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フラット35 金利が史上最低を更新~知らないと損する公的住宅ローン活用法~

公開日:2015-05-12 00:00:00.0

目次

独立行政法人の住宅金融支援機構は2月2日、2015年2月度の「フラット35」(長期固定型住宅ローン)の適用金利を発表しました。
それによると、借入期間が21年以上、35年以下で融資率(融資上限の8000万円に対する借入額の割合)が9割以下の金利が最低で年利1.37%となり、前月度より0.1ポイント低下。7か月連続で過去最低を更新しました。
一方、借入期間が20年以下で融資率が9割以下の金利は最低で年利1.1%となり、前月度より0.1ポイント低下。こちらも4か月連続で史上最低を記録しました。その内容と公的な住宅ローンの利用について解説していきます。

適用金利の発表の翌日となる2月3日、住宅金融支援機構は、平成26年度補正予算が同日に成立したのを受け、今度は2月9日融資資金受け取り分から「フラット35」をはじめとする住宅融資制度の拡充を行うと発表しました。その拡充の内容は以下の通りです。


●フラット35
・「フラット35」の9割超融資について、9割以下融資の場合と比べて割高になっている現行金利を引き下げる。
・「フラット35S」における当初5年間(長期優良住宅等の特に性能が優れた住宅は当初10年間)の年利引き下げ幅を現行のマイナス0.3%からマイナス0.6%へ拡大する。


●住宅融資保険
一般の住宅ローンと「フラット35」との併せ融資を対象とした住宅融資保険の保険料率を引き下げる。
(ただし、つなぎ融資は対象外)


●災害復興住宅融資
・災害復興住宅融資の融資限度額を約10%引き上げる。
・東日本大震災に係る災害復興住宅融資等の受付期間を2017年度末まで2年間延長する。

今回、住宅金融支援機構が「フラット35」の金利を引き下げ、過去最低を更新したのは、昨年4月の消費税増税の影響で意欲が衰えた住宅購入の需要喚起が目的といわれています。



「フラット35」はどんな住宅ローン?


「フラット35」とは、どんな住宅ローンなのでしょうか。これは政府系金融機関の住宅金融支援機構が民間金融機関との提携で融資している公的な長期固定金利型住宅ローンです。「フラット35」はその商品名になります。
主に短期資金の調達で融資を行っている銀行などの民間金融機関は、長期固定金利の住宅ローン融資は取り扱いが難しいとされています。そこで、同機構は民間金融機関の住宅ローンを買い取り、そのローンを証券化して投資家に販売することで長期資金を調達しています。この資金を民間金融機関から買い取った住宅ローンの代金支払いにあてるかたちで、民間金融機関が長期固定金利住宅ローンも取り扱える仕組みを実現しています。
一方、「フラット35S」という住宅ローンもあります。これは「フラット35」利用者のうち、省エネ性、耐震性などに優れた「優良住宅」を購入する利用者の「フラット35」金利を、一定期間引き下げる優遇制度のことです。
こちらは優遇制度なので、制度適用を受けるためには購入した住宅が住宅金融支援機構の定めた技術基準と性能基準を満たし、さらに検査機関の検査を受け、適合証明書発行を受ける必要があります。



「フラット35」を利用するメリット


「フラット35」は、国民の住宅購入を国が支援するために創設された住宅融資制度です。
このため、年収400万円未満の人でも同機構の融資基準を満たしていればローンを組めます。保証人不要など民間金融機関の住宅ローンに比べると審査が緩やかなため、収入が不安定になりやすい非正規雇用者や自営業者でも利用しやすい住宅ローンといわれています。具体的には以下のようなメリットがあります。



●戸建て、マンション、新築、中古など建物による融資条件の違いがない


●保証料は無料、保証人も不要
 民間住宅ローンの場合は保証人が必要。保証人を立てられない場合は数十万円の保証料を請求されるケースが多い


●一定の条件をクリアすれば物件価格の全額を借りることも可能


●健康状態によって民間住宅ローンを借りられない人も融資可能になるケースが多い


●繰り上げ返済の手数料は無料
 民間住宅ローンの場合は通常1~3万円の手数料がかかる


●返済条件の変更も無料


 もし返済が厳しくなった場合、返済期間の変更、一定期間の返済額減額、ボーナス返済の取り止めなど返済条件の変更も無料で対応してくれる
このように「フラット35」は柔軟な融資条件がメリットといえます。
住宅購入者にとっては借りやすい住宅ローンといえるのですが、生活情報総合サイト「オールアバウト」のインターネット調査によると、その認知度はわずか20%程度という低さです。住宅ローンというと、一般的には「○○銀行の○○ローン」と、すぐ民間住宅ローンを思い浮かべるのが普通ですが、これからは「フラット35」も選択肢の1つに入れてもよさそうです。



金利が割高、融資上限などでデメリットも


しかし、「フラット35」の以下のような融資条件がデメリットといわれています。



●金利が割高な場合も
最長35年の固定金利なので、20年固定金利の民間住宅ローンと比べると、金利が割高な場合がある。
(ただし、最近は「フラット35」より金利が低い20年固定金利型の「フラット35/返済期間20年以下」も発売されている)


●融資実行時の金利が適用されるので、住宅ローン申込時に金利確定ができない
申込時の金利が例えば1.47%であっても、融資時に1.79%に上がる可能性がある(「フラット35」適用金利は月ごとに変動する)。したがって、事前に立てた返済計画と異なってしまうケースもある。


●8000万円までしか借り入れできない
融資上限額が8000万円なので、それ以上の物件を購入する場合の不足分は別に借り入れしなければならない


●繰り上げ返済額は100万円以上
「フラット35」の場合、繰り上げ返済無料がメリットの1つになっているが、返済額は「100万円以上」。したがって100万円以上貯蓄してからでないと繰り上げ返済ができない。100万円以上貯蓄するために繰り上げ返済が遅れ、その間の利息を減らせない結果になる(民間住宅ローンには1万円から繰り上げ返済可能なローンもある)


●技術基準適合住宅でなければ融資対象にならない
国の「優良住宅普及政策」に基づき創設された住宅融資制度のため、融資は「住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合し、かつ戸建て住宅は床面積が7平方メートル以上、マンションは同30平方メートル以上で、購入価格が1億円以下」が条件になっている。特にオーダーメードの注文住宅の場合は、建築中と竣工後に機構指定の検査機関の検査を受け、「適合証明書」を発行してもらってからの融資される。そのため建築会社に支払う着工金や中間金は住宅購入者が別途用意する必要がある



借りるときの注意すべき点は?


「フラット35」の融資申し込みは「取扱金融機関」(住宅金融支援機構と提携している民間金融機関)の窓口で行います。
このとき、「フラット35」の適用最低金利が例えば1.37%であっても、A銀行の金利は1.79%、B銀行の金利は2.12%という具合に、金融機関により金利が異なります。
つまり、住宅金融支援機構の金利と取扱金融機関の金利は同一ではないのです。この金利差は取扱金融機関の融資手数料の違いによるものです。したがって、金利の比較だけではなく、手数料もよく比べて「フラット35」を借りる取扱金融機関を決めるのが重要です。
現在、民間金融機関の変動金利型住宅ローンも史上最低水準なので、「フラット35」の金利は高いとの指摘もあります。しかし、通常20年以上の住宅ローン支払いの期間中、変動金利が現在のような低水準で続くとは考えられず、変動金利型の返済額は今後高くなる可能性も考えられます。

「フラット35」は、最低金利が1%台、最高金利も2%台前半で推移している現在、低い固定金利で住宅ローンを設定できるチャンスとみる向きもあります。その意味で、最初から最後まで返済額が変わらない「フラット35」は返済計画を立てやすく、堅実志向の高い購入者に向いた住宅ローンといえるかも知れません。

編集監修者情報
編集監修者
株式会社大京穴吹不動産
所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-18 オリックス千駄ヶ谷ビル
設立年月
1988年12月
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