次々と出される中古住宅市場の活性化対策

目次
空き家率が過去最高に!
総務省の「平成25年住宅・土地統計調査」の結果によると、 空き家数は820万戸、空き家率(総住宅数に占める割合)は13.5%となり過去最高となっています。5年前に比べると63万戸(8.3%)の増加。一方、総住戸数は6063万戸で、5年前と比べて305万戸( 5.3%)の増加となっています。つまり、総住宅数よりも高い割合で空き家が増えているのです。2014年3月に有識者によって行われた「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」の報告でも、空き家が増えている問題について「適切な管理が行われない住宅は、防犯、防災、衛生、景観など環境面で問題となっている」と冒頭で語られています。このように、空き家の増加は右肩上がりの現状であり、その対策が課題となっています。
中古住宅市場を推し進める国の対策
国は中古物件の流通を促進するために動き始めています。
「少子高齢化が進行して住宅ストック数が世帯数を上回り、空き家の増加も生ずる中、『いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う』社会に移行することが重要であり、政府としても、中古住宅流通・リフォーム市場の環境設備を進めていきます」(1)
つまり、社会全体として「長く使う」ことに価値を置くようにしようということです。国土交通省も有識者を集めて中古物件市場の活性化に向けた研究会を開き、「中古住宅・リフォームプラン」(2) 「既存住宅インスペクション・ガイドライン」(3) など、中古物件に関する指針を発表。また、空き家が賃貸物件で多く発生していることをふまえ、「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」の報告書の中で「借主負担DIYの貸借権」なども議題に挙がるなどさまざまな動きがあります。
2020年までに中古住宅流通・リフォーム市場規模倍増への動き
今まで紹介した国の取り組みですが、これは平成22年6月17日に閣議決定された「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」の戦略、「2020年までに中古住宅流通・リフォーム市場の規模を倍増(20兆円)」ということに基づいています。新築重視の住宅政策からストック重視の住宅政策への転換を促進し、「消費者が安心して適切なリフォームを行える市場環境の整備を図る」ことが重要だとして、さまざまな施策が出され、この動きは今後も引き続いていくと予測されます。
中古物件市場の環境整備が進むことによって、安心して中古物件購入を検討することができますね。例えば、新築であれば手が届かなかった物件であっても、同じような立地、住宅設備の中古物件であれば、価格の面でも購入を検討できるかもしれません。同じ中古物件であっても、購入後自分でリフォームすることも、すでにリノベーションされているリノベーション済み物件を選択することもできます。中古物件市場の活性化は、物件購入を検討する際の選択肢を広げるのです。
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(2)平成24年3月発表
(3)平成25年6月発表