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マンションは「管理費で選ぶ」時代に
公開日:2016-01-27 00:00:00.0

目次
不動産情報サイト「住まいサーフィン」を運営するスタイルアクトはこのほど、1993年以降に首都圏で分譲されたマンション2.3万棟の管理費をマンションごとに総戸数、平均面積、分譲時平均価格などで集計・分析した調査レポート『分譲マンション管理費4つの特徴』を発表しました。それによると、管理費は住戸面積、分譲価格、マンションの規模などにより大きく差がつくことが明らかになりました。
このことは、分譲マンションは従来の立地と性能に加え、「管理費で選ぶ」時代になってきたことを表しています。
このことは、分譲マンションは従来の立地と性能に加え、「管理費で選ぶ」時代になってきたことを表しています。
物件タイプや規模によりここまで違うマンション管理費
同調査では、首都圏の分譲マンションの管理費には、次の4つの特徴がみられるとしています。
●ワンルームマンションの管理費単価はファミリーマンションの2倍以上
マンションの管理費単価(平米当たり平均、以下同)を面積帯別に集計した結果、面積帯により管理費単価が大幅に変わることが分かりました。平均面積10平米帯の単価は436円、20平米帯の単価は361円と、平均面積80平米帯までは面積が広くなるほど単価が低下しますが、平均面積が90平米帯以上になると面積が広くなるにつれて再び単価が上昇します。
マンションの管理費単価(平米当たり平均、以下同)を面積帯別に集計した結果、面積帯により管理費単価が大幅に変わることが分かりました。平均面積10平米帯の単価は436円、20平米帯の単価は361円と、平均面積80平米帯までは面積が広くなるほど単価が低下しますが、平均面積が90平米帯以上になると面積が広くなるにつれて再び単価が上昇します。
そこで単価が最も高いワンルームマンション(436円/10平米帯)と単価が最も安いファミリーマンション(178円/80平米帯)とを比較すると、ワンルームマンションの単価はファミリーマンションの2.4倍にもなることが判明しました。
●マンションの新築時分譲価格が高いほど管理費単価も高くなる
マンションの管理費単価を新築時分譲価格(70平米換算)帯別に集計した結果、分譲価格が3,500万円以下のマンションは単価が168円であるのに対し、分譲価格が1億500万円超のマンションは462円となり、価格が安いマンションと高いマンションとでは3倍近くもの差があることが判明しました。
マンションの管理費単価を新築時分譲価格(70平米換算)帯別に集計した結果、分譲価格が3,500万円以下のマンションは単価が168円であるのに対し、分譲価格が1億500万円超のマンションは462円となり、価格が安いマンションと高いマンションとでは3倍近くもの差があることが判明しました。
この差は、分譲価格が高いマンションほど共用設備のグレード、24時間警備員常駐等、管理体制がハイスペック化する傾向があり、こうした管理サービスの充実度の違いに起因するものと推察されます。
●戸数が多いマンションと戸数が少ないマンションの管理費が高い
マンションの管理費単価を戸数帯別に集計した結果、戸数50戸未満の単価は221円、100戸以上200戸未満の単価は179円、600戸以上の単価は207円などとなり、中間戸数帯の単価が安く、戸数帯の少ないマンションと戸数帯の多いマンションの単価が高いことが判明しました。
その理由は管理費分担の違いによるものと推察されます。すなわち、マンションの管理費は総額を総戸数で割って算出するため、総戸数が少ないと単価は必然的に高くなります。一方、総戸数が多い場合も共用設備が増えるため、単価も膨らむ傾向にあるのです。
マンションの管理費単価を戸数帯別に集計した結果、戸数50戸未満の単価は221円、100戸以上200戸未満の単価は179円、600戸以上の単価は207円などとなり、中間戸数帯の単価が安く、戸数帯の少ないマンションと戸数帯の多いマンションの単価が高いことが判明しました。
その理由は管理費分担の違いによるものと推察されます。すなわち、マンションの管理費は総額を総戸数で割って算出するため、総戸数が少ないと単価は必然的に高くなります。一方、総戸数が多い場合も共用設備が増えるため、単価も膨らむ傾向にあるのです。
●タワーマンションの管理費は高い
マンションの管理費単価を階数帯別に集計した結果、5~10階帯の単価は240円、11~15階帯の単価は207円、16~20階帯の単価は194円、21~30階帯の単価は240円、31~40階帯の単価は248円、40階以上の単価は281円となるなど、中高層階マンションの単価は安く、低層階マンションと超高層階のタワーマンションの単価が高くなることが判明しました。
マンションの管理費単価を階数帯別に集計した結果、5~10階帯の単価は240円、11~15階帯の単価は207円、16~20階帯の単価は194円、21~30階帯の単価は240円、31~40階帯の単価は248円、40階以上の単価は281円となるなど、中高層階マンションの単価は安く、低層階マンションと超高層階のタワーマンションの単価が高くなることが判明しました。
これは、低層階マンションは総戸数が少ないマンションが多いため単価が高くなり、タワーマンションの場合は低層・中高層階マンションより設置が義務付けられている法定設備が多いため、その管理コストが膨らむためとみられています。
マンション管理費の仕組み
分譲マンションの維持管理にかかる費用を、通常は一口に「管理費」と言っていますが、実際は管理費と修繕積立金に分かれています。
管理費とはマンション管理人の人件費、エレベーター・電気・通信・上下水道の点検・補修、火災保険料、共用部清掃などマンション全体の居住品質を維持するため、入居者が共同で負担する経費のことです。共用施設が充実したマンションほどその運用に経費が掛かるので、管理費も高くなります。
管理費の相場は諸説ありますが、上述のレポートの単価は不動産経済研究所など第三者機関の調査データと符合している部分が多く、市場の実態を反映しているものと思われます。
一方、修繕積立金とは建物の老朽化を防ぐための大規模修繕に備え、長期修繕計画に基づき入居者が共同で積み立てる経費のことです。外壁の塗り替えは4~6年に1回、外壁の補修・屋上の防水補修は12年に1回が目安とされています。
修繕積立金は入居後に段階的に分担金が上がるケースが多く、増税や工事費高騰に伴う値上げ、修繕積立金不足による値上げなどが行われるケースもあります。
こちらの相場は、例えば国土交通省の『平成25年度マンション総合調査結果について』では月額1万783円になっています。また、高層住宅管理協会では月額1万2,000~1万6,000円というガイドラインを打ち出しています。
管理費が高いマンションは共用施設やサービスが充実しているなど、それなりのコストパフォーマンスに裏打ちされていますが、入居者にとっては自分に不必要な施設やサービスが多いケースもあります。施設やサービスが高度なマンションを選んでそれを楽しむか、必要最小限の施設やサービスで管理費が安いマンションを選ぶかは、入居者個々の考えや価値観によります。
しかし、中には管理費が高いにもかかわらず施設やサービスが貧弱なマンションも稀にあります。したがって、分譲マンションを選ぶ際は立地や性能とともに、マンションの管理内容や長期修繕計画のチェックも必要なようです。
いずれにしても、分譲マンションはその住戸を購入した入居者個人はもとより、社会全体の「社会性資産」でもあります。30~40年の使用でスクラップ&ビルドを繰り返すのではなく、それ以上の長期間を快適に暮らせる住環境を保持することで、マンションの資産価値が保て、経済的にもより豊かな暮らしができるものといえます。
その意味でも、管理パフォーマンスが優れた分譲マンション選びが重要だといえそうです。
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