2014年分路線価が公表―リーマンショック以来 三大都市がそろって上昇―

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国税庁による「2014年分都道府県庁所在都市の最高路線価」が発表されました。2008年のリーマンショック以来、東京、愛知、大阪の三大都市圏がそろって上昇し、景気の回復傾向が見られます。特に、最高路線価の全国トップの東京都中央区銀座5丁目は1㎡あたり2360万円で、2013年より9.7%上昇し、不動産市場の活性化が顕著になっています。具体的に路線価の状況をみていきましょう。
全体として不動産市場は好転
路線価は、市街地を中心に道路ごとに不動産1㎡あたりの価格やその道路沿いの土地の利用用途などが示されているものです。不動産市場の景気を見る場合、その都市ごとの最も高い路線価の変動を参考にしています。このような都市ごとに最も高い価格を「最高路線価」として、国税庁から毎年、全国県庁所在地別の最高路線価が発表されています。
2014年では、上昇が全国18都市まで増え、2013年の7都市から倍以上の伸びをみせています。一方、下落は32都市でしたが、2014年には21都市まで減少しました。横ばいは2013年と同様の8都市です。全国的にみると、不動産市場は2013年に比べて好転しつつあるということが分かります。アベノミクスによる景気回復政策が、不動産市場への期待感へと表れているのではないでしょうか?
前年比でも好調
それでは、最高路線価の対前年変動率が2013年と2014年でどのように変化していったかを上記グラフ※で見てみましょう。
横軸は2013年の対前年変動率で、右にいくほど価格上昇となります。縦軸は2014年の変動率で上にいくほど価格上昇です。このグラフから、ほとんどの地域で、路線価が前年よりプラスになったということが分かります。具体的には、右下の「プラスからマイナスへ後退エリア」には一つも都市がなく、少なくとも2013年から2014年にかけて全国の不動産市場で後退した都市はなかったということです。また、左上の「マイナスからプラスへ好転エリア」にはいくつかの都市が含まれており、こちらは2014年にかけて不動産市場が活性化しているということです。一方で、左下の「マイナスから脱せずエリア」にもまだ半数近くの都市が含まれています。しかし、対前年変動率の下げ幅で見ると、縮小傾向にある都市がほとんどですので回復に向かっていると考えられます。
都市圏では対前年変動率が上昇
地方別では、首都圏エリアは、東京・横浜の上昇は大きく、千葉は引き続き下落状況ですが下げ幅は小さくなっています。そのほか、名古屋エリア、大阪エリアはほぼ横ばいから上昇に転じており、主要都市での不動産市場の好転が目立ちます。ただ、全体的な不動産市場の好転が目立ちますが、まだ全ての都市が対前年変動率の上昇というところまでは至っていません。東北エリアでは仙台のみが上昇で、山形と福島は横ばいです。四国・九州エリアは下落が中心ですが、2013年に比べて下げ幅が縮小しています。地方でも、金沢、広島、岡山、沖縄の対前年変動率が上昇しています。
2014年は三大都市圏を中心に回復が見られました。また、対前年変動率が悪化した地域が3県に留まっていることからも、この回復は続いていくと思われます。今後の路線価の動きに注目ですね。
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※「2014年分都道府県庁所在都市の最高路線価」(国税庁)より作成