首都圏の中古マンション成約件数、減少続くも減少率は大幅縮小

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東日本不動産流通機構は3月10日、2015年2月度の月例速報を発表しました。それによると、首都圏中古マンションの2月度の成約件数は、前年同月比で0.6%減の3,292件と11か月連続で減少しましたが、減少率は1月度の9.2%減と比べ大幅に縮小しました。
一方、成約価格は前年同月比で8.7%増の2,926万円で、1月度の4.7%増より上昇率が増加しました。新規登録件数は同2.8%増の1万3,982件で2か月連続の増加となりました。在庫件数は同7%減の3万4,065件で、こちらは25か月連続の減少となっています。
数字だけを見ると減少傾向に思われる成約件数ですが、実態は異なるようです。「単月ペースの成約件数減少が続いているが、成約減少率の大幅縮小と成約価格の上昇、さらに在庫件数の25か月連続減少などを総合的に見ると、中古マンション需要は底堅く拡大している。今後は単月ペースの成約件数が増加に転じる可能性もある」と、不動産業界関係者は分析しています。
中古マンション価格にも賞味期限がある?
中古マンション価格には、売り主が希望する「売り出し価格」と、買い主との間で売買が成立した際の「取引価格」の2種類があります。
売り出し価格は不動産ポータルサイトや不動産情報誌、不動産会社店舗などで知ることができる公開情報ですが、「取引価格」は不動産会社の企業秘密に属する非公開情報です。したがって、売り出し価格と取引価格にどの程度の開きがあるのかを知るのは一般には困難です。また、その開きは市況によってめまぐるしく拡大・縮小するので、短期ペースでその傾向をつかむのも困難です。
そこで、この開きを全体的に知る資料として、不動産業界で参考にされているのが「中古マンション価格乖離率・売却期間の推移」(東京カンテイ、2011年10月発表)です。
それによると、首都圏では2006~2008年のミニバブル期に新築マンション価格が年率4%程度上昇したため、相対的に中古マンションの割安感が強まり、中古マンション市場は買い手市場から売り手市場へ転換しました。その結果、中古マンションの価格乖離率(売り出し価格と取引価格の差額率)は、2006年に前年から1.5ポイント縮小してマイナス6.3%となり、2007年はさらにマイナス5.6%まで縮小しました。
ところが2008年に9月に発生したリーマンショックを境に、マンシ
ョン市場全体が急激に冷え込んだ影響で価格乖離率はマイナス10.2%と一挙に反転拡大しました。09年以降は、新築マンション価格の高止まりや供給戸数の減少により、中古マンションが再びマンション購入者の受け皿となり、価格乖離率が縮小傾向を見せています。
もう1つ、重要なのが売却期間ごとの価格乖離率です。
中古マンションは、売り出し価格が周辺相場に見合っていれば買い手からの反響もよく、当初の売り出し価格からさほど値下げせずに早期売却できると一般にいわれています。
これは同資料の調査でもその傾向が現れています。
売却期間が1か月以内の価格乖離率は平均マイナス3.6%で、売却期間別価格乖離率シェアを見ると、売り出し価格のまま売却できた「価格乖離率0%」も28.6%と3分1近くに達します。しかし、売却期間が長引くにしたがって価格乖離率は拡大し、売却期間が4か月なるとマイナス10.3%になっています。
中古マンションの成約率を高めるには?
では、中古マンションの成約率を高めるためには、売り主はどのようなことに留意すればよいのでしょうか。
不動産業界では「中古物件の80%は3か月以内に成約する。」ともいわれています。買主さまの価格ニーズとある程度合った価格設定以外にも、早期に成約するために、売主さまが以下のような行動をしておくことが重要といわれています。
●売却期間にある程度時間的余裕を持つ
●売り出し開始後は定期的に価格見直しを行う
●内覧大歓迎のオープンな雰囲気を演出する
また、中古マンションの取引にも繁忙期と閑散期があります。
繁忙期は春先の1~3月と秋口の9~11月です。この時期は入学、転勤など人の移動が激しい時期なので、それに合わせて中古マンション購入需要も高まるからです。需要の多い時期は、それだけ成約率が高まりますが、一方で販売物件も多くなることも視野に入れて準備する必要があるでしょう。