築古マンションを選ぶ人々【前編】

目次
新築や築浅の中古物件だけではなく、築年数がかなり経過している古いマンションにも関心が集まっています。築30年以上の築古マンションを購入する人も増えており、物件の選択肢に新たな広がりが出始めました。なぜ築古マンションが選ばれるのでしょうか?公的機関のデータなどを見ながら理由を考えてみます。
築20年を過ぎると価格は築5年未満の半値
築古マンションの魅力とは一体なんでしょうか? それは何と言っても価格です。改装(リフォーム)の有無によるマンション単価の推移を表した上記グラフ※でも、一目瞭然でしょう。築20年までは価格(㎡単価)が急激に下落していき、築5年未満と比べると倍以上の開きが出ます。ただし、20年を超えた物件に関しては、築年数が経っても価格が下がりにくく、ニーズがあることが分かります。
供給増で好立地な物件も
東日本レインズの「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」の調査結果では、築30年以上の物件の登録数自体が増えています。新規登録物件数において、築30年以上が占める割合は、2002~2012年の10年で約3倍に増加しました。以前より築古物件の選択肢が増え、好立地な物件も流通しています。住みたい場所を優先した結果、築古マンションに行き着くということもあります。
未改装マンション購入で買主自身がリフォームプラン設計
未改装の築古マンションの取引も活発です。リフォームを買主自身が行うケースです。上記グラフでも分かる通り、未改装マンションは改装済みのものより購入価格が抑えられる上、買主のイメージ通りにリフォームができるので、さまざまなアレンジを加えられます。不動産会社の間でも、未改装の古いマンションを紹介し、買主のイメージ通りにリフォームまで行うプランを提供するビジネスも増えてきています。買主のニーズ、思い通りのリフォームなどを実現する予算でを考えると、築古マンションの割安感は魅力なのでしょう。
手軽さや安心感なら改装済みマンションの購入がおすすめ
手軽さを求めるならば改装済みマンションの購入がおすすめです。買主個人で改装する場合は、こだわりを実現できる反面、個人の負担が大きくなるでしょう。工務店やリフォーム会社との打ち合わせや、専有部の給排水管なども含めたリフォーム内容の範囲、施工レベル、さらに工事の進捗状況の確認など手間も時間もかかります。さらに、個人でリフォームをする場合には、リフォーム分について予算を考慮する必要があります。ローンでの返済を考える際には、別途リフォームローンを組む場合も出てくるでしょう。改装済みマンションは、設計や施工、点検に豊富なノウハウを持った不動産会社が全てを手掛けた物件なので、手間がかからず安心感も生まれます。また、価格も改装費込みで販売されるため明確で、さらに購入後すぐに住むことができるなどの利点もあり、総合的にみれば未改装よりお得なこともあるでしょう。売主である業者が引き渡し後の保証を付ける場合も多く、住み始めてからの安心が大きく違うと言えます。
築古マンションが選ばれるのは、改装済みかどうかに関わらず、新築物件と比べて「割安感」があるのが大きな理由でしょう。後編では、築古マンションに抱く不安点なども考えながら、総合的な視点で築古マンションを見ていきます。
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※国土交通省の「土地総合情報システム」から2012年と2013年に東京都内で取引された中古マンションの情報を基に作成。