「住まいの買い時感」が3か月ぶりに上昇

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不動産情報サービスのリクルート住まいカンパニーが5月に発表した「住まいの買い時感調査(2015年3月度)によると、一般消費者の中で「今が住まいの買い時」と感じている人が前回調査(2014年12月度)から2.6ポイント増加して平均18%になり、3か月ぶりに買い時感が復調しました。
また、買い時感が3ポイント以上増加したのは、年代別では50~60代の3ポイント増、都市圏別では関西の3.1ポイント増、東海の3.2ポイント増、福岡の3ポイント増が目立ちます。首都圏は0.1ポイントの微減となりました。
理由の第1位は「2017年の消費税率引き上げ」
一方、住宅購入検討者(住み替えやリフォームの検討者)の買い時感は、全体でみると前回調査より4.7ポイント増加の平均44.7%になりました。一般消費者と住宅購入検討者を比べると、やはり後者のほうが買い時感に対する現実感は高いようです。
検討住宅タイプ別では「新築分譲マンション購入」が5.7ポイント増、「中古マンション購入」が6.6ポイント増と、マンション購入検討者の伸びが5ポイント以上あり、マンションを買い時と考える人は、ほかの住宅タイプの伸びより高いポイントを示しています。
そして「今が買い時」と感じる理由は、1位「消費税率の引き上げが2017年に予定されているから:27.7%」、2位「景況感が上昇しているから:19%」、3位「今のほうが住宅ローン減税など税制優遇のメリットがありそうだから:16.6%」などとなっています。
このうち、1位の理由は前回調査と比べ0.5ポイント増にとどまっていますが、2位の理由は同4.0ポイント増、3位の理由は同3.5ポイント増を示しており、景況感や税制優遇の影響が強いことが分かります。
8割のファイナンシャルプランナーが「今が買い時」
こうした買い時感の傾向は、住宅金融支援機構が3月に発表した「平成27年度における住宅市場動向について」でもみられます。
この調査によると、一般消費者が考える2015年度の「住宅買い時感」は、「買い時、どちらかと言えば買い時」と答えた「買い時肯定派」が53%に上り、「買い時ではない、どちらかと言えば買い時ではない」と答えた「買い時否定派」の4.3%を圧倒しています。
そこで買い時肯定派の買い時理由をみると1位「住宅ローン金利が低いから:77%」、2位「今後住宅ローン金利が上がると思うから:25.7%」、3位「省エネ住宅ポイントなど経済対策があるから:21.9%」などとなっています。特に1位の理由は過去調査(2014年3月、同9月)では47.8%(3月)、64.3%(9月)と回を追うごとにポイントが上がっており、買い時感に対する住宅ローン金利の影響は大きいといえます。
住宅購入予定時期についても、回答者の61.5%が「2015年12月まで」と今年中を予定しており、来年1月以降の購入予定は13.4%にとどまっています。
また、この調査では、住宅購入のアドバイザー役であるファイナンシャルプランナーに対しても買い時感を尋ねています。
それによると、「買い時、どちらかと言えば買い時」と答えた「買い時肯定派」は80.7%にも上り、こちらも「買い時ではない、どちらかと言えば買い時ではない」と答えた「買い時否定派」の1.9%を圧倒しています。そして買い時肯定派の理由は1位の「住宅ローン金利の低水準:90.2%」と2位の「フラット35Sの金利値下げ:85.4%」の2つが突出した理由となっています。
「今が買い時」と感じる消費者の深層心理
現在の住宅ローン金利は、過去最低水準で推移しています。
銀行の変動金利は名目2%台で推移していますが、実際に適用される金利は大幅に下がっており、0.7%台で借りられるケースが少なくないといわれています。
住宅金融支援機構の長期固定型住宅ローン「フラット35」も2015年1月の適用金利は、主力の返済期間35年以下(融資率9割以下)で取扱金融機関の最低金利が前月より0.09%低い1.47%となり、6か月連続で過去最低を更新しました。返済期間20年以下(同)の最低金利も0.09%下がり、1.2%とこちらも過去最低を記録しています。指標となる長期金利が低位で安定しているためで、民間金融機関の住宅ローン金利も過去最低水準で推移しています。
景気が回復すれば金利が上昇するのが通常の相関関係ですが、現在の日本経済は日銀による異次元緩和により金利が政策的に抑制されています。このため、長期金利は今後も低位傾向が続くと予測されています。
低金利のうちに、余裕のある資金計画で住宅を購入すれば、ローン返済をしながら貯蓄もできて、繰り上げ返済でローン負担を軽減することも可能になります。
「今が買い時感」の深層心理には、こうした低金利のメリットに対する認識の高まりがあるものとみられています。それは、一般消費者に比べて、より現実感の強い住宅購入検討者やファイナンシャルプランナーの買い時感の高さが物語っているといえそうです。