売買のタイミングってあるの? (後編)

目次
マンションの購入や売却にあたってのタイミングについてのお話(後編)です。前編ではマンションの価格の決まり方と相場の調べ方について紹介しました。後編では、マンションの価格が高くなる時、安くなる時の理由について考えてみます。
価格が高くなる時
価格が高くなる時とは、「買いたい人が、売りたい人よりも多い時」、つまり需要が供給を上回る時です。ただし需要は、駅前や湾岸エリアなどの地域限定や、タワーマンションなどの人気タイプに限られる場合もあります。では、買いたい人が多くなるとはどのような時でしょうか? この要因はいろいろありますが、一般的には以下のような要因が影響します。
・景気が良くなる
(所得が増え、市場にお金が潤沢に入り込む)
・街が開発される
(駅前商業地や大規模マンション、団地など。再開発によって人口が流入し、購入者が増える)
・住宅ローン減税などの政策
(国が持ち家取得を促す目的で実施する。期限付きが多く購買意欲へとつながる)
・金融機関の住宅ローン金利の低下
(住宅ローンを借りやすくなり、購買意欲へとつながる)
かつて、バブル時代といわれた昭和から平成にかけては、景気が絶好調で多くの街が開発され、マンションの価格もうなぎ上りでした。なお最近の価格上昇は、消費税増税前のいわゆる「駆け込み需要」が原因の一つでした(東日本大震災の復興需要との関係から、建設費の高騰も原因の一つと言われていますが)。このように、価格が上昇する場合とは「買いたい人が瞬間的に集中する」という状況になった場合ともいえるでしょう。
価格が安くなる時
価格が安くなる時とは、景気が悪化して所得が下がり、マンション需要が落ちるときです。街に勢いがなくなり、商業施設や工場などの地域の核となる施設が撤退するなど、その地域で生活する人が減少するような状況です。例えば景気が悪くなると、地価が下落するので、マンション価格は連鎖的に下落していきます。その他、住宅ローン減税の廃止や消費税率アップなどの政策で買い控えが起り、需要が減少し、その結果として価格低下を招くこともあります。
買い時、売り時のタイミング
このように価格が安くなる時には、いろいろなパターンがあるのですが、これらの影響のうち、どれが「買い時」と言えるかどうかの判断は難しくなります。安くなっている要因が「一時的なもの」なのか「しばらくは続くもの」なのかを見極めることも必要になります。昨今のトレンドとしては、アベノミクスによる景気回復と消費税増税前の駆け込み需要で価格が上昇しました。新築分譲マンションでは3%分の消費税上昇分は大きく、購入者が押し寄せたのです。その影響で中古マンション価格も上昇傾向にありました。さらに、この状況をよく考えると、実は増税前が一番の「売り時」であったと言えるかもしれません。
現在、価格は落ち着きつつありますが、「売り時」は続いています。景気が回復基調にあるので、価格の下落とまではいっていません。次の価格下落となる可能性が高いのは、消費税が10%になった後です。つまり2015年、計画通りに消費税が10%に上がった後、景気が思うように上向かない場合には、再び価格が下がる可能性もあるのです。売買のタイミングは、自分のライフステージの変化だけでなく、市場価格の変動も頭に入れて検討するのも一つの方法ではないでしょうか。