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日本と欧米で食い違う「住宅」の名前
公開日:2017/5/9

「たぬきうどん」が東京では揚げ玉がのっていますが、京都では東京のきつねうどんのように油揚げがのっています。このように、場所が変われば意味や呼び名が変わることはよくあります。同様に、外国から入ってきた言葉も、本来とは違う意味に転化してしまうことがあります。
例えば「モーニングサービス」というと、クリスチャンは日曜朝の教会での礼拝をイメージする方が多いのですが(元々、サービスに礼拝という意味がある)、日本ではホテルなどの朝食サービスを意味しています。
同様に、外来語が本来の意味から変わっている例は、不動産の世界にもあります。ここでは、住宅の名称について、日本と欧米の違いを見ていきましょう。
イギリスやアメリカでは、マンションがアパート?
例えば、あなたがマンションに居住している場合、アメリカ人やイギリス人に「I live in a mansion」と説明したら、もしかすると驚愕の表情を浮かべ、半信半疑であなたのことを凝視するかもしれません。実は英語で「mansion」が指す意味は、広大な庭やプールがついた一戸建ての大豪邸を意味するからです。つまり欧米では、大金持ちしか「mansion」に住めないので、富豪である印象のない方だと、驚かれるというわけです。
日本でいう一般の人が住む集合住宅…つまりマンションのことは「apartment house」あるいは単に「apartment」が正しい英語となります。
日本でも「アパート」という言葉はありますが、2階建てくらいの小規模な集合住宅が「アパート」で、エレベーターやオートロック、エントランスなどが併設されている集合住宅は「マンション」とイメージ付けられています。しかし、どちらも英語表記上は「apartment」でしかなく、両者に区別はありません。
アパートがマンションになった理由は?
昭和の高度経済成長期になると、これまで憧れの対象だった団地生活は一般的となり、高級なイメージから離れていきました。そのような状況で、アパートは「団地」というイメージと結び付きやすくなっており、大規模な分譲共同住宅を建設して売り出す際に、従来のイメージを払拭させるため「マンション」と名付けられたと思われます。
今となっては、誰が最初に発想したのかはわかりませんが、集合住宅を「大豪邸」だと言うのですから、大胆なアイディアです。そして、そのアイディアが一般名詞にもなって定着したのですから、不思議なものです。
ちなみに、アメリカでは大規模な分譲マンションを「コンドミニアム(condominium)」、賃貸マンションを「アパートメント」と呼ぶ傾向があるそうです。コンドミニアムにも、元をただせば「共同統治された領土」という意味がありますので、販売目的のために大げさな名称をつけたがる傾向は、日米で共通しているのかもしれません。