国交省、不動産ネット取引の解禁に向け実証試験へ

2015年06月12日(Fri)

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国土交通省の有識者による「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」は今年1月30日、いわゆる「不動産ネット取引」の解禁に向け、今年の夏頃から最長2年の社会実験を実施する旨の最終とりまとめを行いました。社会実験開始後は半年に1回ペースで利用者の理解度などを検証し、問題がなければ本格運用へ移行する方針です。

不動産ネット取引とは
不動産ネット取引とは、現在、対面で行っている不動産取引の「重要事項説明」や売買契約書の書面交付をインターネットでも行えるようにし、不動産取引の利便性向上を図ろうというものです。

日本の不動産取引に関する法律としては、1957年に宅地建物取引業法が改正され、「宅地建物取引主任者制度」が創設されました。67年には業法改正で不動産取引の「重要事項の説明義務」と「契約成立後における契約内容を記載した書面の交付義務」が新たに設けられ、71年の業法改正では「宅地建物取引主任者による重要事項の説明義務および重要事項説明書への記名押印義務」が新たに設けられるなどの規制強化で、不動産取引の公正確保、消費者保護、不動産流通の円滑化などが図られてきました。

さらに80年の業法改正では、宅地建物取引主任者への成りすましや名義貸しを防止するため、重要事項説明をする際の「取引主任者証の提示義務」が新たに設けられ、不動産取引の媒介依頼についても口頭依頼が禁止され、「媒介契約成立後に契約内容を記載した書面の交付義務」も新たに設けられました。このような経緯で現在の公正な不動産取引ルールが確立されています。

ところが現行の不動産取引ルールは、重要事項説明、不動産取引契約書面交付、不動産取引媒介契約書面交付など不動産取引の重要な行為はすべて対面が義務付けられています。つまり、消費者は免許を持った不動産業者と対面しなければ不動産取引や不動産取引仲介依頼ができない仕組みになっているのです。

このため、例えば、北海道居住の消費者が首都圏の不動産物件を購入しようとすれば相当な経費と時間が必要となり遠隔地での取引が不便で、不動産売買の阻害要因になっているとの議論が沸き起こってきました。これが不動産ネット取引論議の始まりといわれています。

これを受け、昨年4月に国土交通省は有識者検討会を設置。不動産ネット取引ができるようになれば、「遠隔地での取引が活発になり、不動産市場の活性化に寄与する」との推進派と、「個人のIT利用能力には差があり、消費者は業者の意のままに不利な取引に誘導される危険性がある」とする慎重派との間で、8か月にわたって議論が行われました。

その結果、最終とりまとめでは両派の論点を検証する目的で、社会実験実施が決定されたといわれています。

不動産ネット取引のメリットとデメリット
検討会では、不動産ネット取引のメリットとして、次のような利便性が挙げられました。

●不動産取引のために何度も足を運ぶ手間が省けるため、遠隔地への転居や急な転居の際の利便性が大きい。特に高齢者や障害者にとっての利便性は大きい
●重要事項説明の様子を録画・保存できるので、業者の説明不足や消費者の理解不足などを理由とするトラブルを防止する可能性が高まる。
●遠隔地との取引が活発化し、海外から日本への投資拡大も期待でき、不動産市場全体の活性化につながる
一方、次のようなデメリットも指摘されました。
●個人のIT利用能力には差があるので、IT利用能力の低い消費者は業者にネット取引を悪用される危険性がある
●テレビ電話の映像だけで相手方の表情や仕草、動作等を充分に把握できるかは疑わしい。このため、内容が複雑な重要事項説明を業者が消費者に適切に行えないおそれがある

不動産ネット取引はユーザの利便性向上に貢献できるのか?
不動産ネット取引には明暗が混在しています。
現行の宅地建物取引業法が義務付けているのは重要事項の口頭説明と契約書面の交付だけです。

しかし、不動産売買契約で重要なのは、「重要事項の口頭説明」ではなく「口頭説明により消費者に理解してもらう」ことです。このため、良心的な宅地建物取引主任者は口頭説明で相手の表情、視線、手指の動きなどをさりげなく観察しながら理解度を推量し、相手のペースに合わせて理解してもらおうと説明のスピードや説明方法を変えるなどの努力を常にしています。こうした努力がテレビ電話などのオンライン説明でもできるようにする必要があります。

また、現行法では物件案内は義務付けていません。このため、例えば、地方在住の投資家が都心のマンションを購入する場合、物件を見ずに契約することが少なくないといいます。こうした現状を考えると、
不動産ネット取引解禁に向けては、メリットとデメリットの均衡を保ちながら、こうした「ネット取引の明暗」が複雑に入り交った問題を1つ1つ解決する必要があります。

この面倒な作業をクリアしても、推進派と慎重派の妥協で「利便性向上の陰で消費者保護が疎かになった」ということでは本末転倒です。そうならないためにも、今夏以降の社会実験検証でより現実的な議論の深まりが期待されます。

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