シニアの「持ち家事情」に変化の兆し

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高齢化社会が進展する中、シニア世代が自立して安心して過ごせる住環境の整備が急務になっています。国土交通省の「高齢者が安心して暮らし続けることができる住宅政策のあり方について(答申案の骨子)」ⅰによると、高齢者の約8割は持ち家を所有しています。しかし、この持ち家におけるバリアフリー化率は低く、生活に便利な施設や福祉施設が利用しにくい立地であったり、耐震基準を満たしていないなど住環境として快適だとは言えないケースも多いのが現状です。
「アクティブシニア」の新たな住まいトレンド
アクティブに自立した生活を謳歌(おうか)しているシニア世代を「アクティブシニア」といい、超高齢社会の突入している日本において、その動向が注目されています。総務省による「高齢者の健康に関する意識調査」でも、健康状態について「良い」「まあ良い」と答えた人は過半数以上にのぼり、さらに8割以上の人が「生きがいを感じている」と答えています。また、2030年時点では、約8割の高齢者は介護不要で自立的に暮らすという予測データもあり、アクティブシニアがますます増えることが予想されます。
これまでの日本では、賃貸住宅から始まり、分譲マンションに移り、戸建て持ち家が最終ゴールというのが理想だと言えました。しかし現在は、理想とされる家のあり方が多様化し、平成18年に一般社団法人移住・住みかえ支援機構が設立され、「マイホーム借上げ制度」としてシニア世代(50歳以上)のマイホームを借上げ、安定した賃料収入を保証する制度ができるなど、持ち家に住むことにこだわらない住まいのトレンドが生まれています。
多様化する持ち家の活用方法とシニアライフ
自立して生活するシニアの中には、持ち家を子どもに資産として残さない選択をする人も出てきています。シニアライフを満喫するために郊外にある戸建てを売却して、利便性の高い都心部のマンションを購入するケースや売却資金を活用して、海外と日本を行き来したり、年金生活者を対象にした長期滞在ビザ(滞在資格)を取得したりして海外生活を楽しむ人もいます。また、シニア世代は継続してまとまった収入を得ることが難しいことから、生活するための資金を得るために持ち家を活用する動きもあります。持ち家を賃貸住宅として貸し、定期的な家賃収入を得て、自分たちはより快適な賃貸住宅へ移るというケース。自宅を担保に生活資金を借りて、死亡後に担保を売却して元本を返済するリバースモーゲージ(http://www.daikyo-realdo.co.jp/sumai/detail/95)という仕組みを利用して、生活を安定させるケースなど活用方法も多様化しています。このようなアクティブシニアの持ち家を活用する動きは、新たなトレンドを生み、新たな潮流となるかもしれません。
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