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空き家問題対策のための「空き家売買の仲介手数料に関する告示改正」とは

公開日:2018-07-12 00:00:00.0
ニュースでも時折報じられている通り、日本国内で空き家が年々増加しています。これに対し、政府は物件所有者の空き家管理などを促すため「空家等対策の推進に関する特別措置法」を2015年に施行するなどして、空き家問題の解決に向けて動き始めています。
2018年1月には、空き家取引の活性化を目的とした告示改正が施行されました。今回は、この「空き家売買の仲介手数料に関する告示改正」についてご紹介します。
 

空き家売買の仲介手数料に関する告示改正のポイント

国土交通省は、「昭和45年建設省告示第1552号」内に「空家等の売買又は交換の媒介における特例」の新設を含む改正を2017年6月に提案し、2018年1月に施行しました。この告示改正には、大きく2つのポイントがあります。
 
最大のポイントは、仲介手数料に追加して「現地調査費用」などの請求が認められるようになったことです。現状調査のための出張費用がかさむ場合などに、実費の範囲内で18万円を限度とし、基本の仲介手数料にプラスすることができるようになりました。
 
例えば、不動産価格が300万円の物件の場合、今までなら300万円×4%+2万円=14万円が仲介手数料の上限でしたが、2018年1月以降このケースでは最大4万円まで経費を上乗せすることが可能となりました。
 
もう1つのポイントは、仲介手数料の告示改正が適用される物件は、「売買価格が400万円以下の空き家物件のみ」である点です。つまり、対象となる空き家は低価格物件に限定されます。
 

空き家売買時の仲介手数料における問題点とは

空き家の売買に掛かる仲介手数料は取引額が小さく、仲介役にとって採算が合わない仕事となることが問題と言われていました。
 
不動産の売買取引は売主と買主のみでも成立しますが、一般的には不動産会社が売買の仲介役となって取引が行われます。その際取引を仲介する不動産会社は、仲介手数料を報酬として得るのです。
仲介役である不動産会社が請求できる仲介手数料の上限額は宅地建物取引業法で定められており、計算方法は売買する不動産価格によって異なります。不動産価格が400万円を超える場合、取引する不動産価格の「3%プラス6万円」(税抜き)が仲介手数料の上限額となります。不動産価格が200万円超400万円以下であれば「4%プラス2万円」、対象価格が200万円以下になると「5%」が上限です。
 
空き家は、築年数が経過している場合や物件管理が行き届いていない場合が多いため、不動産価格が400万円を割り込むケースが多くなります。不動産価格が低くなるほど手数料のパーセンテージは高くなりますが、不動産価格が低ければ報酬額もそれ相応のものとなります。
 
また、300万円の空き家と3,000万円の中古一戸建ての仲介において、物件に案内する回数が同じ場合、空き家の仲介の方が経費の負担は重くなります。
このような事情から、空き家の売買取引に積極的でない不動産会社が多いという状況が続いていました。
 

空き家問題の今後

前項で挙げた問題点を解決すべく施行された告示改正ですが、この改正によって空き家取引に積極的になる不動産会社がどれだけあるのか、疑問視する声も多くあります
 
空き家問題は、相続問題に決着がつかず売却できないケースや、高齢の所有者が認知障害などのために売却に際して成年後見人制度を使わなければならないケースなど、所有者やその親族が「売りたい」と考えていても売れないケースが多いとされています。
また、買主に空き家の購入意欲と費用はあるものの、解体費用やリフォーム費用がかさむため、購入を諦めてしまうケースもあります。
 
同じ空き家問題でも、首都圏の空き家と地方都市の空き家とでは、問題の質や内容が異なります。そのため、一律の対策では迫り来る問題に対処できなくなっています。
仲介手数料の上限緩和も、空き家取引の活性化に一定の効果があると考えられますが、空き家取引を活性化させるためには、様々な角度からの抜本的対策が期待されます。
 

おわりに

今回は、空き家売買の仲介手数料に関する告示改正の内容や、空き家問題の今後についてご紹介しました。
政府による空き家問題対策として、2018年1月に告示改正が施行され不動産取引を仲介する不動産会社による負担適正がなされたことにより、空き家取引の活性化が期待されています。これからは、今まで流通していなかった掘り出し物の物件が見つかるようになるかもしれません。今後の不動産流通に注目です。

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