住宅ローン金利について知っておきたい 安心できる資金プランとは

目次
なぜ現在の住宅ローンは過去最低水準なのか?
日銀による量的・質的金融緩和は、「2年間で日銀が供給する通貨料を2倍にし、金融機関に潤沢な資金を供給する」というものでした。金融機関は潤沢な資金を貸付に回すため金利は下がり、結果的に消費者物価を2年程度で前年比上昇率2%のペースにまで引き上げようという考え方です。
この結果、住宅ローンの金利は過去最低水準まで低下し、変動金利型なら1%以下で住宅ローンを利用できるようになりました。固定金利型でも2%を切る商品がみられます。住宅ローンの金利低下にはネット銀行の台頭などによる金融機関の競争などいくつかの要因がからんでいると思われますが、問題はこのような低金利時代がいつまで続くかです。
住宅ローン金利はいつ上がる?
一般に、金融機関からみた住宅ローンは「土地・建物という担保がある」「借入主の返済意欲が高い」などの理由から「比較的リスクの低い貸付」であると考えられます。このため低成長時代や先行きが不透明な時代は、金融機関同士が金利競争をしてでも獲得したい貸付先であるといえます。ただし景気が回復し、日銀の考えるように毎年2%のペースでインフレが進むようになれば、もちろん金利は上昇するでしょう。また長期金利と国債価格は反比例の関係がありますが、将来何らかの理由で国債が暴落するようなことがあれば、やはり金利は上昇すると考えられます。
今後、さらに一層の住宅ローン金利値下げがないとは限りませんが、「可能性」ということで上記のことなどを中長期的に考えあわせるなら、やはり金利は上昇に向かうのではないかと思われます。少なくとも住宅ローン金利から見るのに限り「マイホームは今が買い時」といえるのではないでしょうか。
目先の金利だけに目を奪われないで
今後の金利変動がどうなるか、確かなことは誰にもわかりません。しかし、現在の日本の金融政策が「なだらかな金利上昇」を目指して進められていることを考えると、実際の金利もその方向に動いていくことは想定しておいた方がいいでしょう。
もし大幅な金利の上昇があったとしましょう。変動金利型住宅ローンには「5年ルール」および「125%ルール」というものがあり、金利がいくら変動しても、当初の返済額が月額10万円なら次の5年間は12万5,000円以上に引き上げられることはありません。次の5年間は15万6,250円、次の5年間は約19万5,300円、次は約24万4,000円となります。もちろんハイパーインフレでも発生しない限りこのような金利は現実には考えられませんが、仮に25年ローンを月額10万でスタートした場合、計算上の総返済上限額は
100,000×12×5 + 125,000×12×5 + 156,260×12×5 +195,300×12×5 +244,000×12×5
=49,233,600円となります。(概算・単純計算)
ちなみに、金利上昇を見込まない場合の総返済額は、100,000×12×25=30,000,000円(概算・単純計算) なので、約1.6倍の増加がありうるということです。
「固定金利型と変動金利型、どちらが得か?」という議論の他に、「金利が急上昇した場合のリスクの大きさ」についても慎重に検討しておく必要があるということがこれでおわかりでしょう。
「固定期間選択型」も視野に入れて
さて、住宅ローンには固定金利型と変動金利型と両方の特徴を備えた「固定期間選択型」というものもあります。これならある程度の期間は返済額が安定しているため返済リスクも少なく、万一今後長期にわたって低金利が続いた場合の変動金利型との金利差も最小限に抑えることができるでしょう。
まとめ
一般に、住宅ローンにおける金利は「設定金利に0.5%を上乗せした計算でも無理なく返済できる」程度が望ましいとされています。そしてもし低金利時代が続けば、その分は繰上返済に充てれば、結局トータルでの融資期間を短縮することで金利分も圧縮できるといえます。