若者は「中古住宅&リフォーム」でマイハウスを楽しむ

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最近では中古住宅の人気が上昇しています。中でも、中古住宅を購入して自分が気に入ったようにリフォームし、それでマイハウスを楽しむ若者が急増中といわれています。
住宅リフォーム推進協議会が3月25日に発表した「第12回住宅リフォーム実例調査報告書」によると、リフォームを行った住宅の取得方法は30代以下の場合、中古住宅購入が戸建てで32.6%、マンションで68.4%に達するなど、若年層ほど中古住宅購入比率が高くなっています。
また、中古住宅購入の場合は、入居直後にリフォームした比率は戸建て45.85%、マンション50.9%になっており、若年層はリフォームを前提に中古住宅を購入するケースが多いようです。
それを示すのが「リフォーム工事の内容」です。リフォーム工事の内容は、戸建てでは「住宅設備の変更」(68.2%)、「内装の変更」(66.7%)の2つがトップです。マンションでも「住宅設備の変更」(90.2%)、「内装の変更」(87.1%)の2つがトップになっています。
さらに、マンションの場合は「室内建具の変更」が54.7%、次いで「収納スペースの改善」(53.7%)、「間取りの変更」(52.3%)になっています。いずれもリフォーム工事の目的は「傷んだ個所の修復」ではなく「自分の好みに変更するため」になっているわけです。
若者はなぜ「中古住宅&リフォーム」を求めるのか
では近年、なぜ中古住宅を購入してリフォームする、一見面倒な住宅購入行動をあえてする20・30代の若者が増えたのでしょうか。
中古住宅は「立地条件、物件面積、間取りなどが新築住宅に比べて安いのがメリット」と一般にいわれていますが、安さだけでは説明がつきません。
これについて、「若者のプレミアム消費志向の高まりが背景」と、消費生活行動研究者の1人は指摘しています。「プレミアム消費」とは、自分の価値観にこだわり、自分が気に入った付加価値(プレミアム)に対しては惜しまず対価を払うという消費スタイルです。
この消費スタイルが男女とも20~30代に一番多いことが野村総合研究所の「生活者1万人アンケート調査」でも明らかになっています。
「自分たちの好みに合致したマイハウス作りには金を惜しまない。また彼らには、マイハウス作りは新築より中古のリフォームのほうがやりやすいとの認識がある」と、前出研究者は分析しています。中古住宅ニーズにも新潮流が生まれているようです。
リフォームのトラブルを防止するには
その一方で、住宅リフォームにはトラブルが多いのも事実です
リフォームトラブルでは、これまで悪質な訪問販売業者によるトラブルが目立っていました。しかし、国民生活センターは、近年は従来と異なる事例が増えていると警告しています。
同センターに寄せられた相談では、高額な金額請求に関する件数は減り、「口頭約束によるトラブル」「曖昧な契約」「追加工事費の請求」などに関する相談件数が増えています。
「口頭で100万円程度と言っていた内装工事で150万円請求された」
「工事内容を記した書類がなく、口頭約束と違う杜撰な工事をされた」
「契約書を交わしてはいたが空欄が多く、契約内容を特定する書面になっていなかった」
こうした法的には違法と決めつけられないものの「消費者にとっては違法そのもの」のトラブルが増えているようです。
では、中古住宅を購入した若者たちが、リフォーム段階でトラブルに巻き込まれないようにするには、どのような対策をすればよいのでしょうか。例えば、埼玉県消費生活支援センターは、以下のようなトラブル防止策を呼びかけています。
(1)リフォーム会社選び
工事内容を分かりやすく説明してくれる会社を選び、複数の業者から相見積もりを取り、適正な見積書を提出した会社に工事を依頼する
(2)口頭契約をしない
契約は必ず工事内容を詳細に記載した書面で行う
(3)工事中も会社任せにしない
工事中はスケジュール通り工事が進んでいるかを現場で確認する。工事完了後は会社の現場責任者と一緒に確認する。工事結果に疑問が生じたら責任者に説明を求める
いずれにしても、リフォーム工事では良心的な会社を見つけることが最良のトラブル防止策といえそうです。