場動向調査」から読み解く今年のマンション市況トレンド

目次
国土交通省は3月26日、「平成26年度住宅市場動向調査報告書」を発表しました。 住宅市場動向調査は、住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的に、住宅購入者を対象に2001年度より毎年実施されています。調査対象は新築注文住宅、建て替え注文住宅、分譲戸建て住宅、分譲マンション、リフォーム住宅など多岐にわたっているため、ここではマンション関連の概要を紹介します。
住宅の1次取得者は30代が最多
まず、マンション購入者の「世帯に関する調査」では、初めて住宅を購入した1次取得者の世帯主年齢はすべての住宅種別で30代が最多、次が40代となっています。
このうち、分譲マンションは30代(40.5%)、40代(39.0%)で、両世代を合わせると79.5%を占め、平均年齢は40.6歳になっています。一方、中古マンションは30代(42.95%)、40代(29.6%)で、両世代を合わせると72.5%を占め、平均年齢は41.5歳になっています。
次に「住み替えに関する調査」では、1次取得者が「住宅購入に当たって比較・検討した住宅種別」は、全体では「同一種別の比較」が最多を占めています。これを除くと、分譲マンション購入世帯は分譲戸建て住宅との比較が、中古マンション購入世帯は分譲マンションとの比較がそれぞれ1位になっています。
そうして比較・検討して購入した住宅の選択理由のトップ3は、分譲マンション購入世帯は「立地環境が良かったから(59.8%)」「新築だから(57.5%)」「マンションだったから(48.8%)」となっており、理由に大差はみられません。
ところが中古マンション購入世帯の場合は「価格が適切だったから(81.1%)」が断トツの1位で、「立地環境が良かったから(52.4%)」「マンションだったから(40.7%)」と続いています。中古マンションの魅力はやはり物件価格が一番といえそうです。
最後に、「住宅購入時に影響を与えた経済的要因に関する調査」では、「景気の先行き感」、「家計収入の見通し」、「地価・住宅の価格相場」、「住宅購入時の税制等の行政施策」、「金利動向」「従前住宅の売却価格」の6項目で、5項目がプラス影響となっており、「従前住宅の売却価格」のみがマイナス影響となりました。
マイナス影響については「希望価格で売却できなかったのが理由」と推察されています。この結果については住宅種別でも大きな差はみられませんが、自分の予想以上の価格で売れないとプラスに転じないのであればバブル期のような時期以外では、この項目がプラスに転じることは難しいかもしれません。
2015年は活発化が見込まれるマンション市況
この国土交通省の住宅購入者を対象にした上記市場動向結果を踏まえ、供給と価格動向から今年のマンション市況を分析した不動産市場アナリストたちは「今年のマンション市場には追い風が吹いている」という見方でおおむね一致しています。
大都市圏では新築マンション供給戸数も、中古マンション物件の流通も昨年は減少しました。大勢的には今年もこの傾向が続くものと予想されています。しかし、その一方で、例えば2015年の首都圏新築マンション成約率は1月も2月も70%を超えるなど、需要は高いといえます。これは住戸内の設備高性能化に加え、共用施設でも子育て世代向けに便利な託児所を設けるなどといった、近年の入居者ニーズを汲み上げた新築マンションの増加が背景にあるとみられています。
そして、マンション購入者は働き盛りの30代、40代が中心です。この年代は、国交省の先の住宅市場動向調査で、住宅購入時の経済的要因は6項目中5項目がプラス影響と回答しています。このことから、これからマンションを買おうと考えている人も購入には前向きと考えられます。
加えて今年は、住宅ローン減税拡充、住宅取得資金の贈与税非課税枠拡充、不動産取得税の軽減措置など、一般消費者の住宅購入を支援する税制も充実しています。
こうした潜在ニーズの強さ、国の住宅関連優遇税制充実に加え、現在の住宅ローン金利の低位安定などの状況から考えると、「国の優遇税制をうまく利用し、住宅ローン金利の低さを活かして無理のない資金計画を心がければ、今年は例年以上に購入環境が整っている」(不動産市場アナリスト)といえます。
単眼的なミクロ視線では厳しそうな今年の市況も、複眼的なマクロ視線で見ると、活発化する可能性が高いといえるでしょう。