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マンション選びに欠かせない「用途地域」とは?

公開日:2015-09-11 00:00:00.0

目次

マンション選びをしていると、その立地条件に「用途地域」と言う用語がしばしば出てきます。この用途地域の確認を怠ると「入居してから後悔」ということにもなりかねません。用途地域はマンションの立地とどんな関係があるのでしょうか。



用途地域とは


用途地域とは都市計画法に基づき建物の用途を制限した地域のことで、同一地域内でのさまざまな用途の建物が無秩序に混在することの防止を目的としています。つまり地域ごとに合理的な立地と建築を促そうと言うものです。



これにより、閑静な住宅地の中へ地域環境を一変させるような風俗店、ゲームセンター、パチンコ店、工場などが進出するのを防止しています。



都市計画法では住宅地、商業地、工業地などの合理的な土地利用を促すため、都市の用途地域を12種類に分けています。


なお、各用途地域における用途制限の内容は建築基準法や政令で定められています。
用途地域は都市計画区域のうち「市街化区域」には必ず定められている他、非線引き都市計画区域や開発許可を受けた市街化調整地域などで定められる場合があります。
これだけ見ると、マンション選びと用途地域は一見関係が薄そうですが、実はとても深い関係があります。



12種類の用途地域のうち、住宅を建築できないのは工業専用地域だけで、他の用途地域ならマンションも戸建て住宅も建築できます。ただ、住宅地と工業地とでは住環境が大きく異なります。「住んで良かったマンション」を選ぶためにも、各用途地域の特徴を知っておく必要があります。



様々な用途地域に開発されているマンション


各用途地域の特徴は次の通りです。

<住宅地>
●第一種低層住居専用地域
都市計画法で「低層住宅に係る良好な住宅環境を保護するため」に定めた地域です。
低層マンションや戸建て住宅のほか、小規模な店舗兼用住宅、小・中・高等学校、老人ホーム、診療所などを建築できます。
容積率や建物の高さ制限が他の用途地域よりも厳しいため、住宅地の環境として最も優れた地域と言えます。マンションも大半が3階建て程度のシックなたたずまいを見せています。


●第二種低層住居専用地域
都市計画法で「主として低層住宅に係る良好な住宅環境を保護するため」に定めた地域です。
第一種低層住居専用地域に建築できる用途に加え、150平米未満の店舗や飲食店なども建築が認められています。ただ指定地域は全国面積比率でごくわずかです。


●第一種中高層住居専用地域
都市計画法で「中高層住宅に係る良好な住宅環境を保護するため」に定めた地域です。
一・二種低層住居専用地域に建築できる用途に加え、大学、病院、500平米未満の商業施設も建築が認められています。容積率などの制限も緩く、中高層マンションが多い地域です。


●第二種中高層住居専用地域
都市計画法で「主として中高層住宅に係る良好な住宅環境を保護するため」に定めた地域です。
第一種中高層住居専用地域に建築できる用途に加え、1500平米未満の商業施設、事務所なども建築が認められています。一定の閑静な住環境と日常生活の利便性を兼ね備えた地域と言えます。こちらも中高層マンションが多い地域です。


●第一種住居地域
都市計画法で「住宅環境を保護するため」に定めた地域です。
3000平米未満の商業施設、事務所、ホテル・旅館などのほか、50平米未満の小規模工場などを建築できますが、基本的には住宅主体の地域です。指定地域は全国面積比率で広く、大規模マンションが多い地域です。


●第二種住居地域
都市計画法で「主として住宅環境を保護するため」に定めた地域です。
住宅街でありながらゲームセンター、パチンコ店、カラオケボックスなどの建築も認められている地域です。大規模マンションが多い地域ですが、この地域でマンション購入などを検討する場合は周辺環境の慎重な確認が重要でしょう。


●準住居地域
都市計画法で「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便性増進を図りつつ、これと調和した住宅環境を保護するため」に定めた地域です。
住宅地の用途制限では最も許容範囲が広く、劇場・映画館、営業用倉庫、自動車修理工場などの建築も認められていますが、指定地域は全国面積比率でごくわずかです。


<商業地>
●近隣商業地域
都市計画法で「近隣の住宅地の住民に日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業、その他業務の利便性を増進するため」に定めた地域です。
したがって、スーパーマーケットを始めとする商業施設や飲食店が多い地域です。商店街が立地している地域でもあります。日常生活の利便性には恵まれていますが、深夜までやや賑やかな環境になるでしょう。150平米未満の工場も建築が認められています。


●商業地域
都市計画法で「主として商業、その他業務の利便性を増進するため」に定めた地域です。
市街地の中心部や主要駅周辺などに指定され、多くのビルが立ち並ぶ地域です。
マンション的には「好立地」なので中高層マンションはもとよりタワーマンションも多い地域です。ただし、基本的には住環境が軽視されている地域なので、日影規制など日照を保護するための規定も適用されません。この地域でのマンション購入などには、それなりの明確な目的が重要と言えそうです。


<工業地>
●準工業地域
都市計画法で「主として環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便性を増進するため」に定めた地域です。
商業地域と並んで用途制限が緩く、風俗店や危険物を製造する大規模工場を除き、ほとんどの用途の建物を建築できます。
工場跡地を再開発した大規模マンションも多い地域です。また、例えば埼玉県川口市や東京都大田区のように、居住者が多いため昔からの町工場集積地が指定されているケースも少なくありません。こうした地域ではマンションと工場の混在が見られます。全国面積比率を見ても、指定が多い用途地域の1つです。
ただ、準工業地域は平日と休日の環境が様変わりする場合が多いので、この地域のマンション購入を検討する場合は曜日を変えた複数回の現地チェックが賢明と言えるでしょう。


●工業地域
都市計画法で「主として工業の利便性を増進するため」に定めた地域です。
学校、病院、ホテル、映画館などの立地が認められない代わりにどんな工場でも立地できます。
住宅の立地も認められているため、工場跡地の再開発などで大規模マンションも建築されています。しかし、環境を悪化させる工場や危険性の高い施設も建築できるため、この地域のマンション購入などを検討する場合は、周辺環境の十分な確認が重要です。


●工業専用地域
都市計画法で「工業の利便性を増進するため」に定めた地域で、住宅建築が認められない唯一の用途地域です。



用途地域の指定はパッチワーク


マンション選びにおいて用途地域の確認が大切なのは、用途地域は第一種低層住居専用地域?第二種低層住居専用地域?第一種中高層住居専用地域といった具合に秩序だって指定されている訳ではなく、パッチワークのように細かく入り混じって指定されているからです。



例えば第一種低層住居専用地域の隣地や道路の向かい側に、用途制限が緩い商業地域や工業地域が指定されている都市部も少なくありません。


したがって極端な話、閑静な住環境を求めて第一種低層住居専用地域内の分譲マンションを購入したら、マンションから小道を隔てた場所にいきなり風俗店やパチンコ店が開業する可能性もあります。もしそうなると一晩中けばけばしいネオンが輝き、賑やかな音楽が鳴り続ける可能性が無きにしもあらずなのです。


マンション購入など検討する際は、可能な限り自分の目で都市計画図などを閲覧し、購入しようとしているマンションの用途地域と周りにどんな用途地域があるのかを確認しましょう。



都市計画図は各自治体の都市計画課などへ出向けば閲覧できます。近年はWeb閲覧ができる「インターネット提供サービス」を行う自治体も増えています。

編集監修者情報
編集監修者
株式会社大京穴吹不動産
所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-18 オリックス千駄ヶ谷ビル
設立年月
1988年12月
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