共働き夫婦で知っておくべき住宅ローン対策

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ふたりで組み、ふたりで返す住宅ローン
日本の共働き世帯数(妻の非正規雇用を含む)は2012年に1,068万世帯にのぼっており、専業主婦世帯の805万世帯よりもかなり多くなっています。
こういう共働き世帯が増えることにより、夫婦の年収をあわせてより好条件の物件を購入するケースや、月々のローン返済額を多めに設定して、ローンの返済期間を短縮するといった住宅ローンの利用の仕方をする人も増えました。
共働きが当然ともいえるこの時代、住宅ローンの有利な活用の選び方にはどのようなものがあるのでしょうか。
連帯保証型/連帯債務型/ペアローン型
「連帯保証型」とは、夫の名義で住宅ローンを組み、妻は連帯保証人になるという方式です。ローンの名義は夫になりますが、借入枠は夫と妻の収入の合算額から算出されるため、夫単独での住宅ローンよりも大型のローンを組むことができます。
「連帯債務型」とは、住宅ローン契約を結ぶ際、夫婦がふたりで債務を背負う形になります。このため法的な責任の重さから言うと、連帯保証人よりも連帯債務者の方が重いことになります。
ただし、何かのトラブルが発生してローン返済が滞った時点で連帯債務者にも連帯保証人にも返済請求がなされますので、実質的にはそれほどの違いはありません。
これに対して「ペアローン」は上記のふたつとは大きく異なり、借入金額を分担してそれぞれが別々に住宅ローンを組みます。
連帯保証型/連帯債務型/ペアローン型のメリット・デメリット
上記のような違いに着目して、それぞれのローンのメリット・デメリットを比較してみましょう。
連帯保証型と連帯債務型の違いは、妻が直接の債務者になるかならないかの違いです。このため、連帯保証型では妻には団体信用生命保険(団信)は適用されません。逆にいえば、「団信は妻には必要ないので、保険料を節約したい」ということであれば連帯保証型を検討してみるべきでしょう。
また、連帯保証型では妻は「連帯保証人」ではあっても直接の債務者ではないので、妻は住宅ローン控除を受けることはできません。夫と妻の収入比などから考えて、住宅ローン控除は夫の収入でまとめて適用された方が有利なのか、夫婦それぞれに適用された方が有利なのか検討が必要でしょう。
これに対し、ペアローンは夫婦それぞれが別の住宅ローンを背負うわけですから、団信の加入、住宅ローン控除ともにそれぞれが適用される形になります。ただしローン契約に伴う事務手数料などは2倍かかることになります。
<まとめ>
連帯保証型/連帯債務型/ペアローン型のどれが有利かは、それぞれの世帯の状況によってシミュレーションが必要です。また、費用を最小化したいのか、ローンリスクを最小化したいのかといった夫婦間の価値観によっても選ぶべきタイプは異なってきます。
ただし、一般的には夫が単独で借りられる上限以上のローンを組む際はリスク重視が大切だと言われています。万が一、夫婦の収入状況に大きな変化が生じたとき、妻の収入による返済滞納リスクの回避などの弾力的対応が難しくなるからです。
逆に、月々の返済額に余裕があるような場合は、「ペアローンで夫婦がそれぞれ団信に加入するかわりに連帯保証型の住宅ローンを組み、医療保険や学資保険などの特約が手厚い生命保険に加入する」といった方法も考えられるでしょう。