「安心・安全」が住まい選びの新基準

目次
震災以降、住まいの優先度に変化
住宅金融支援機構が行った「2013年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」によれば、「住宅取得時に特に重視するもの」について、「価格・費用」「間取り」「住宅の広さ」などがポイントを落とし、「耐震性能」や「耐久性」「立地」などの項目が大きく伸びました。 特に耐震性能は震災前が18.7%だったのに対し震災後は50.9%になっています。
住宅選びにあたってその広さや美しさは誰にとっても最大の関心事でしょう。しかしそれも安全性があってのことだ、というように考える人が多くなってきたようです。
新耐震基準(昭和56年)がひとつの目安
建築物の耐震性をはかるひとつの目安として、1981(昭和56)年に改正された現行の「新耐震基準」に適合しているかどうかが挙げられるでしょう。
新耐震基準には阪神淡路大震災の教訓が生かされ、「建物が倒壊しない」というだけでなく「建物内の人間の安全」にも十分な配慮が求められるようになりました。
ただし、新耐震基準導入前に建てられたマンション/住宅でも、十分に新基準をクリアするか、それに匹敵する安全性を持つ住宅はかなりあります。また建築後の補強工事によっても1981年以前に建てられた中古住宅の耐震性や安全性を高めることは可能です。
もし特定の中古物件に対する耐震性が気になった場合は、単純に新耐震基準に準拠しているかどうかだけを気にするのではなく、建物の基本構造や工法などにも目を向けてみるべきでしょう。
耐震・制震・免震の構造の違い
建物の構造上の違いによる地震への備えには、大きく分けて次の3種類があります。
「耐震構造」・・・揺れに対する強度を高めた構造。地震に対して壊れにくい建物といえる。ただし揺れを制御する機能は特にない。
「制震構造」・・・建物の躯体に地震の揺れを吸収するダンパーなどの装置を採用した建物。耐震構造よりややコストはかかるが、「揺れ」そのものを軽減する機能があり、人間やインテリアなどへの被害も軽減できると考えられる。
「免震構造」・・・建物本体と基礎との間に免震装置を設置し、地盤の揺れが直接建物に伝わりにくい構造を採用した住宅。制振構造よりもさらにコストがかかる。
制震構造や免震構造は建物の躯体・基礎に関わる工事が必要ですから、新築住宅はともかく既存住宅にはなかなか適用しにくいかもしれません。 しかし 基本的な耐震構造さえしっかりしていれば、家具の配置や転倒防止対策など、住人の工夫によってさらに防災性を高めることも可能です。
まとめ・・・防災性能として住宅に求められるポイント
上記のような構造のほか、「地震に強い住宅」に求められる条件として一般に次のようなポイントが挙げられます。これは地震以外の災害の際にも重要なポイントとなりますから、不動産選び全般に役立つ事柄かもしれません。
1. 立地・・・強固な地盤か。周囲に建物が密集しすぎていないかなど。
2. エクステリア・・・玄関ドアや非常口、サッシなどの強度は十分かなど。
3. 設備・・・エレベーターの非常電源など通路は確保できるか、出入りの障害になる物はないかなど