賃貸住宅経営をするなら確定申告を忘れずに

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個人で賃貸住宅経営を行う場合、不動産所得が年間20万円を超えてしまうと、サラリーマンでも「確定申告」が必要です。確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類がありますので、それぞれの特徴について紹介します。特に「白色申告」は税制改正で平成26年1月から変更した点がありますので注意しましょう。
「青色申告」とは
青色申告とは、国税庁が求める一定水準の記帳をして帳簿書類等を保存し、この記帳に基づいて正しい申告をする人については、特別控除などのメリットが受けられる制度です。記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような「正規の簿記」によることが原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでも認められています。これらの帳簿及び書類などは、原則として7年間保存することを義務付けられ、書類によっては5年間でよいものもあります。
「青色申告」のメリット
しっかりと記帳して帳簿書類を保存し、これに基づいて正しい申告をするのは大変ですよね。それではこれだけの対応をするメリットとは何でしょう? 主に以下のようなものがあります。
1.特別控除が受けられる
不動産所得の場合、「事業的規模」であるかどうかで、65万円又は10万円の青色申告特別控除を受けられます。「事業的規模」として行われている場合で65万円、「事業的規模」でない場合は10万円です。なお、「事業的規模」の判断は、原則として「5棟10室」の形式基準(共同住宅については貸与できる室数が10室以上、または戸建ての貸付けについては5棟以上であること)で行われます。
2.必要経費に計上できる
配偶者・親族が、不動産賃貸業で働いている場合(一定の要件が必要)、「専従者給与」として支払った給与が必要経費として認められます。青色事業専従者給与として不動産所得の縮小となるのです。青色申告の場合、給与の額に特段の定めはなく、社会通念上適正な金額であれば、その全額が必要経費となります。ただし、この青色事業専従者給与が認められるためには、いくつかの条件と税務署への届出が必要です。
3.赤字を3年間繰り越せる
不動産所得が赤字になり、純損失の金額が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間繰り越すことができます。また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて損失額を前年の所得から差し引き、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
「白色申告」とは
青色申告を申し込んでいない人は白色申告をすることになります。青色申告に比べ簡易に申告できる代わりに、上記のような青色申告のメリットはなく、納税額が増える傾向があります。
すべての「白色申告」に記帳・帳簿書類保存が義務化
2013年までは、白色申告は、前々年分又は前年分の事業所得・不動産所得等の合計額が300万円を超えなければ、青色申告のような、記帳及び帳簿書類保存の義務はありませんでした。しかし、2014年1月からは、すべての白色申告にも記帳及び帳簿書類の保存が義務付けられています。白色申告でも、日々の記帳と帳簿書類の整理・保存をする準備・対策が必要になるのです。
「これまでは白色申告をしていたけど、記帳などが義務化されるなら青色申告をしてみようかな」、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。「記帳と帳簿書類の保存が大変だから白色申告で…」とお考えの方も、確定申告の時期に慌てないためにも、不動産経営をしている方は今からしっかりと帳簿をつけましょう。 ※1
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※1:青色申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以降、新たに事業を開始したり、不動産の貸付けを行った場合は、その事業開始等の日から2か月以内)に管轄する税務署に、「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。詳細は管轄の税務署にお問い合わせください。