マンション購入で見落としがちな「諸費用」とは?

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マンションを購入する時、頭金の捻出や「ローンはいくら借りられるか」にばかり気を取られ、税金、仲介手数料などの「諸費用」を見落としがちです。マンション購入とは別の費用なので、これを見落としていると契約直前になって「お金が足りない!」ということにもなりかねません。ここではマンション購入代金以外に必要となる費用について解説していきます。
マンション購入の諸費用は3~7%が目安
マンション購入には、当のマンション購入費以外に税金、保険料、仲介手数料などさまざまな「諸費用」が必要になります。諸費用は「物件取得にかかる諸費用」「住宅ローン利用にかかる諸費用」「その他の諸費用」の3つに大別できます。一般的な諸費用は次の通りです。
<物件取得にかかる諸費用>
●印紙税
売買契約書を交わす際にかかる国税です。具体的には契約書に貼付する印紙代です。2014年4月1日から2018年3月31日までは次の税額(印紙代)になっています。
・契約書の金額が1,000万円超5,000万円以下…1万円
・契約書の金額が5,000万円超1億円以下…3万円
・契約書の金額が1億円超5億円以下…6万円
●登録免許税
取得した物件の所有権を登記する際にかかる国税です。税額は土地と建物それぞれの固定資産評価額に税率を掛けた額になります。所有権の登記は司法書士の独占業務なので司法書士に登記代行を依頼する必要があります。このため、所有権登記に際しては登録免許税とともに司法書士への報酬(10~ 20万円が目安)も発生します。
●不動産取得税
不動産取得にかかる地方税です。次の計算式で課税されます。
・建物の不動産取得税=(住宅の固定資産税評価額-控除額)×税率
・土地の不動産取得税=(土地の固定資産税評価額×税率)-控除額
不動産取得税は取得した日から30日以内に土地、家屋の所在地を所管する都道府県税事務所に申告する必要があります。なお、床面積が50平米以上などの諸条件を満たせば、新築マンションの場合は建物について固定資産税評価額から1,200万円が控除されます。中古マンションの場合も最大1,200万円(1997年4月1日以降の竣工物件)が控除されます。
●固定資産税と都市計画税の清算費用
固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日に土地や建物の所有者に対して課税される地方税です。マンション販売会社などの物件売主がすでに両税を納税している場合は、代金決済時(所有権移転日)を基準に日数または月数で案分計算し、所有期間分の固定資産税と都市計画税をマンション購入者が負担することになります。
●仲介手数料
法律により、物件価格が400万円を超える場合は「物件取得価格×3%+6万円」の仲介手数料を不動産仲介会社へ支払う必要があります。なお法律で定められているのは上限の数値のみなので、上記の金額を下回ったとしても法律上は問題ありません。
<住宅ローン利用にかかる諸費用>
●印紙税
住宅ローン契約書を交わす際も印紙税が課税されます。ローン借入金額により、2014年4月1日から2018年3月31日までは次の税額(印紙代)になっています。
・借入金額が1,000万円超5,000万円以下…2万円
・借入金額が5,000万円超1億円以下…6万円
・借入金額が1億円超5億円以下…10万円
●融資手数料と保証料
住宅ローンを借りる場合は、ローンを借りる金融機関に融資手数料と保証料を支払わなければなりません。融資手数料は金融機関により異なりますが、3~5万円(消費税別)の定額が多いようです。一方、保証料は融資額100万円当たり2万円前後の一括払い方式が多いようです。例えば、3,000万円の融資額なら60万円前後になります。
●抵当権設定費用
住宅ローンを借りると抵当権設定(担保設定)をしなければなりません。この時に抵当権登録免許税と司法書士への報酬が発生します。抵当権登録免許税は「借入金額×税率(通常0.4%)」で課税されます。司法書士への報酬は5~10万円が目安といわれています。
●火災保険料
住宅ローンを借りる場合は、火災保険加入が必須条件になっているケースがほとんどです。保険料は地域と建物の構造・規模などによって変わり、支払い方法は一括払いと分割払いがあります。一括払いは金利がかからないだけ割安といえます。
●斡旋手数料
住宅ローン融資の申込手続きを不動産仲介会社に代行してもらった場合は、住宅ローン斡旋手数料を支払う必要があります。料金は不動産仲介会社により異なりますが、5―10万円が相場と言われています。
<その他の諸費用>
マンションを購入すると、これまで説明してきた諸費用以外に引越代、新居のカーテン新調、照明器具購入、親戚や友人への転居はがきの印刷など、こまごまとした諸費用も発生します。
このように、マンション購入にはさまざまな諸費用が必要になってきます。そうなると「諸費用は全部でいったいいくら必要になるのか」が気になるところですが、これは「マンション購入価格の3~7%が目安」といわれています。しかし、実際には次に述べるような、一般論だけでは収まらないケースもあるのが諸費用の悩ましいところです。
諸費用のチェックポイント
実際の諸費用は、物件によりかなりの違いがあります。特に税金関係は、広告などに出ている実勢価格(物件購入価格)とは異なる固定資産税評価額をベースに算定されます。土地の固定資産税評価額は地価公示の7割相当といわれますが、これは平均値なので個別物件による差が小さくありません。
例えば、都心より郊外の方が一般的に土地の価格は実勢・評価額が共に低くなります。ところが都心でも敷地の広い大規模マンションなどでは土地の持ち分が多くなり、意外に登録免許税が高くなることもあります。また地価が変動すると、実勢価格と評価額がかい離する場合もあります。
さらに、住宅ローンの諸費用もプランにより差が出ます。住宅ローンを選ぶ際は金利の低さだけではなく、ローン利用にかかる諸費用を含めたトータルコストで検討するのが重要です。
諸費用は購入物件の条件により大きく異なるので、「物件価格の3~7%」という目安を過信せず、あくまで物件個別の具体的な諸費用を不動産仲介会社の担当者に詳しく聞くのが賢明です。
なお、諸費用は原則現金払いです。しかし、諸費用分の現金を捻出できないからといってマンション購入をあきらめることはありません。金融機関の中には、諸費用分も貸してくれる「諸費用ローン」を用意しているところもあります。これも不動産仲介会社の担当者に聞くなど情報収集をしっかりと行って、無理のないマンション購入資金計画を立てましょう。