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不動産所得(不動産収入)がある方の確定申告、絶対必要?
公開日:2019-01-15 00:00:00.0

目次
確定申告とは、1年間の所得税と復興特別所得税の額を申告し、すでに納めている税金との過不足を精算する手続きです。会社で年末調整の手続きをしている場合は確定申告が免除されますが、給与以外の所得がある場合は確定申告をしなくてはならない可能性があります。
それでは、不動産所得(不動産収入)がある方は、絶対に確定申告を行う必要があるのでしょうか?今回は、不動産所得と確定申告の関係についてご紹介します。
不動産所得(不動産収入)とは
不動産所得と確定申告の関係についてご説明する前に、まず不動産所得についてご説明します。
《不動産所得の種類》
不動産所得には、以下の3つの種類があります。
1.マンションや土地等の不動産の貸し付けによる所得
2.地上権(借地権の一種)等の設定や貸し付けによる所得
3.船や航空機の貸し付けによる所得
ポイントは「貸し付け」という文言です。貸し付けによる利益と売却による利益は別物であるため、不動産の売却で得た利益は、税務上の不動産所得には含まれません。不動産所得ではなく「譲渡所得」という扱いになります。
ただし、譲渡所得にも所得税は掛かるため、不動産の売却によって多額の利益を得た場合は、翌年に確定申告の手続きを行う必要があります。
以降では、最も一般的な「マンションや土地等の不動産の貸し付けによる所得」を不動産所得と定義して、説明していきます。
確定申告が必要かどうかの判断基準
不動産所得がある場合でも、確定申告が必要になる方とそうでない方がいます。
判断基準は、年末調整をしているかどうか、そして給与所得と退職所得を除いた各種所得金額(不動産所得、譲渡所得、利子所得、配当所得、事業所得、山林所得、一時所得、雑所得)の合計金額の2つです。年末調整をしていて、不動産所得等の所得の合計金額が20万円以下の場合は、確定申告の手続きを行う必要はありません。
ただし、年末調整をしていない方や、給与の年収が2,000万円を超える方は、不動産所得の金額に関わらず確定申告が必要となります。
また、副業をしていて給与を2カ所以上から受けている方の場合、年末調整をしていない副収入の金額も、雑所得もしくは事業所得となるため注意が必要です。例えば、不動産所得が年間で15万円のみだったとしても、副業による所得が5万円以上あった場合は確定申告が必要となります。
不動産所得の計算方法
確定申告が必要かどうかを判断するためには、不動産所得の額を正確に把握している必要があります。それでは、不動産所得の額はどのように計算すれば良いのでしょうか。
不動産所得の金額は、総収入金額(不動産収入)から必要経費を引いた金額のことを指します。これを計算式にすると、以下のようになります。
総収入金額(不動産収入) - 必要経費 = 不動産所得
《総収入金額と必要経費とは》
総収入金額には賃料収入だけでなく、更新料や頭金の他、敷金等のうち返還が必要ではないものも含みます。これら全ての金額を足して、総収入金額を算出します。
必要経費の代表例は、固定資産税や修繕費です。主に「不動産の維持管理のために支払ったお金」が必要経費にあたります。
《事業規模にあたるかどうかで必要経費の扱いが異なる》
不動産所得が事業的規模にあたるかそうでないかによって、必要経費の範囲等が異なるため注意が必要です。おおむね10室、もしくは5棟以上の物件を賃貸に出している場合は、事業的規模にあたると見なされます。
例えば所有するマンションの取り壊しを行った場合、事業的規模にあたる場合は取り壊しに掛かった費用の全額を必要経費とすることができますが、事業規模にあたらない場合、必要経費に含めることができるのは、不動産所得の範囲内となります。
おわりに
不動産所得と確定申告についてご紹介しました。
不動産所得がある方でも、年間の不動産所得が20万円以下の場合は、確定申告をしなくても良い可能性があります。ただし、不動産売却による利益や副業の収入の金額が大きい場合は確定申告が必要となるため、注意が必要です。
賃貸に出している室数等によって不動産所得の金額が異なるため、自分の力だけで確定申告を行うと、計算ミスや資料不備を指摘される可能性もあります。不動産所得による確定申告について不安がある場合は、不動産会社や税理士等、不動産や税金の専門家に相談すると良いでしょう。