「週末起業からマンション経営」へ向かうサラリーマンの副業

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サラリーマンの間で「週末起業」が話題になっています。大型書店に行けば、そのノウハウ本が棚にズラリと並んでいます。「副業を超えたワークスタイル」として人気を集め、週末起業にチャレンジするサラリーマンはますます増加するといわれています。その一方で、週末起業からマンション経営に転換するサラリーマンも増えているといいます。その理由はどこにあるのでしょうか。
週末起業のメリットとリスク
週末起業とは「自分のキャリアや資格を生かした副業」のことです。
会社勤めをしながら副業にいそしむサラリーマンは昔からいました。経営コンサルタントの藤井孝一氏は、自らの経験も踏まえて、これを「週末起業」と定義。それを体系化したワークスタイルを「週末起業」(2003年、ちくま新書)と題して上梓し、普及活動に奔走したことから社会的に認知されるようになりました。
藤井氏が普及活動のために創設した「週末起業フォーラム」の案内書によれば、週末起業は「会社を辞めず、給与という安定継続収入を確保しながら副収入を確保し、キャリアのリスク分散をし、起業願望を充足する」手段であり、その結果として「将来の不安が解消され、経済的・時間的な自由を手に入れ、自立して社会貢献できる人になれる」のが醍醐味としています。
一方、サラリーマンの副業支援サービス会社関係者は、週末起業のメリットとデメリットを次のように説明しています。
●メリット
・会社勤めの本業をしながら自分の意に沿ったビジネスを展開できる
・自分のビジネスに取り組みながら会社勤めを続けるか辞めるかの判断ができる
●デメリット
・オフを楽しむプライベートの自由時間がなくなる
・オフの時間がなくなるのでストレスが溜まりやすく、体調管理に注意しないと本業に支障が出る
こうしたメリットとデメリットをわきまえ、週末起業のワークスタイルに魅せられてチャレンジするサラリーマンが増えているわけです。
しかし、週末起業のリスクは意外なところにあるようです。大手経営コンサルティング会社の起業プランナーは「週末起業に失敗したからではなく、成功したから週末起業から手を引くサラリーマンが実に多い」と、次のように説明しています。
週末起業に成功すると、必然的に土日・祭日、アフター5などのプライベート時間だけでは業務処理ができなくなります。そこで仕方なく、本業の勤務時間中も上司や同僚に知られないよう隠れて処理しなければならなくなり、自責の念に悩まされます。
また、週末起業に成功したからといって、その稼ぎで本業並みの収入が得られる訳ではありません。結果として、週末起業を断念せざるを得なくなります。これが「始めるのは簡単だが、成功すればするほど継続が難しくなる」(前出のプランナー)週末起業のリスクだといわれています。
こうして週末起業に頓挫した経験があるサラリーマンが捲土重来を期して挑戦するのがマンション経営だといわれています。
「週末起業家」が「マンション経営者」に向いている理由
では、週末起業に頓挫したサラリーマンが、数ある副業の中からマンション経営にチャレンジする理由はどこにあるのでしょうか。
それはどうやら「週末利用」という共通性にあるようです。「すでに週末起業で週末利用のコツを会得しているので、マンション経営に馴染みやすい。起業意欲を満たす面でも共通している」(前出プランナー)というわけです。また、一般にサラリーマンは次の理由でマンション経営がしやすいといわれています。
●サラリーマン投資家は事業ローンが組みやすい
サラリーマンがマンション経営を行う際は、事業ローンを組んで投資用マンションを購入するのが通常です。サラリーマン投資家の強みは、安定した収入がある「信用力」にあります。加えて金融機関はマンション投資を「重要な事業融資」の1つに位置付けているといわれます。それだけにローン審査が通りやすく、多額の自己資金を用意する必要もありません。マンション経営はサラリーマンにとって、少ない手元資金で多額の事業資金を調達し、収益を得られる数少ない副業といえるわけです。
●週末もプライベート時間を確保できる
週末起業の場合は、前述のようにプライベート時間は皆無です。しかし、マンション経営なら入居者募集、家賃の集金、建物メンテナンスなどの管理業務をマンション管理会社に委託できます。物件を選んで購入した後は、マンション経営者が現場で直接関わる業務はほとんどありません。これも週末起業との大きな違いです。もう本業への支障を心配する必要はないといえます。
マンション経営と言うと「資産家の資産活用」のイメージが定着していますが、実はサラリーマンの資産活用にこそ適したローリスクな投資なのかもしれません。