平成26年、これからのマンション市場動向は?

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平成25年は、いわゆる「アベノミクス」による景気対策が功を奏し、不動産市場もリーマンショック以降、久々に活況となりました。「平成26年度版土地白書」によると、低金利や住宅ローン減税などの影響から、首都圏などの都市圏を中心に、土地価格は上昇に転じ、住宅地・商業地とも取引件数も増加。また、地方圏においても下落幅が減少したことから、全国的にも不動産市場全体の景気は好転した年といえるでしょう。特に利便性、住環境等に優れた住宅地で、上昇基調が顕著だったとしています。つまり、「最近の地価の動向は、土地の収益性や利便性を重視した実需による変動となっている」ということです。
今回は、この「土地白書」から今後のマンション事情について考えます。
平成26年4月以降、マンション着工数は減少
新規分譲マンションの着工戸数は平成26年4月1日の消費税増税後大きく減少し、5月が前年比マイナス43.3%、6月が前年比マイナス24.5%となりました。7月になり関東圏・中部圏では前年比でプラスとなりましたが、近畿圏など西日本では大幅な減少となっています。平成25年は低金利、住宅ローン減税の拡充と住まい給付金の導入、そして消費税率引き上げに伴う駆け込み需要により、着工数は大幅に増加しました。新設住宅着工数は、前年比11.0%増となっています。この反動から、平成26年の着工数は大きく減少したと考えられます。また、東日本大震災以降の復興事業やインフラ施設の耐震化工事など、公共事業が大幅に増加したことに伴い、マンション建設費が高騰している状況も見られます。
新築マンション価格の高騰により、中古マンション市場が活性化
平成25年の住宅市場における目立った動きとして、中古マンション市場の活性化が挙げられています。首都圏の成約戸数が前年を上回り、約36,000戸(前年比16%増)となっています。
その背景には、分譲マンションの建物の品質が向上し、20年前後が経過していても良好な状態を維持していることもあるでしょう。また、建築資材の高騰だけでなく、建設人材も不足している現状もあり、この状況は2020年の五輪開催まで続き、今後人気エリアにおける新築マンションは高騰していくことも予想されます。新築マンションの高騰により、今までは新築のみを検討していた層が中古マンションも選択肢とする動きがでてくるでしょう。
また、中古物件市場を活性化させるために「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」が設置され、中古住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取り組みも始まっています。(http://www.daikyo-realdo.co.jp/sumai/detail/85)このように制度を整えようとする国の方針と市場ニーズ、また、若い世代を中心として拡大しつつある、中古住宅に対する意識の変化などを考慮すると、中古住宅市場がさらに活性化していくと予想されます。