老朽化マンションの建替え促進について

目次
日本では昭和30~40年代の高度経済成長期に多くの分譲マンションが建てられました。1回目の東京オリンピックが開催されたのも昭和39年。この頃に建てられたマンションをはじめとして、現在築40年を超えるマンションも少なくありません。修繕・改修や建替えなどのマンション再生は、今後ますます重要になっていくと考えられています。
このような中、2014年6月18日に、国会でマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法案が可決されました。法案改正の狙いは、耐震性不足のマンションの耐震化促進です。簡単にいえば、住人の多数決によって、耐震性不足の老朽化したマンションの建替えを可能とするものです。
マンションおよび土地の売却 必要条件が「所有者全員」から「8割以上」に緩和
まず、法案改正の内容を見てみましょう。今回、参院本会議で可決された内容では、耐震性不足と認定されたマンションに対して、区分所有者の8割以上の同意でマンションと土地の売却が可能になりました。
「耐震性不足の認定をうけたマンションについては、区分所有者等の4/5以上の賛成で、マンション及びその敷地の売却を行う旨を決議できることとする」(※)
この改正法は、2014年12月をめどに施行されることが決まっています。改正前は、マンション解体後の土地の売却については区分所有者全員の同意が必要とされており、そのために建替えを実行することが困難でした。
少数派の方と話し合うことも必要
マンションの建替えについては、財産権の保護の問題や、修繕や改修で済むのではないかという意見、建替えにかかる資金面への不安などによってなかなか合意が得られない状況がありました。時間をかけて多くの人の意見が調整できたとしても、たった1世帯の反対により、建替えが進まないという例もあります。
今回、8割の賛成によって売却が可能となることにより、好立地の新築物件に住まうチャンスが増えるかもしれません。しかしながら、マンション再生の際には、少数派の方々の感情を思いやることも必要になってくるでしょう。また、今回の改正では容積率が緩和される特例もあるため、住戸数が増えることも予想されます。最大2割の方の反対と、マンションの性能向上についてよくよく中身を整理して進めることが必要です。
________________________________________
※国土交通省HP『マンション建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案について』改正の概要より抜粋