投資
貸す
不動産投資をするなら知っておきたいコストをかけない空室対策
公開日:2016-09-28 00:00:00.0

目次
賃貸マンション経営の最大リスクは空室です。このため、賃貸マンション経営の鉄則は「空室対策に始まり空室対策に終わる」ともいわれています。このため「空室対策に出費や追加投資は付き物」と考えている投資家が少なくありません。その結果、収益悪化に陥るケースがあとを絶たちません。ここでは、賃貸一棟マンションを運営する場合の、「コストをかけない空室対策」を考えていきましょう。
空室対策の第一歩は家賃設定の再検討
賃貸マンションの空室対策というと、一般的に次のような対策が行われているようです。
・複数の不動産仲介会社に入居者募集を依頼し、早く入居者を仲介してくれた会社には、割増報酬を支払うなどのインセンティブをつける
・家賃を下げずに、敷金・礼金を下げる。または、最初の1~2ヵ月の家賃を無料にする「フリーレント」期間を設ける
・リフォームなどで内装を一新する。
・既存住宅設備を、入居者人気の高い最新設備に変更する
・室内にリビングセットや小物などを配置して、空室をモデルルーム化し、内見者に住み心地の良さを視覚的にアピールする
・ペット可、外国人可、高齢者可など、入居条件を緩和する
これらが有効な空室対策といわれていますが、入居条件の緩和以外は、収益を減らしたり、一定のコストをかけたりすることに変わりはありません。しかし、これらの対策が入居希望者に受け入れられれば成功なので、先行投資ととらえれば納得できるでしょう。ですが、受け入れられない場合は、「リフォームなどにコストをかけたのに空室が埋まらない」という結果になる可能性もあります。
したがって、コストをかけた対策を実施するまえに行うべきは、「家賃が適切か否か」の検討といえます。なぜなら、賃貸マンション入居者の部屋探しの優先順位1位が「家賃」といわれているからです。
例えば、住宅系J-REIT資産運用会社のADインベストメント・マネジメントが2014年3月に調査した「不動産仲介業者・実態調査」の「顧客の部屋探し優先事項」では、賃料が68.76%、最寄り駅までの徒歩距離が10.7%、周辺環境が8.83%となっており、部屋探しの優先事項は家賃ということがわかります。
したがって、所有している賃貸マンションの家賃が、周辺エリアの競合物件と比べて高めの設定なら、入居希望者の部屋探しの選択肢から外れてしまう可能性が大きいといえます。家賃が相場にそぐわないのであれば、リフォームなどをしても入居に結び付くとは限らないことになります。
コストをかけるまえにすべきは、日常的な空室対策の徹底
家賃設定の再検討が終れば、次に行うべきは物件が良好な状態で保たれているか否かの確認です。清潔感があり、ひと目で良好なコンディションとわかる物件にしておくことは、空室の基本対策ともいわれています。
近年の賃貸マンション入居者の部屋探しは、不動産情報ポータルサイトや不動産会社の物件情報サイトをインターネットで検索したあと、不動産会社を訪問して希望物件の内見に向かう行動が一般化しつつあります。つまり、物件の選択肢が多い分、部屋探しの目はきびしくなっているのです。
そのきびしい目を持った内見者に、インターネットで候補に絞った希望物件の現物を見て悪印象を持たれるようでは、その時点で入居者募集活動は失敗です。
そこで、空室を埋めるためには、次のような空室対策を、日常的に行うことが重要といわれています。
●共用部の清潔感
賃貸マンションなど、集合住宅の建物管理の問題点が目立ちやすいのが、エントランスや廊下、ごみ置き場などの共用部です。共用部にゴミが散らばったまま放置されている状況は、内見者に悪印象を与えるのみならず、既存入居者の早期退去の要因にもなります。共用部の清潔感が低い場合は、直ちに契約しているマンションの管理会社に改善するように指示しましょう。
●室内の異臭
空室を定期的に換気していない場合は、排水口などからの異臭が部屋中に充満してしまい、それだけで内見者の印象を台無しにします。マンションの管理会社が空室を定期的に換気や排水トラップの注水などをしているか確認しましょう。
●「清掃済み」の表示
空室の玄関やトイレに「○月○日清掃済み」のパネルなどを表示しておけば、不意の内見者があった場合でも品質管理の高さをアピールでき、内見者の好感度を高めます。特にトイレは、内見者が注目する場所のひとつなので、この表示があれば「この物件は管理が行き届いている」との高印象を与え、成約率を高めるともいわれています。
リフォームなどで空室対策にコストをかけるのは、上記のような空室対策後の段階といえそうです。このような空室対策を軽視していては、いくら外見的な空室対策にコストをかけても意味がない可能性があります。
空室対策の徹底は、既存入居者の退去率低下にもつながります。自分が所有している賃貸マンションを「常に清潔に保つ」「内見者へのちょっとした気配りをする」などの地道な努力が、「コストをかけない空室対策のコツ」といえるかもしれません。