マンションのソフト面を充実させたい!

目次
これまでのマンションの価値は、立地や共用スペースなどのハード面で決まっていたところがありました。もちろん今でも、スポーツジムやキッズルームなどのハード面もマンションの魅力の一つですが、最近では、ソフト面のサービスを充実させているマンションもでてきました。年月が経つにつれて劣化していく建物の設備面の価値を補うのは、住人同士のコミュニティや管理から生み出される、ソフト面での価値ではないでしょうか。
ソフト面とは、例えば、住人が参加するイベントやサークル活動、コンシェルジュサービスなどのこと。そこで今回は、マンションのソフト面についてご紹介します。
住みやすさを生み出すのはコミュニティ
集合住宅であるマンションは、共有スペースの資産維持のためには、合意形成が必要になります。実は、コミュニティがきちんと運営されるメリットは身近なところにもあります。例えば、あるマンションで自転車置き場が1住戸1台割り当てられていたとします。ところが、複数台の自転車を持つ家庭は置く場所がありません。結果として、マンションの廊下に自転車を置く人が増えてしまいました。それを放置したままにするのか、それとも解決策を導きだすのかによって、住人の満足感、ひいてはマンションの価値が変わってきます。このような場合、コミュニティの中で話し合いの場が持たれ、空いている駐車場を一部、共有自転車置き場にしたり、住人が使えるレンタサイクルを導入したりすることで、解決できるかもしれません。組合主催の打ち合わせ等には、積極的に参加しましょう。
ソフト面が追求される理由
このソフト面の充実が積極的に取り入れられている背景としては、東日本大震災の経験があります。震災以来、マンションの住人同士の普段からの交流と結束を大切に思う気持ちが住人の中に芽生えました。さらに、一時期多くのマンションがこぞってキッズルームなどのハード面を充実させても、実際あまり活用されていなかったことなどが課題となっている点もあるようです。ハコはあっても、コミュニティがなく、隣人同士の関わりがなければ、意味を成さなかったのです。そこで、住人の満足度を高めるためには、いわゆる「昔ながらの付き合い」の形成をすることのサポートすることが必要だと考えられるようになりました。
住宅を検討する際に、マンションのコミュニティの充実を重視する人は増えているようです。「新築分譲マンション購入に際しての意識調査2011年」(※)によると、57.3%の方が「マンションの住民同士のコミュニティに参加をする、交流を持つことを意識するようになった」と回答しています。コミュニティの大切さが注目されているのです。
コミュニティの活性化 マンション管理会社による工夫も
最近では、デベロッパーや管理会社が積極的に企画・運営に携わるイベントも見られるようになりました。夏祭りやクリスマスなどの季節のイベントや、子ども向けの教室の開催など、さまざまな試みが行われています。入居者同士の顔合わせパーティーや、防災訓練、防災ガイドブックの配布、マンション独自の震災時におけるマニュアルの作成などもあり、住人同士のつながりを促進するとともに、いざという時の減災にも役立ちそうです。今後は、コミュニティの主体である管理組合に対して、マンション管理会社からのコミュニティ運営の提案についても検討していく必要があるのではないでしょうか。