建築資材、人件費の高騰でマンション市場はどうなる?

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テレビやインターネットのニュース、新聞などで「建築費高騰」という見出しを目にするようになりました。現在、分譲マンションのみならず、あらゆる建物や公共施設などの工事費が高騰しています。
建築従事者の減少、公共事業の増加、円安で建築費が高騰
平成26年6月に国土交通省によって発表された「建設投資見通し」によると、平成2年~8年には政府・民間合わせて80兆円~84兆円であった建設投資額は、平成9年以降減少し、平成22年には最低の42兆円とピーク時の半分ほどにまで減少しています。
平成8年ごろまでには十分な建設需要があったため、労働者も多く、建設工事に重要な専門職人も数多く働いていました。また、建設資材も十分に供給されていたことや円高傾向を維持していたこともあり、資材価格は比較的安く抑えられていました。しかし、この14年にわたる建設投資需要の低迷によって建設工事が減少し、若者の就職離れ、専門職人の高齢化や離職によって後継者不足に陥ったほか、建設関連事業者の倒産や廃業などにより労働人口も減少したのです。
しかし、「東日本大震災」の発生により事態は急変します。復興事業を急ピッチで進めることが求められ、国や地方自治体、民間企業で一気に建設需要が高まったのです。さらに、安倍政権(第2次)が誕生し、景気回復政策を推し進めるいわゆる「アベノミクス」政策が進み、震災復興に加えて、多くの公共事業が行われるようになりました。
建築業界の労働人口が減少する中、東日本大震災とアベノミクス政策によって建設工事が急増。人材不足は大きな問題となり、人件費の高騰という状況となっています。また、この急激な建設需要増によって建設資材の在庫不足も生じています。アベノミクス実施以降は、急激な円安となり資材の輸入価格も値上がりしたことなどから、建築資材の高騰が進んでいるのです。
マンション市場はどうなる?
現在は、少しずつ資材価格も落ち着きを取り戻してきていますが、まだ高い水準であることに変わりはありません。この建設費の高騰は、新築分譲マンションの価格の高騰へとつながることが予想されます。また、マンション1戸当たりの面積を少し小さくして、販売総額を抑える動きもあるかもしれません。新築分譲マンションのこのような動向は、中古マンションの価格のメリットを強調することとなり、さらに人気が高まることが予想されます。