2015年は「マンション再生元年」

目次
都市部のマンション建て替えプロジェクトが増加しています。現在、100件近くのマンション建て替えプロジェクトが進行中または計画中といわれています。東京や大阪など、鉄筋コンクリート造りの共同住宅、マンションなど築40年以上の物件が中心です。
住宅不足に悩んだ戦後復興期、日本住宅公団(現都市再生機構)を中心に全国の都市部に住宅団地が建設され、高度経済成長期に入ると分譲マンションも続々と建設されました。
国土交通省の「平成25年度マンション総合調査」によると、2013年末現在の全国マンションストック戸数は約601万戸。このうち、高度経済成長期の1973年までに建設されたストックだけでも約32万戸、築40年以上のストックは約51万戸。つまり、2013年末現在、マンションストックの8.5%を占める物件が建て替え期に来ているわけです。
希少価値が高まる老朽マンション
これらの建て替え期に来ている老朽マンションの再生は、希少価値が高いといわれています。これらの老朽マンションの大半は都市部にあり、立地条件がよいからです。
高度経済成長期に誕生し、続々と建設されたマンション草創期の物件は、駅前や高級住宅街に建設されました。このため、周辺には文教施設、公園、医療機関、商業施設などが集積しています。また、マンション草創期の物件の大半は敷地が広いのが特徴です。
今ではこのようなマンション用地を新たに確保するすべはなく、おのずとこれら老朽マンションの希少価値を高めているといえます。
マンション購入者が期待するマンション再生
そして今、これら老朽マンションの建て替えにマンション購入者の関心が高まっています。なぜでしょうか。老朽マンションの建て替えが進むと、都市部のマンション供給戸数が増加するからです。
老朽マンションの建て替えには、大きく分けて2つの方式があります。
1つは「等価交換方式」です。これはマンションの区分所有者が共同でマンションの土地・建物をマンション開発会社に売却し、マンション開発会社が建て替えた後、元の区分所有者が各々の区分所有にみ合ったマンションの区分所有権を取得する方式です。この方式による建て替えは、区分所有者全員の合意が必要になります。
もう1つは「建て替え組合方式」です。これは2014年12月施行の「改正マンション円滑化法」(マンションの建て替えの円滑化等に関する法律)に基づく方式です。この方式では、マンションの区分所有者が共同で建て替え組合を設立し、マンション開発会社などの建て替え協力事業者を選定し、行政の認可を得て建て替えを行います。また、この方式では区分所有者の8割以上が賛成すれば建て替えが可能になります。
一方、この老朽マンションの建て替えはマンション購入を考えている人にはどんなメリットがあるのでしょうか。
区分所有者、マンション購入者双方の期待を背景に、老朽マンションの再生がこれから本格化するのは確実とみられています。正に2015年は「マンション再生元年」といえそうです。